ECサイトの運営をいくつかやっています。
大成功もしていないけれど、失敗したりしながら、そこそこのお客様には来てもらっています。
その理由をいくつか書いておきたいと思います。
業種を選ぶ
大失敗こともあります。アクセサリーショップです。
理由は簡単で、あまりにも多くの店がありトップはブルガリから底辺は手作りビーズまで、いったい何万件のショップがあるのでしょうか。
もう、見に来てもらうだけでも難しい問題です。
しばしば「手作り作品をウェブサイトで売ろう」なんて話をみかけますが、利益が出る金額で売れると思わないでください。ウェブですから世界が競争相手です。原価割れが普通です。バングラディシュの人とも競争しているということを想像してください。
「なんとか宣伝すれば売れるのではないだろうか?」とマーケティングをしようとするかもしれません。
そこで間違えるのがGoogleの扱いです。
SEOは気にしない
まず、あなたはGoogleで検索する時、なにを考えて検索しますか?
なにか知りたいことがあるからですよね?
そこで関係ないウェブサイトが上位にあったら、一応は見ても「探しているものじゃない」と即座に引き返すはずです。
それが普通の人の行動なのに、自分が売り手になった途端に、Googleの検索結果を自分に都合よく捻じ曲げ、上位にあればお客が訪問してくれると思うのでしょうか?
SEO(サーチエンジンの最適化)とは言葉はきれいですが、Google側からしたら忌むべきことなのです。
Googleは日々、正しい検索結果をユーザーに示そうとします。それがGoogleがユーザーの信頼を得ている生命線だからです。
SEOの対策をします、といっている会社は一切信用しないでください。
たいてい「アクセスした」ことを主眼とし、「商品が売れる」ということからは逃げます。
決して、望んでいる結果は得られません。
じゃぁ、どうすればいいのか?
当たり前のことです。検索で探してくれた人に「これが欲しかった」という情報を渡せればいいのです。
どうやって?次に続きます。
ECサイトだけではどうしようもない
ショッピングモールである楽天やYahoo!ショッピングを見てみましょう。
そこでアパレルでもキッチンカトラリーでもいいのですが、なにか商品を見てみたら次のようなことしか掲載されていないと思います。
- 商品名
- メーカーからもらった写真
- メーカーからもらった特徴
- (無難な褒め言葉コメント)
- 価格
- 発送条件(送料など)
どの店も同じで、違うのは価格だけ。
だとすると、値引きかポイントをあげるか、大量の種類の商品を並べ数打てば当たる方式を取るか、しか差別化手段がありません。
驚くべきことに、こんななんの工夫もないECサイトがほとんどで主流といってもいいのではないでしょうか?
流通業でリアル店舗をもっている会社がECサイトを作るとこうなるのでしょう。
店員の役割をする人がECサイトにはいないので、なんとかしないといけないのですが、そこは考えないようです。
例えばいつも私が酷評している百貨店のウェブサイトをみてみましょう。
ここに三越伊勢丹のオンラインショップがあります。普通のECサイトです。
なぜ、私達はこのECサイトで買い物をしなければならないのでしょうか?
しかもメニューにはカタカナが並びます。「食料品」と書けばいいのに「フード」とあります。三越に行くような年配の方が字の小さいカタカナを理解するのでしょうか?
いったい誰のためのECサイトなのか?さすが百貨店だけあって、なにも考えないようです。
こういうサイトを見ると、「もっとがんばろう」と自分のビジネスが非常に勇気づけられます。
一方で「アフィリエイト」と呼ばれる分野があります。
アフィリエイトのビジネスモデルをキチンと説明しているのをあまり見かけないので、復習すると、
「人が集まるブログをもっていて、そこで宣伝して売れば商品からキックバック(販売手数料)をもらうビジネス」
ですよね?
前提は「人が集まるブログ」をもっているか、です。
これなしでアフィリエイトをやろうとするから成功しないし、うまくいくわけがないのです。
アフィリエイトサイトのコンテンツは、商品比較、トレンドを主体としたところは多いです。
で、そもそもECサイトをやっている人は、なぜ「人が集まるブログ」を作ろうとしないのでしょうか?
たとえばライオンはリデアというサイトをもっています。
製品の機能だけでなく、それを使う生活からアプローチをするのです。
こういう発想は商品を企画するメーカーに多いように思います。
IKEAも商品の特性だけでなく、家具のある生活を提案します。(それに比べるとニトリは数段落ちます)
つまり先に書いた商品の仕様だけを並べたECサイトで商品が売れるほうが不思議なのです。
売れる場合は、すでにお客さんの頭の中でなにを買うか、結論が出ている時だけです。
そのとき、お客さんは価格を見て歩きますから。
普通はお客さんは結論が出る前は、Googleを使いながらWebをさまよい歩きます。
なにをしているのでしょうか?
理由は次のセクションをお読みください。
専門家のサイトを作るべき
以上の2点。埋もれないジャンルと、十分な知識をお客に提供できるサイトから導き出される答えは「あなたらしい専門家のサイト」を作ることです。
もちろんそれはニッチかもしれません。しかしニッチだからこそ成り立つのです。
WEBマーケティングという言葉がありますが、集客するためにはお客の役に立つサイトを作らねばならず、それは誰にでもチャンスがあるものではありません。分野によって一定の評価を得る人々、サイトは極少数だからです。
お客さんが来てよかったと思える情報、発見を伝えることが最初です。
Googleはそういうサイトを優先して紹介しようとするのです。
このように考えると、ABテストだ、客の導線がどうだ、とかはどうでもいいことになります。
私からすると、肝心なことは放っておいて、働いているふりをするために自社内のウェブサイトの重箱の隅をつついているようにしか見えません。
もちろんお客のデータを自分たちが思ったとおりに動いているか、と検証するのは悪いことではありません。
しかし、お客のデータからなにか解決策を見つけたいと思ってもそれは無理です。なぜならばお客自身が解決策なんて知らないからです。その解決策を提案するのは本当はECサイト側の仕事なのです。
こう書いている理由はいくつかあって、ひとつはGoogleのリスティング広告がすでに効果を出さなくなってきていること。
もうひとつはマーケティングの分野の「理論」が常に眉唾モノで、以前「またマヌケなマーケティング理論が論破される」に書いたように、人が商品を買う理由は、その商品に仕事をさせるためであるということをまったく無視して、小手先の表現だけでマーケティングをなんとかしようという安易な人、会社が多いからです。
いまだにAIDMA「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「 Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字をとって作られた言葉を信じている、ものを考えないマーケッターは多いです。
お客がウェブをさまよっている段階は、仕事をさせたい商品を募集している段階です。
だから商品よりも、記事を読むことが多いのです。アフィリエイトをやっているサイトに引き寄せられるのです。
あなたも消費者の場合、そうではありませんか?
もう一度、マーク・クリスチャンセンの言葉”人が商品を買う理由は、その商品に仕事をさせるためである”を考えて、自分のECサイトを作りましょう。
ECサイトの基盤
ちょっと話が脱線しますが、ECサイトをいろいろ作ってわかったことがあります。
ひとつはデザインに凝っても仕方がないということです。とくに近頃はスマホでサイトを見ることが多いです。一方でパソコンで見てもおかしくないサイト、いわゆるレスポンシブに対応するのが当たり前です。
しかし、モバイルファースト、スマホを主体にするとデザインはシンプルでなければ見づらくなります。
ウェブページのデザインはブロック、四角形が基本です。その四角形を並べることでデザインします。
そのブロックを横につなげたデザインを作ると、通常、モバイルでは縦に送るか消します。
そうすると、2カラン(2列)ベースのサイトデザインなど表現スペースの限られたスマホでは思ったとおりにならなくて、当たり前です。
ECサイトによくある凝ったテンプレートは不要だということです。
シンプルに作らないとお客さんはどこにいるのかわからなくなり、フラストレーションを起こしますから。
ECサイトプラットフォームの選択で重要なことは、見てくれよりも決済機能です。
決済機能こそは自分で開発することが難しいから、借りるのです。商品を並べるだけならWordpressでもできます。
決済機能を使うためにいくらかかるか?は要注意です。
私は昔からカラーミーを使っていましたが、今年、Shopifyに移行するつもりです。
というのはカラーミーは昔は安かったのですが、決済はイプシロンという決済代行会社を通さねばならず、カード決済手数料をかなり持っていかれます。そのためPaypalを使っていました。
とくに運営会社のGMOペパボ株式会社が一部上場になってから、ガメつさが加速したように感じます。今回、値上げを宣言したのでサヨナラすることにしました。
ShopifyはVISA, Master, Amexを直接決済できます。他にもAmazon Payなど主要な決済はほぼ直接できます。
さらにhttpsを使うなら別に料金払えなんていうケチなことはいいません。
やはり日本固有のサービスではなく、世界標準のほうがなにかとお得なのがインターネットの世界です。
Amazonに対抗できるのは、Shopifyだと言われています。
BASEだとか、Wordpressのプラグインだとか、ECサイトの費用を節約したい気持ちはわかりますが、トータルで(担当者の残業代をふくめて)考えたら高いものにつきます。
ちなみに豆知識ですがShopifyは受注したら「明細書」というドキュメントは出せます。ドキュメントが納品書だけでいい、私のような人は明細書のHTMLを修正すればOKです。
それで足りない人は日本向けのドキュメント作成プラグインがありますから、導入すればOKです。
以上、「失敗しないECサイト」を考えるための材料を出してみました。