テクノロジー遊び

水上ドローンの通信事情

ニュースで報じられているドローンは、まるで高級ラジコンのように思いませんか?

それってドローンの大事な部分が語られていません。
私が参加、利用させてもらっているオープンソースのドローンプログラムArdupilotは自動運転が可能です。
マルチコプターの場合は、すでにADS-Bという航空機がお互いの位置と高度を知らせあうシステムへ参加可能です。
言い換えると衝突回避なんて何年も前に業界標準で解決しています。

なぜこのようなことが重要かというと、やはり自動運転を前提としているからです。

さて、ドローンが自動運転すると考えてみましょう。
目に見える範囲ならWiFiでコントロールすればいいですよね。はい、すでに可能です。
従来のラジコンのように、ちょっと遠くまで飛ぶならばラジコンの技術を使えばいいですよね。はい、すでに可能です。

それ以上になると電波が届きません。
ですからドローンは寄るべき緯度経度を覚えておいて、自分のGPSでの位置を確認しながら周回するという自動運転をします。

これでもいいのですが、しばしば空を飛ぶドローンも空中からの動画が欲しくなります。
多くの場合、ドローンの飛行システムとは別に小型ビデオカメラと無線でデータをやり取りするシステムを搭載します。
これはひとつひとつ無線の「移動局」として総務省への届け出が必要です。
だいたい5.7Ghz, 5.8GHz帯を使ったものが多いようです。
もちろん操作する人はアマチュア無線技士か業務なら無線士の資格が必要です。

ところがもうひとつの方法があります。
それはスマートフォンの無線網を利用する方法です。
スマートフォンはみなさんが無免許で好きなだけ使っていますが、電波の世界では特例に近いのです。

スマホをもってフェリーに乗られた方もおられると思います。
フェリーは比較的近海を走りますが、通じるスマホと通じないスマホがあります。
もっとも通じるのはドコモです。ぜーんぜんダメなのがソフトバンク。
これは海上通信について各社の考えがあるからで、偶然ではありません。

いわゆるIOTデバイスを利用するという話にまとめられてしまいそうになるのですが、水上ドローンの場合、そう簡単な話ではありません。
一般的な例をあげます。
ビデオなどを撮影しているデバイスがあり、パソコンからそのデバイスのデータを見たいとします。この時、デバイス側はサーバーとなり、パソコンはクライアントとなります。つまりパソコン側からデバイスにコンタクトしないといけません。
インターネット通信プロトコルにおいて、コンタクトするためには相手のURLかIPアドレスが必要です。
つまりデバイスはIPアドレスを持たないとコンタクトできないのです。
通常のスマホはスマートフォンの会社の社内網につなげられていて、グローバルIPアドレスなぞ持っていません。
少し前のNTTコミュニケーションズのOCNモバイルは持っていたのですが、サービスの改悪でなくなってしまいました。

ごく限られた小さい回線業者がSIMカード グローバル固定IPアドレス付きのサービスを行っています。
私が使っているものはインターリンクという会社のものです。

LTE接続することで始めてドローンは長距離の通信をしながら、データをパソコンへ送り続けることができるのです。
これがもっと遠洋に出るならば、スターリンクなどを使うことになります。

ですから普通のIOTデバイスは普通のスマホのSIMカードでも問題ない理由は、一定時間ごとに自分からデータをデータセンターに送るだけで、データセンター側から問いあわせるということがないからです。

他にもソラコムなどの会社の通信とデータセンターサービスが一体となった閉域網のサービスもあるのですが、数百メガバイトが上限のようですし、海上でどうなるかわかりません。
ビデオなどを転送すると料金がものすごいことになりそうなので、現時点では避けています。

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