サラリーマンのふり

なくならない成長志向

3Dプリンターで印刷している間、暇だ。
AnkerMakeのM5は稼働にWIFIを必要とする。
逆にいえば、WIFI経由でいつも状況を見ることができる。

プリンターは酷暑の部屋に置いておいて自分は涼しい部屋でこうやって駄文を書いている。

ビッグモーターの件でふと思い出したが、昭和の亡霊でいまだに大手を振って歩いている怪物がいる。それが「成長志向」だ。

とくに株式市場はクレージーだ。多くの人が株の売買でキャピタルゲインが欲しいから、自分では事業をやったこともないのに、ROEがぁ、とか、売上が減っている、とかいとも簡単に判断する。

言い換えると株の売買をしている人で会社のビジネスが肌でわかっている人がどれくらいいるのだろうか?と思う。
わからないままに本を読んでみんなが使う指標で同じように判断して、ニュースや「みんかぶ」を見て、みんなと同じように売り買いしていたら損するに決まってる。
にもかかわらず退職してささやかな退職金を株やFXに溶かしてしまっている人はニュースにすらならない。年を取ってからの大きいミスは致命的で取り返しがつかない。

おっと話が脱線してしまったが、今の日本はGDPの成長率もごくわずかだ。2%とか言っているではないか。
にもかかわらず、企業の売上だけがバンバン増えるわけがない。
増えるとしたら、年々細っていく日本市場に頼らないで海外で商売をしている企業か、ホワイトスペースを見出して活動している企業か、なんらかの参入障壁があり安全な会社くらいじゃないだろうか。

イマドキ売上を年々あげていくって至難の業だし、一見順調だとしてもなにか裏がある可能性が高い。
東芝の大規模粉飾決算はついに東芝に美味しいビジネスは売らせ、本体は非上場企業に落ちぶれた。

考えてみてほしい。ちょうど今は2023年8月で、お盆を過ぎたばかりだ。
しかしあなたはお盆だからと旅行に行っただろうか? カネのかからない里帰りだったり、せいぜい近所の車で行けるところに旅行してきた程度ではないだろうか。
そうやって支出をつつましやかにしていると思う。
それはサービスを提供している会社からすると売上がそれほどあがらないことを意味している。
売上があがらないのだから、人件費はおさえるしかない。給料を下げ、非正規労働者を使い、人件費という固定費を変動費化する。

このように安い給料ー>支出を抑えるー>企業の売上はあがらない、というマイナスのサイクルが日本に出来上がって久しい。
さらに偏差値教育のおかげで、教養の勉強をしない人->考えることができない人がめちゃくちゃに増えた。

はるかフィリピンから脅されて強盗殺人をやってしまう、とか、ホストに入れあげて新宿で未成年なのに売春する、とか、パンやパン教室のフランチャイズをやれば大金持ちになれる、とか、ちょっと考えたらヤバいとわかりそうなものに簡単にひっかかる時代だ。

この傾向も当分続くのだろう。

財布の紐の固い昨今、いくつかの例外を除いて成長神話なんて描けるわけもないのに、サラリーマンのほとんどは毎年売上もあげて利益もあげなきゃいけないと思いこんでいるし、経営する人間はなんの新機軸も出さずに部下に文句だけいう。

そんな都合のいい話ってないよね。
従業員は打ち出の小槌でも、会社に無限の貢献をする存在でもない。
会社法をよく読んでみたほうがいいと思う。サラリーマンって驚くほど自分が働いている環境、労働法に無知な人が多い。

と、3Dプリンター完成まであと2分なので見に行かねば。

 

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