サラリーマンのふり

学歴偏重主義者にわからないこと

こういうご意見があり、個人的には心底、バカにしている。
世界は学歴・成績至上主義?「東大」なんて学歴とは言えない 日本企業がグローバルに人材を求めれば、あなたの仕事はなくなるかも?!

最初に断っておくが、このコラムの著者の田村耕太郎氏は、海外の有名大学も出られ参議院議員もなさったエリート中のエリートである。一方の私は、汚れた野良犬。

なので、野良犬なりの見解を書く。なぜならば、読んでくれている人だって似たような境遇で、エリートを仰ぎ見ながら自分の力で今日もエサを探さなきゃいけない立場だろうから。

このコラムは要するにエリートさんが自分の経歴を100%活かしたいからグローバルスタンダードが世の中すべてだ、とマッチポンプをやっているにすぎない。間違ってもらっちゃ困るけど、学歴とビジネス(=金儲け)はまったく関係ない。

そもそもそういうエリートさんが、自分で起業して経営している例は極めて少ない。

元MBAの教官のミンツバーグは「MBAは起業にはいいことはなにもない」と言っている。

 

グローバル事業展開をしていて、数十億円ドブに捨てても痛くも痒くもない企業で、勘違いマネージャ、Vice Presidentがワンサカいる中で誰を採用するか、という時にのみ、世界の学歴主義は通用する。

彼らは成功したとわかりきっている企業に群がる。

たまたまハーバード大学に頭がいいからいたザッカーバーグは別に授業でfacebookがいいぞと教えられ作ったわけじゃない。

スタンフォード大学に入ったけど、授業でAppleコンピューターの作り方をジョブズは習ったわけじゃない。さらに音楽業界の口説き方なんて、誰も知らなかったからデジタル・ミュージックは不可能だといわれていた。

ビル・ゲイツも頭がいいからハーバード大学にいたが、MS-DOSなんて大学のどこを探したってなかった。

レイ・クロックはマクドナルドをでかくして、世界でもっとも億万長者を作った人としても有名だが、高卒でマクドナルドを始めたのは52歳だった。

ケンタッキーフライドチキンの創業者のカーネル・サンダースは小学校に6年いただけ。創業は65歳。

今、世の中で誰もが知る巨大を動かしているほとんどの企業のスタートは、学歴なんて必要なかった。

巨大化した企業を組織としてコントロールするために、よくルーチンを勉強した高学歴者が必要なだけであり、

そんなにエラソーな顔をされる覚えはない

のである。

小さくても、事業のオーナーであるほうが資本主義社会ではサラリーマンより階層は上だ、といっておく。

それでもこれを読んでいるあなたは釈然としないだろう。
「だって、高い給料を大企業でもらっているほうがいいじゃない」

それはあなたがリスクと知られていないストレスを知らないからに過ぎない。
先にわざと起業家を羅列した。理由は誰もがスタートアップ、まだ小さい企業であることにリスクを冒しているからだ。

じゃぁ、大企業で高学歴であることはリスクは少ないのか。ある。大企業では必ず派閥争いがある。日本より海外の企業のほうがエゲつない。日本語で報道されることが少ないから知られていないだけ。それはとてもストレスフルな世界である。もちろん、派閥抗争に負ければ放り出される。
日本の企業ではプラス嫉妬。

結局、人はどれだけ学習しても感情の動物だし、理性には限界がある。よい学歴が問題をすべて解決できるならば、今のアメリカでオバマが大統領になることもなかったし、ユーロも分裂することは(必ずするだろう)ないはずだ。

彼らが学歴に見合った知恵をもっている、というのは単なる幻想だ。知恵のケーススタディをしたから、新しい未知の現実で知恵がでる、というのは根拠のない仮説で、残念ながら証明されていない。むしろ経営学では、卓越した戦略は、その経営者のもつすべてを動員したからできた一世一代のものである、という説のほうが(すくなくとも私の中では)有力だ。

こうやって考えると学歴偏重主義というのは、ごく一部の、いい大学を出た人たちが経済が安定している世界の中でイス取りゲームをやっているに過ぎず、ビジネス(=金儲け)とは関係ないということがわかると思う。

そして、日本企業がそれに加わることは絶対にない。嫉妬社会の日本企業の経営者が自分よりできるヤツを雇ったりするものか。そして株式の持ち合いのおかげでヘンな外人に席を譲り渡す必要はない。

さらに個人の人生観として、「知識のストックのないところに創造性もない」と断言しているが、それはインターネット出現以前の古い価値観である。いまは、ちょっとネットをつつくと誰もが広く浅く知識は得られる。そうMBAの講座で要点を整理したケース・スタディ・シートを読むようにね。

問題は、深く狭く本にはなっていない暗黙知、座学で得られない非定型な知識、現場の空気を知っているようなコアを持っているこそが鍵なのだ。そして、学歴偏重人間がもっともニガテとする、人間としての哲学。哲学って実は海外の大学ではものすごく重視されているんですけどね。
哲学という言い方が気に入らないなら、世の中の認識の仕方。それにより出来事の価値はめちゃくちゃに変わる。

つまり学校で学ぶ時間を現場で使った人もそれなりの価値をもつ。
だから、今、液晶工場にいた人が中国、韓国で高い処遇を受けて海外に旅立っているのだ。

要するに日経ビジネスで上記のようなコラムを読んで不安になる必要はないということだ。

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