サラリーマンのふり

なくならない洗脳教育

ビッグモーターの問題で再び浮かび上がってきた従業員の洗脳問題(brainwashing)。

今回は株式会社武蔵野の小山昇という人の言動が話題となっているようだ。

社員にストレスを与えて洗脳しようという方法は、サラリーマン世界に50年ほど前から出ては消え、出ては消えしている。

今では語る人があまりいないので、記しておく。
もし、これを読んだならば、あなただけでも洗脳されないでほしい。

もともと洗脳の技術は朝鮮戦争たけなわのころの中国で始まったと言われる(出典は不明)北朝鮮で戦争をしていて捉えられたアメリカ軍の捕虜が中国に送られ、その後、アメリカに返された。
一見、普通のアメリカ兵に見えたが実は脳の中は大幅に書き換えられ、中国のスパイとして活動をしはじめたのだ。

なにをしたかというと、標準的な手順を書く。

まず「解凍」する。目的は今までの信念を破壊することだ。
そのためならば、拷問でも、自己批判で徹底した自己否定でもいい。
判断力を奪うために、あまり寝かせない、昼夜の時間がわからないように電灯しかない部屋で過ごさせる。

解凍が終わったら「変革」をする。目的は新しい価値観を注ぎ込むことだ。
そのために新しい価値観を「提案し」それを肯定するような言動をすると褒め称え、ご飯を与え、異性を与え、褒美を与える。
それにより、この新しい考え方こそ自分が社会で生きていく上で必要なのだと認識させる。

最後は「再凍結」。目的は考えの定着だ。例えば真実の道を他の人にも教えてあげるために参加者を見つけてきてみよう、とか、思想に関する本の感想文を書いてみようとか、する。
「君はすでに新しい社会の一員だ」ということをわからせるためにコミュニティでの地位、特別な呼び名、などを与えて、同じ思想のグループで生活をさせる。

この「解凍」「変革」「再凍結」という洗脳の方法は、アメリカで戻ってきた捕虜から経験したことを聞き出し、研究により明らかになった。

論文や本になることで、まさに「パンドラの箱が開いた」
人の考え方を自分の思い通りに変えられる方法が明らかになったのだ。

アメリカではまず「自己啓発セミナー」というものができた。参加者の財産を根こそぎ奪う。
同じ手法で「カルト宗教」が出来上がり、教祖は巨万の富を築き、ある時は信者と友に自殺した。

悪用は軍隊でも行われたし、社会人の教育というビジネス面でも使われた。

日本には1980年代に輸入され、同じようなジャンル、自己啓発、新興宗教、社会人教育、で使われた。
1980年から1988年ごろまでは多くの企業が犯罪だとも思わずに、社員が短期間で言う事を聞く人間に仕上がるので多用された。
私はこのころ大学生、新入社員であり、大学生のころは某教育企業でできた新しいパッケージということで洗脳プログラムに参加させられ、社会人の時も合宿は洗脳だった。
ひいてはスピリチュアルなセミナーに出ても洗脳だった。
本当に多かった。

後に洗脳の方法だと知られてから、日本企業の人事部では大慌てで封印した。
つまり1980年代前半に多くの企業で新入社員教育でなにをしていたかは、ほとんど記録がないはずだ。

そして、その手法は何度も何度も洗練されながら繰り返し使われている。
今でも新興宗教では使われているし、社員教育を山の中の合宿形式でやっているところでも使われている。

洗脳自体が日本では法律上は野放しで、倫理でしか制限ができないので消えない。

個人的には日本企業はほとんどの企業が洗脳を欲していると思う。

なぜならば、ユニティを重んじる会社は、さまざまな人、さまざまな意見、さまざまな国の人々の意見をまとめていこうというダイバシティをものすごく嫌うからだ。

だから異分子がいるのなら洗脳してしまえという誘惑が常にある。

逆にいえば、あなたが洗脳されそうだと考えるべきことは内容ではなく、周囲にも同じ考え方を強制されていないか?ということだ。
洗脳の手順に書いたとおり、洗脳は個人だけにやることはあまりない。周囲がいないと効き目が薄いからだ。

他者と議論ができる環境というものが、いかに重要で価値あるものかおわかりいただけただろうか?
他者からの受け売りをさも自分の意見のようにコピーするのではなく、自分の頭でしっかり考えて他者を説得できるだけの意見を持つことは簡単ではないが、逃げていたら社会が成り立たなくなると思う。

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