サラリーマンのふり

結果にこだわる愚かさ

サラリーマンを辞めてから、あまり経っていないけれど、辞めたら書こうと思っていた主題がこれ。

しばしば「結果が出せなければ意味がない」と言っているサラリーマンがいる。
あなたの周囲にもいるだろう。

サラリーマン人生を総括して思うが、臆面もなくいえる人間は頭が悪いと思ったほうがいい。
理由を書く。

ビジネスってなんのためにやっているのか、答えられますか?
今、株式市場がグラグラしていて投資家は気が気じゃないけど、世の中が投資家しかいなかったらどうなるでしょうね?

そう。誰もなにも生産しなくなる。つまり供給がなくなる。だからビジネスはやらねばならない。
ちょっと考えれば、投資とビジネスとどちらが重要なのかは簡単にわかることだ。

さてビジネスはリスクがあるからリターンが高い。おカネとはハイリスク、ハイリターンであり、ローリスク、ローリターンなのである。
この原則から外れている時はなにか問題がある。

たとえばとても大きな流通業者があまり儲かっていないのはローリスク、ローリターンである。そういうところへ中小の流通業者がチャレンジする時は値段を思い切って下げてお客を呼び込むというハイリスク、ハイリターン戦略を取らねばならない。

そして高いリスクを取る時にヘッジ(リスクを軽減するなんらかの対策)をしておくことは当たり前だ。カミカゼじゃないんだから、一発の爆弾が成功しなければ終わりなんて、無期雇用の従業員をかかえた企業がやることじゃない。

だんだんわかってきてもらいたいが「その結果が出なくても、なんとかなるように」しておかない経営者はバカである。

いくつも手を打っておいて様子を見るしかないじゃないか。
トヨタ自動車の社長が「EVシフトはわからんから、EVも燃料電池も水素もガソリンも全部やる」と言って顰蹙を買っていて、今、勝者になっていることを見習うべきだろう。

ビジネスは常にリスクと背中合わせだ。毎日、ルーチンワークにおぼれてしまっているサラリーマンにはその自覚がない。
ある日突然、リストラされて初めて気がつく。

もちろん、わからないから手を抜けというつもりもない。
しかし手を尽くしたところでうまくいかないことはうまくいかない。
その時にどれくらい現場を把握しているのか?がリーダーなりマネージャには問われる。
だいたい「結果を出せ」と言っている人はそこを逃げていないか?他責にしているからヘイキで言えるのではなかろうか。
一番やっちゃいけないことが後知恵の「どうしてその時、◯◯しなかったんだ!」だろう。

なにより大事なことは

プロセスが間違っているのに結果にこだわっていたら、何度でも同じ間違いを冒す。

万一であっても撤退の方策を考えていない軍隊は討ち死にするしかなくなる。

ブラック企業なんて典型的な例だ。ビジネスプロセスが間違っているからお客さんがいない。
それなのに、「結果を出せ」なんてバカバカしい。
今までうまくいっていたことが未来永劫うまくいくならば、人力車で鉄道と勝負すればいい。

日本人はどうして撤退を考えるのが苦手なんだろうか?
「結果が出なければダメ」という冷徹さを最悪を考えるために使ってほしいものだ。

関連記事

  1. インターネット企業が伸びるひとつの理由

  2. 週末起業について(自分が動いた分だけでいいの?)

  3. ミュージカル「手紙」を見てモヤモヤ

  4. Googleの知性がいう「潰れる会社」

  5. 知識と知恵だけが身を守る

  6. 案件の構成要素

  7. 懲りないコンサルティング会社

  8. 既存のマスコミの価値