サラリーマンのふり

本当に技術立国なのか?

最近、また特に囁かれているのが、日本で定年を迎えた液晶工場の技術者を中国、韓国のメーカーが、ものすごい高給でかかえている話。

なんにも考えてないネット右翼は、「そんな話にのる技術者がいけない」という。霞を食えというのだろうか。もともと在職中にも技術者はロクな待遇を受けていないのだ。

時々、思い出したようにテレビで日本の町工場で世界的にシェアをもった企業を扱う。そして、「世界最先端の技術」が「日本の底力だ」となんの比較もせずに、一方的に持ち上げておわる。

意地の悪い俺は、いくつも大事なことが報道されていないだろうと思う。例えば、その企業のやっていることはチョーニッチで、誰も踏み込まないのではないか。実はもっと優れた技術をもっている会社はイタリアあたりにはあるのだけれど、アジア圏という局所でユニークなだけではないか。本当にその一社のパーツだけに、大企業が命運をかけているのか?マルチベンダーのひとつに過ぎないのではないか。などなどなどなど。

金属板をヘラ絞りで整形していくのは、とても難しいということで某製作所がしばしば登場する。英語ではmetal spinning manufacturingという。この言葉でググると、373万件出てくる。で、某製作所の作るシンバルが素晴らしいという言葉の他を、私は見つけられなかった。

そもそも、戦後の日本は半導体にしろ車にしろ技術はみんなのモノみたいな考えのもとアメリカの技術をコピーしまくって精緻化してここまで来た。
技術者個人の努力は「会社にいれば当然」「会社があるから存在できる」といった一種の詭弁ですませて。個人に正統に報いるという考えが皆無であった。だから、後年になって、ワープロ訴訟や青色LED訴訟が起きた。

日本が技術で韓国の企業を訴えているのを見て、日本の若者はひどいと思うらしいが、戦後の日本はまったく同じことをもっと遠慮会釈なくやってきた。

その一方で、高い技術が日本のウリだという。これは決定的に矛盾している。なぜならば、仕入れが激安で、高い付加価値をつけて売ることができた、ということだ。そんなビジネスは長続きしない。仕入れを騙しているだけだからだ。日本でエンジニアの地位の低下が言われて久しく、最近は話題にもならない。俺の知ってるITの現場ではOLより安い。

こうやって考えると、今、中国や韓国の企業が日本の定年技術者をそれなりの待遇で雇用するってことは、とても正しいビジネスだと思う。
日本の会社がそれについて文句をいう資格はないのではないだろうか?

キャノンがデジカメの完全無人工場を作る、という。笑ってしまった。数年後には、デジカメなんてほんの少ししか残らない。おそらく少量高品質が要求され、量産品なんて誰も買わないだろう。
技術動向の匂いすらわからない人にやらせると、こういうことをし、ますます業績が悪化していくのだ。

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