会社ってやってみればわかるけれど、一年だけメチャクチャ儲かっても会社としては成り立たちません。
それよりちびちびでもいいから、毎年収入がないとうまくいかないものです。
経営したことがなくても、毎月給料が入るということは、ある程度安定した売上があるからだということを考えましょう。
上げ底問題というよりも鈴木敏文氏をクーデターで追い出してからダメダメなセブン&アイとか、ホンダとの合併に失敗した日産などを見ていると過去の栄光にすがって、今がおかしいと思わない経営者たちが目立ちます。あんな人達に率いられている従業員は本当に気の毒だと思います。日産の9000人のリストらなんて経営者に変わって詰め腹切らされているんです。リストラされた人に間違っても「無能」とか言ってはいけません。
マーケティングの分野で有名なセオドア・レビットという人が言いました。「お客はドリルがほしいのではなく、開いた穴がほしいのだ」
聞いたことないですか?
でも日本のように従業員から経営者になるとこれがわかっていない人が多いんですよね。
ちょっと先の二社をこの観点から見てみましょうか。上げ底弁当で話題になったセブン・イレブンですが、上げ底か上げ底じゃないか社長がコメントしている時点でもう経営者の素養がないです。お客はその弁当でお腹を満たしたいのです。その満足にいかに近づくかを考えないから、お客と同レベルの土俵にたってしまうのです。
日産も同様です。車はいろいろな目的があって使う移動手段です。別にカッコいいガソリンで動くスポーツカーの新モデルを出せばいいというものではありません。それはお客のレベルであって、メーカーとしてはダサダサの軽トラックでもたくさん売れてお客さんの問題解決できればいいのです。
ここまではマーケティング理論に近い話で、私が書くことでもありません。
お客さんがなにをしたいかを認識していても、そのとおりにやらないビジネスがあります。それがIT業界です。お客さんが新しいシステムを作りたいという需要をもっていたとします。その需要は多くの場合、売上を上げる、商品の回転を早くするためのツールであることはよくあります。システムの全体を考える人はお客のいろんな話を聞いて目的は「密かに」理解します。しかし、お客に目的を達成できるシステムの提案はしません。提案するものはお客が考えている「こんな機能が必要だろう」という機能です。
わかりますかね?新しいシステムが売上を20%向上させるであろうと考えていても、作る側はそれについて一切コメントしません。なぜならば、20%向上したいことを理解してしまったら、達成できない時、ほぼ間違いなくお客の担当者は我が身を守るために、システムを作る会社にクレームを入れたり訴えたりするからです。お客は「俺が最終的にはSIerに責任を取らせようという密かな考えなんかバレてるわけがない」などと思っているでしょうけれど、いろんなお客を相手にしてきた営業やエンジニアは見透かしています。しかもいつも書いているとおりエンドユーザーのお客は業務システムの画面がちょっと変わって覚えることが増えると激怒し、ボイコットにまで発展することは珍しくありません。システムを使って本当に効果が出るかはお客内部の問題もあるのです。
このようにビジネスとはお客の問題を解決することが本質ですが、どこまでやることで利益を得られるかはよくよく考えるべきことなのです。
しばしば「お客さんに教えてもらった」とか「お客にアンケートを取った」とか言っているバカマーケッターやバカ経営者がいますが、お客と同じ土俵にたっていて商売になると思っているあまちゃんだということです。お客が本当にお金を払うかはお客自身も新製品や新サービスを眼の前にしないと、わからないのですから。
フジテレビが世間を賑わせていますが、フジテレビのスキャンダルを見聞するたびに思うことは「この人たちは自社のビジネスについて真剣に考えたことがないんだろうな。電波利権ってすごかったんだな」ということです。
インターネットという新しいメディアが存在しなければ、あんな風にバレることもなければ、握りつぶすこともできたし、性接待の輪も続けられたでしょう。そしてそこにはお客不在です。
会社の栄枯盛衰の予兆はこのように従業員の態度に出てしまいます。
このことを思い出した理由は、今日、近所のコーナン京葉船橋インター店に塩ビパイプの注文に行ったのです。対面だからこそ細かい打ち合わせができると期待しました。
しかしパートのおばちゃんは「取り寄せですね。いつになるかわかりません。カット?そんなものやってません」とケンモホロロでした。通販のほうがよほど丁寧な対応です。
パートのおばちゃんはコーナンがなんのために存在するのか知ったこっちゃありませんからね。決められたことをするだけ。お客は4メートルのパイプを買いに来ているけれど、長いパイプがほしいわけではないことを知っているのでしょうか?いや、もう私との会話なんてパートのおばちゃんは覚えてすらいないでしょう。
コーナンがホームセンターでいろんなモノを売っていると店長も考えているのであれば、やがて消えます。