腕時計というものは男性の心を捉えて離さないと思います。
女性用の時計は小さく、宝石などを埋める方向にいきますが、男性の場合は機能美。
機能美は精密である方向でも、過酷な環境に耐える方向でもOK。
後者の代表はカシオのG-Shockシリーズでしょうね。
デジタルだけではなく、アナログ表示もあるところがすごいと思います。
精密機器として特に機械式時計はいまだに世界中で生産されているのはご存知のとおり。
トリッキーな機構を備えた機械式時計は非常に高価です。
私の知る限り最高峰はアブラアン・ルイ・ブレゲがマリー・アントワネットのために作った超絶複雑時計。
プレゲ(BREGUET)社はいまでも最高峰の時計を作っていますが、これは設計図から復刻したものです。
ひとつの機械式懐中時計に埋め込まれた機能は
- パーペチュアルカレンダー(閏年をカウントする正確なカレンダー表示)
- ミニッツリピーター(操作により、現在時刻を音で知らせる)
- スプリットセコンドクロノグラフ(独立した2系統のストップウオッチ)
- パワーリザーブ表示(時計の持続時間残量を表示する)
- 均時差表示(1日の時間のバラツキを表示する)
- 自動巻き(現在の方式とは違います)
- サファイアの軸受け
- 文字盤は透明クリスタル(当時ですからもちろん原石からの削りだし)
18世紀に機械式時計はすでに最高峰を極めました。
ちなみにプレゲという人は時計の世界を200年進めたといわれる大天才です。
こんな発明をしています。
- トゥールビヨン
- テンプが受ける重力の影響を避けるため回転させる機構
- パーペチュアルカレンダー
- うるう年ももちろん自動の永久カレンダー
- 自動巻き
- 今はおなじみですが、時計をもっている人の動きでぜんまいを巻くというのはこの人の発明
- ミニッツリピーター
- 数分ごと、時報で鳴る機構
- ブレゲひげゼンマイ
- そもそもテンプのヒゲゼンマイがこの人の発明、かつ狂いにくいようなカタチにした
- パラシュート耐衝撃機構
- テンプの軸が落としたりする衝撃に耐えるようにするために、円錐型のくぼみを作った
- ギヨーシェ彫文字盤
- 細かく四角錐のシボをいれた反射しにくい文字盤装飾
- ブレゲ針
- あの○がついた針
- ブレゲ数字
- 文字盤で見やすくかつエレガントな数字フォント
- コインエッジ
- いまの時計でもよく見かけるボディ外側のギザギザ模様の採用
プレゲといえばさしずめ、車を発明したベンツみたいなもんです。
しかしながら、近代においても機械式時計は進化し続けています。
それは必ずしも高価なメカとは限りません。
たとえばこれはオリエント社の機械式時計SEU07005WX。
右に日付はでていますが、おもしろいのはカレンダー表示。
上部のダイヤルは右上のボタンをプッシュするごとに動く。
これで今月の欄に年をもってくる。この例だと2011年の10月(OCT)とセットしたとしよう。
すると下部は2011年10月のカレンダーとなり、曜日がわかるようになってます。
さらにこの時計の場合、周囲のダイヤルは計算尺です。
腕時計に回転盤式計算尺を採用したのは、ブライトリングというメーカーがパイロット向けに作ったものです。今でもその伝統で製品をつくり続けています。100万円くらいするから買えないけど。
オリエントのこの機械式時計の実売価格は1万円しないけれども、紹介したようなおもしろいメカが詰め込まれているのです。
詰め込んでも品のいい感じを保っているところは、さすがオリエントというところかな。
ちなみに腕時計の文字盤って、私の場合、軽く数千個は見てます。
自慢でもなんでもなく、時計が好きな人ならみんなそうだと思いますね。
そうするとだんだん腕時計の品のいい感じと、イマイチな感じがわかってきます。
安い時計で品のいい感じってなかなかないです。高級な時計はさすが。
だから安くてハンサムな時計を見つけた時はうれしいです。
先日のツェッペリンは、私はハンサムだと思います。