複業で気をつけること

巷のビジネスを見て

日経ビジネスに「副業から複業へ」というシリーズ物の記事があって読んでみたが不安を感じた。

たとえば電通に在職したまま複業をやっている人がいる。
この人がなにをやっても周囲の人は「電通が助けてくれる」と思ってしまう。
本人がいくら「このビジネスは個人的にやっている」と言ったところで聞いてはくれない。
会社での肩書とはしばしば自分の実力と勘違いしてしまうほど、周囲は同一視する。

広告代理店出身の人や人材紹介会社出身の人は、同じ業態を個人でやっている人はすごく多い。
それだけ簡単でうまみがすぐ出るからだ。

しかし、前職の力を借りるということは、似たことをする競合の前にはとても脆い。

しばしば「ビジネスは成功している他人をまねろ」と教えている本やサイトをみかける。
まねることができれば幸いだが、うまくいっているビジネスは周到に他人、他社が真似できない「参入障壁」を設けている。
それに気づかないと、一時的にうまくいっても続かない。

上の一連の記事で疑問に思ったことは、どれも参入障壁がないに等しい。
そんなビジネスは長続きしない。

だから記事の趣旨がダメなわけじゃない。
会社員という仕事をしてもしなくても毎月給料が配布される立場から、独立した場合、ひとつの仕事だけで食べていくことは長期的には不安定だ。
だから複数の仕事をもつことは大事だし、働きすぎてもよくない。

働きすぎてしまう仕事に注意しろということだ。
言い換えると競合が多い仕事。この記事に出てくるWebマーケティング、人材マッチング、女性のお稽古ごとなどは誰もが始められるだけに競合が多く、単価は必然的に下がる。

高い単価を維持し働きすぎないようにするためには、もうひとひねり必要だということだ。

逆に私なら既存の会社がやっているようなWebマーケティングや人材マッチングなんてハナから考えない。
なぜならば個人的に趣味といっていいほど、のめりこみそうなジャンルじゃないと感じるから。

常々、このブログで書いているけれども「好きこそものの上手なれ」で好きなことを仕事にするべきだ。
好きだからこそ、お客を超えることができる。お客より博識、深い見識をもっていてこそプロなのだ。
お客に欲しい物を聞くような愚かなことをしてはならない。お客よりモノをしっているということは「あなたはこういうものが欲しかったのでしょう」とお客に見せると思わずお客が財布を開いて買ってしまうことができるということだ。

新製品のマーケティングと称してお客を集めてインタビューしている企業は多い。しかし、そこから出てきたアイデアにお客がカネを払うかというと別だ。
一方、故スティーブ・ジョブズは新製品を作る時、マーケティング調査なんぞしなかった。「俺が欲しいものを世界は必要としている」だったのだ。結果はまさにそのとおりになった。確かにジョブズは天才だったが似たようなアプローチをしている企業は多い。

あくまでも選ぶジャンルによるけれども「好きなことを仕事にするな」は間違っているといえる。

複業を考える場合、前職にこだわらず自分の好きなことから考え始めるべきだ。
だが、ユニークさと参入障壁についても考えねばならない、ということ。