ひどいもんだと思います。
日本人は裁判嫌いだから、ざわつくだけで済んでいるというところでしょうか。
2019年に時田という人が事実上、社長になり、それから大変化(改革とは呼べない)を起こしました。
まぁ、大企業なのに営業利益が消費税以下というのは惨めすぎるので10%は稼ごうぜ、という目標は否定しません。
時田氏以前からですが、
- 2015年、一律で55歳以上のエンジニアの姥捨て山「富士通クオリティ&ウィズダム(FJQW)」を設立し、55歳以上を収容しました。(証拠リンク)
- 2019年には「IT企業からDX企業になる」とぶち上げました。(証拠リンク)
- 2020年には「ダボス会議」に出席して、自分のビジネス観の甘さを告白 (証拠リンク)
- 2022年、国内グループの50歳以上の人、3031人をリストラ(約4%) 3年ぶりなんだそうだ(証拠リンク)
- 2023年2月、富士通の企業向けネットワーク「FENICS」で情報漏洩 (証拠リンク)
- 2023年4月、バンキング・システムについて疑問を呈される(証拠リンク)
- 2023年5月、マイナンバーカード、コンビニ交付機能のトラブルが多すぎ、総務省河野大臣から停止要請 (証拠リンク)
他にいつからかはわかりませんが、社内にラーニングシステムを作り、リスキリングをしているらしいです。
が、私はこの経営の仕方にチョー疑問です。
富士通の社長ってご自分の立ち位置がわかっているのかな?
富士通は日本最大のIT会社です。
メインフレームのコンパチ(互換機)から始まり、日本全国にオフコンをばらまき、パソコンをばらまき、メガバンクだけじゃなく、多くの中小企業も富士通のお客さんです。
言い換えると「コンピューター業界のNTT」と言ってもおかしくないです。(そのNTTデータにまもなく首位を明け渡すようですが)
にもかかわらず、まるでどこかの中小コンサルティング会社みたいなことばかりやっている。
年配のエンジニアをクビにするのは結構です。しかし、彼らが作ったシステムは今でも動いています。
そして若者にそういう仕事をさせるのは、モチベーションの面からも雇用の面からも正しくありません。
当時、最先端技術で会社のエリートエンジニアが必死になったものを、技術が古いから簡単に若者に引き継げるという考え方も理解できません。むつかしいものは、むつかしいのです。
それとも「御社のシステムがわかるエンジニアは全部クビにしたから、システムを作り直しましょう」って提案するんですかね?
私事ですが、私の友人で若いころからずーっとメインフレームのエンジニアをやっている人がいます。
私は20年くらい前に今風の技術に転身しましたが、メインフレームの技術が止まっているなんてことはありません。例えばごく当たり前にTCP/IPを使えます。メインフレームといえども、きちんと運用するためには技術についていっていないと勤まりません。
つまり、年配の技術者を切り捨てるということは、古いシステムを使っているお客も切り捨てるということです。
おそらく「DXカンパニーになる」とか中小企業が求めてもいなことをやる富士通は、お客の需要とどんどんかけ離れたところに行くのではないかと危惧します。
私は規模の大きい企業の利益率が高いということに疑問を感じます。
社会を支えている会社は、メチャ儲かるビジネスもあれば、そうでもないけど赤字でもないというビジネスがあって当たり前なのです。
それが技術を温存したり、お客をつなぎとめたりすることに長期的に見てつながるかどうかという観点がすっぽり落ちています。
(NTTじゃ暗黙の了解事項だったのにな。)
実は同じ間違いをやった会社があります。IBMです。
富士通もIBMも昔はコンピューターメーカーでした。
メーカーだからこそ、会社としてはどの分野の専門家もいて問題を解決できたのです。
ところが「ハードウェアは儲からない」という理由で売払いました。
(富士通はほそぼそとPCの製作を続けていますが、止めるべきではありません。)
そうすると、机とパソコンだけで「俺は賢いからなんでも知っている」というコンサルティング・ファームとなんら変わりがなくなります。
ファクトベースの強みがなくなるのです。地に足のついていないことばかり言うことになります。
もちろん以前の知見を期待したお客がしばらくは来ます。
でも、お客もバカじゃないので、根のないビジネスをやっていることに気づきます。
次から、まともな競合他社のところに行くのです。
例えばhpを見てください。
PC,プリンター部門は何度か売却の危機に陥りました。しかし、大量の株をもっている創業家が「それではビジネスは続かない」と売却に反対したのです。
だからこそ、hpには深い知見があるといえます。
SAPはまったく逆のアプローチを取ることになりました。
お客さんの基幹業務を受け持つERPソフトウェアを作り上げました。
しかし、オン・プレミス(お客が自前でハードウェアを揃えること)の時代は様々な機器がありました。
サーバーもDELLのWindows Server, Sun MicrosystemsのSolaris, IBM AIX, hp uxなどなど。ディスクシステムもEMC, IBM, その他多数。
ネットワーク機器もCisco, F5, などなど上げればキリがありません。
データベースだってOracle, Windows SQL Server, オープンソースMySQLなどなど。
(これらのどれかを知っていれば、エンジニアとして一生安泰だと思う人が続出の時代でした。草)
いろんな組み合わせで動かす環境があり、止まって見えるのはSAP製品だから、問題がないか検証をせざるを得なくなったのです。
さらにJavaなどでソフトを作っていると、Java自体に不具合が見つかることもあります。
仕方がないのでJavaも自前のパッケージをもちました。
このジレンマから、ついにHANAデータベースまでもSAPは開発したのです。
OSはLinuxという「最後のゴールキーパー」がありますから、いきつくとろかで行き着いた感があります。
つまり安定稼働を求めて、ソフトウェアをつきつめて問題をつぶしまくっていたら垂直統合せざるを得なくなったということです。
今は当たり前に求められる24/365稼働、ミッションクリティカルシステムについてファクトベースではない机上のコンサルティングだけで聞いた風なことを言うことがいかに危険かという歴史的事実があるのです。
結果として、富士通は目標の営業利益率10%を達成できていません。
時田氏は「残念だ」ですませています。
が、ご自身も年配でしょうに、他の年配の人間を使えないと一律に年齢で切り捨てて、この結果であることは恥ずかしいことだし、ビジョンも浅はかだと言わざるを得ないと思います。
さっさと引退して、次の社長に変わるべきです。
その方は「日本を支えている富士通」ということをきちんと考えてほしいものです。
かように、いろんな企業で50歳以上の切り捨て策が盛んですが、会社の経営って役員以外、40歳代で勤まるほど簡単なものでしたっけ?
会社の「高付加価値なビジネス」が30歳代の課長で務まるほどカンタンなものでしたっけ?
24歳の世間知らずの子をこんな風に持ち上げて勘違いさせて、この子の未来をぶっつぶしてしまうことがいいことなんでしたっけ?
逆にいえば、その程度のことしかやっていない会社ということを自ら暴露しているんですけどね。
世の中はあいかわらず「会社というものはエリートが知性をふりしぼって、間違いない経営をしていて常に正しい」と呑気に信じている人が多数いますが、自分のブログの記事を読み返す限りは、そんなことは幻想にすぎないと思います。
今の日本企業の経営者って、どうなってるの???
ビジネス舐めてませんか???