サラリーマンのふり

外資系企業の目標設定

正しい成果主義

先日、知人と話しをしていて企業における普通の目標設定の方法を知らないことに気づいた。

これは知人が悪いのではなく、日本企業の大半が目標を定めないから仕方ない。

日本企業全体がダメダメなのは目標設定、いい意味での成果主義をとらないからだと思う。

しばしば「成果主義はダメだ」といわれるし、城さんの書かれた

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

もそうだけど、管理職に成果主義の教育をしないで形だけ取り入れるととんでもないことが起きる。

ここではIBMや某ERPなどのグローバル企業(つまり世界で通用している方法)の目標設定の概要について書いておく。

断っておくが、原則があってもどこの会社にもクズマネージャはおり、責任を部下になすりつけて恥じない、人間としてダメダメな人間はいる。
そういう人を基準としていない。

日本以外の企業は12月で決算が多いため、12月のクリスマス前には来年のことを考えている。

トップレベルの目標設定

ここでCEOクラスの人は企業が向くべき方向を決める。
言い換えると「なにをするか」の方向性を出す。
例えば「来年はクラウドとIOTに力を入れるぞ」と決める。
過程は省くが、マーケティングデータやいろいろなところから決めるわけだ。

事業部の目標設定

すると各事業部にはたとえば「クラウドを進めるために、なにができるか」という課題に変わる。

事業部は従来の延長、もしくは改革によりやらなくてはいけないことをリストする。

もちろん、全部を持ち寄ってクラウドビジネスという絵に問題がないかの確認は必要だ。
だからCEOの周辺に調整のオフィススタッフがいて当たり前。
全体の絵に漏れがないかを確認するのは、相当に経験を積んだ頭脳の鋭い人間が必要だ。
社が小さい場合は、CEOが自分でやるしかないこともあるだろうし、役員を集めてみんなで見直すことも必要なのだろう。

日本ではしばしば経営企画という部署が担当するが、あまり切れない予実管理しかできない人が多いのも失敗する理由のひとつではなかろうか。

部とか課の目標設定

次に事業部長以下はやるべきことを「どうやってやるか」を決める。

ここで「どうやって」に変わる。

部長さんなどは全体の中でやるべきことのスケジュールを部下と話しながら決めて、実現可能であるようにしなくてはならない。ダメ部長はこれを事業目標を説明せずに、部下に丸投げするから、一向に事業の変化、本質を理解しない。

個々のスケジュールは課長やヒラからすると決まっているように見えるが全体の動きからすると仕方ないのだ。

書いていて気づいたが、一般的に企業とはシステム構築でいう「ウォーターフォール式」なんだな。
アジャイル開発の手法はトライアンドエラー前提だから、事業で取ることはできないのだろう。
株主に結果を約束しなければならないからね。

つまり、個人企業、ベンチャー、スタートアップ企業は目標を短期的にセットし、PDCA(Plan, Do, Check, Action)のサイクルは早く回したほうがいいことになる。

平社員の目標設定

さて、末端の平社員や新入社員にしてみたらどう見えるだろうか。
ここで課長の力量が問われる。
一番ダメな課長はスケジュールをTODOに分割して、担当者を割り振ってしまう。
こうすると、もっともジュニアな人間、新人が担当する部署がリスクとなってしまうことをダメ課長は理解しない。
たいていそこでトラブルが起きると、怒鳴るか、徹夜させるしか解決策を持たない。愚かなことだ。

賢い課長は担当者はシニアな社員にし、新人は補佐とする。
一人前にするにはマイスターにつけるしかないのだ。
突き放して「盗め」とかいうのは自分は偉くなった気分でいいだろうが、
新人がスキルアップしないで事業を広げる帰化をロスっている時間分、会社に損害をもたらしている。

課長はプロジェクトマネージャに仕事が限りなく似ているから、もっぱらリスク管理が本当のしごとだ。
もちろん課員のフォローも必要だけど、それはメインじゃない。
事前にリスクを検知して防いで「なにごともない」が理想だと知るべきだ。

もちろん、上記の社の新しい方向以外にレギュラーワークもこなす。
しかし、レギュラーワークはルーチンであり「作業」であり、いつかアウトソースする可能性も高いため、
外資系企業ではあまり評価されない。

営業事務で給料が年功序列で青天井で上がるなんてことは、日本企業特有だ。

 

数字があがらなくても成果はある

一方で、成果主義で誤解されていることもある。
今でもよく覚えているが、NTT時代に成果主義の研修をヘイコンサルティンググループから受けた時に、コンサルタントがこういうことを言った。

単年度の成果しか評価しないようじゃ、誰もチャレンジしなくなりますよね。

たとえば、今まで行けていなかったお客さんと会食できるようになったって成果じゃないですか?

翌年、小さくてもなにか売上げが上がれば、それも将来への大きな成果ですよね。

こういう目標を設定して評価する、ことが正しい成果主義なんです。

数値化しないとダメという考え方はしないでください。

冒頭にあげた富士通が成果主義で迷走したのも、このたった5行の話しを会社のマネージャーで共有していなかったからだ。

某外資系企業は数年前から数値目標を捨てた。
顧客満足度とか従業員満足度っていう数値は一定のレベルまで行くともう上がらない。
それを0.1%上げる目標設定は数字の遊びだということに気づいた。
よって従業員のあるべき態度を目標として設定し、四半期ごとにパフォーマンスを出た人間を表彰し、年末にその行動に対して評価することに変わった。

成果主義の先にある世界はこういう世界なのである。
ほとんどの日本企業が知らないと思う。

なにかの参考になれば。

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