雑感(日記)

今の日本のビジネスの立ち位置

「日本」という大雑把なくくりなので、私の目から見ての「日本は」ということになります。

技術立国日本はすでに嘘

表題のグラフはジャパンディスプレイという会社の過去5年の株価チャートです。
この会社は電気会社の液晶制作部門をかき集めて作った国策会社です。

ひょっとしたら大昔のシャープの記憶で、いまだに日本の液晶は世界一なんて呑気に信じている人がいるかもしれません。でも、株価は低迷、赤字を垂れ流しております。

日本人の多くってビジネスについて関心のない人がすごく多いですよね。
CAの給料が高い、とかいまだに信じている人ってものすごく多いのではないでしょうか。

日本すごいですね、どころか、私は日本大丈夫?状態だと思う。

報道からいくつかピックアップしてトレンドを探ります。

三菱重工が旅客機の開発をやめた

三菱重工は戦闘機を作って防衛省に納品している。そういう企業がなぜ旅客機を作れないのか?
いろんな記事を見ると海外の航空局に届ける形式認定が取れないようだ。
形式認定はとても厳格で飛行機の部品ひとつひとつにも課される。飛行機って実はいまだにコンソールがブラウン管のものも多い。それはブラウン管の部品で形式認定を取っているために変えられないのだ。
そういう厳密な検証に耐えるものの作り方を知らないから、アメリカに開発拠点を移しても、アメリカの形式認定をパスすることはできなかったようだ。
はっきり言って、自社の技術についての自惚れが過ぎたということだろう。

電気自動車の会社がない

アメリカで有名なイーロン・マスクが起業したテスラは電気自動車の会社だ。アメリカには他にもRvian AutomotiveとかLucid Motersなどがある。
中国の企業はまだ有名じゃないけれども、NioとかFaraday Futureなどがある。
常々書いてるけど、エンジンというやっかいなものを積まなければ、車は部品点数が半減する。
起業することは簡単。
でも、日本だと役所が認めないままで、トヨタ、ホンダ以外はずるずると消え去ることだろう。

ソフトウェアの会社がない

意外に思うだろうけど、日本にはソフトウェアを作って世界に売っている会社はない。
理由は単純で、プログラマーの人件費が激安なのでまともな人は就業しないことと、英語ができないこと。
AI技術をやっている企業なんてあっても、GoogleのAPIをうまく使えます程度であって、世界に売るといったレベルにはならない。

プロセッサーの会社がない

メモリーとプロセッサーは複雑さが小学校と大学くらいのレベル差がある。そして回路図が大規模化した昨今、すでに人手でプロセッサーを設計する段階は過ぎた。私の記憶ではPararaxのPropellerが数年前に人手で設計した最後のモデルだった気がする。
日本では日立製作所やルネサステクノロジーがCPUをがんばって売っているが、話題にもならないのが悲しい。
というか高い。
世の中はインテル, AMD, ARMと中国のESP32で動いている気がする。私が愛用しているマイクロチップテクノロジーのPICなども話題にならない。

投資する会社がない

長年、外資系のIT企業に勤めていると、海外からみた日本の立ち位置がわかる。
英語でCash Cow(カネを生む牛)という表現があるが、日本はそう見られている。
動いているカネの規模は大きいけれど、成長しないから投資はしない。この考え方に日本人も早く気づいてほしい。
だから、期待される売上は大きいけれども予算は極小。投資のカネは中国や東南アジアといった成長国に回される。これらの国は日本やアメリカがやった失敗はバイパスするので成長が早い。

決断がとろい

日本では通用するが、海外では通用しないビジネスマナーはたくさんある。
最たるものが「ごあいさつにおうかがいします」
なにかの記事で読んだが、ついにファーウェイは日本企業が「ごあいさつに」来るときは、有料にしたそうだ。
どういうことかおわかりだろうか?
大量の人間が名刺抱えてやってきて、ニコニコしているだけでなんの具体的案件についての話もないまま、帰っていく。
「人間関係を作ってから」という日本人の考え方もわからないではないが、こんなインターネットの時代に「人間関係」より「案件」が先。
仕事をしていれば、人間関係はできていく。
目標に向かって邁進する日本以外の企業からしたら「あなた、今日の要件はなんですか?」だ。

仮になにか案件があっても、日本企業は決断が遅いので嫌われる。
責任回避のために、ミーティングの現場に責任者を出さない。すべて「持ち帰って上司の決済を」と言ったまま、数週間が過ぎていく。
あげくの果てに「リスクが高いからやめる」と言い出したりする。

あれ、実はめちゃくちゃ失礼なやりかただ。
さっさと条件をすりあわせてGOならGO、NOGOならNOGOが日本企業以外の方法です。
「そんなに短時間に見積もりの精度は出せない」などと言っている人は完全に間違い。
事業とは未来のリスクを取ることで成立する。
今回の新型コロナウィルスで思い知ってほしいが、未来なんてわからない。
100%のプランなんぞできるわけないし、実際に案件を進めていく上で、突然起きることに対処するのが世界のビジネスマン。

今でも新型コロナウィルスの売上の落ち込みを行政が補助金でフォローしてほしい、という人がいるが、とんでもない話だ。
その補助金の出どころは私の税金だ。福島の復興で使われた補助金だって、今「復興税」として払い続けている。
なんで、赤の他人の事業の不振で俺が税金背負わなきゃならない?
あの補助金クレクレの連中は、もうちょっと他人に頭を下げるべきだろうし、一般の人も慎重論を唱えるべきだろう。

リスクを取りたくないというサラリーマン根性が、なんとかリスクを回避しようとゆっくりじっくり考える。
そして会社にいる人間全員が「うん」というまで動かない。それでリスクヘッジになってるのだろうか?
その決断にかかる時間こそは海外の企業からしたら「リスク」。案件を他者にもっていかれたりするから。

しばしば日本企業相手でこんな経験を私もする。
ソフトウェアに不具合があり、開発部門に回す。
聞いてきた人は進捗ミーティングがあるのだろう「○月○日の14時までに修してください」などとヘーキで言う。
原因をつきとめることが、スケジュールベースでできると思っている。
そのくせ、自分の設定ミスだったりすると、謝りもしない。
今の日本人の責任感なんてこんなもの。
責任を誰も取ろうとしないから、決断はどんどん遅れる。
決断の遅れはビジネスリスクの拡大ということを理解できないようだ。

新しい産業がない

今までの日本はアメリカの産業をまねてきた。最たるものが車だろう。
それで「ものづくり」という概念が出てきて、それさえやっていれば未来永劫食えると思い込んできた。
ところがアメリカの産業はGAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)に見るようにインターネットとソフトウェアで成り立っている。
今の日本企業の経営陣にはまるで理解できていないと思う。
だって従業員を半減して、スキルの高い人間に高い給料を払い、高い知性の産物をサービスとして提供するなんて日本の常識を逆なでしている感じでしょ。
「みんなでがんばった」なんて考え方はどこにもない。
上でソフトウェア会社について書いたが、プログラマーをバカにして、ジェネラリストを偏重している限り新しい産業の興隆は無理だろう。

前向きな考えがなく、嫉妬とやっかみ

自分と異質な人は叩くことを小学校のころから「いじめ」として学習する。教師も建前ではいけないといいながら、容認しているから増加するのだろう。「体育会系」と称する上の言うことを問答無用で聞き、自分では考えないロボット人間がもてはやされる。

「コミュニケーション能力」と日本人は言うが、それは異論をもたずに「はいはい」という人であって、議論をして意見が違っても仲良くできる、という能力を日本人の大半はもたないのではないか。
だから海外の大学で議論を学んだ学生なんてやっかいだとしか考えていない。
日本人のいうコミュニケーション能力って、同質、同意しかない。

会社では結婚した、妊娠した、子供がいる女性を差別する。そのように暗黙的に管理職を追い詰めている会社はとても頭が悪い。なぜならば新人採用をするという意味は会社の新陳代謝を図っているということなのに、将来の芽を潰していることに思い至らないからだ。
日本全体にそんな考えの会社ばかりが広がり、少子化になった。
思慮の足りなさは日本中に広がり、大半の中年、若者は知性に価値を見いださない。てっとり早い応用研究ばかりする。大学から文学部が「使えない学部」として消え去ったことは偶然ではない。

学問も、低迷

一番わかりやすいのはおそらく論文数のシェアと被引用数だろう。ここを見てほしい
みごとに日本は1981年頃に回帰している。
大学への助成金は年々減り、研究なんぞやってりる場合じゃないだろう。
金儲けを教授に考えろというのは無茶すぎる。

いまや中国は世界4位の被論文引用多数国だ。
これでもまだ「中国は遅れてる」とか言えますか?
まぁ、韓国よりは多いけれど、それでよかったという議論じゃないでしょう。

モラルなき政治

菅総理は二言目には「お答えをさしひかえる」という。安倍総理が始めた事実上の説明拒否だ。
森友問題で自殺した公務員の奥さんが訴訟をしている。
新聞を読んでいる日本国民はみーんな犯人を知っている。
それでも罪は裁かれない。誰の罪でもないのだろう。
これってさぁ、アフリカとか東南アジアの政情が不安定な国の政治家とやってることは一緒だよね。権力を行使して好き放題をやる。
国のために新しい産業を起こそうなんていう義務を果たすつもりはさらさらなく、財界と呼ばれるゾンビ企業集団に補助金をバラまいて仲間内でさくらの会を楽しむ程度のことしかしないってことだ。
賃金をあげるのも、お友達に頼むなんていうビックリするくらい原始的なことしかできない。
最初に書いた三菱重工のジェット旅客機にもかなり政府のカネも注ぎ込まれたという。誰も責任は取らないんだろうな。

上場企業の経営者の責任追及がきちんとなされない

ついこの間、ようやく大塚家具の大塚久美子氏が社長をクビになった。
ヤマダ電機が資本を入れて、株主としての権利を行使するまで、ナント5年間も無能っぷりを世間にさらしていたのだ。
大塚家具はずるい上場企業で、「ききょう企画」という同族会社が株の大半を握っていた。
ここに一族郎党が巣食ってるから大塚久美子は会社が赤字でも彼らの生活費のために無理な配当を続けていたと推測される。
これっていろんな意味で大問題で、そんな企業が上場していていいのか、とか、誰が見ても無能な経営者を同族だからとのさばらさせていていいのか、とか、そんな配当のために銀行に借金重ねて企業価値を毀損するのか、とか問題だらけ。
これは極端だけれども、日本の多くの企業が経営者が発狂しようが、株主はなにも権利を行使しない。たまに株主が権利を行使しようとすると、日本のマスコミはそれが横暴な許されない行為のような書き方をする。

しかし、そんなトランスペアレンシー(透明性)のない株式市場が他国から見て、魅力的だろうか? 少なくとも日本の経済界、株式市場が公正だなんて思う海外の投資家はいないだろう。

品質とお金の関係が理解できない

日本のAmazonのレビューに大量に掲載されている「中華製品は安かろう悪かろう」というコメント。
安いものを買って「品質が悪い」って言っている意味は、「どんなものでも高品質じゃなきゃいけない。品質は無料だ」といっている。
日本人以外にそんなこと考えている人はいない。
あなたが指紋がつかないように磨き上げているスマホは中国で生産されたものが多い。
それらはどう説明するのだろうか?
そして日本の低賃金で田舎の工場で兼業農家の家族により作られたものが、なぜ素晴らしい日本人の職人が磨き上げた高品質製品だと思うのだろうか?
それこそ幻想だ。

少子化と老人の増加

ご存知のように日本は1000兆円の借金を抱えている。
財務省は「景気が回復すれば少しずつ返していく」という見込みを長年続けたはずだ。
しかし、肝心の納税者が減っている。少子化とはそういうことだ。
そして、団塊の世代が後期高齢者となりつつある。
この問題は介護保険がどうのというよりも、民主主義という多数結論理では、老人の有利になる方向にしか國は動かないということだ。
もし、あなたが「そうは言ったって政府は若者のことも考えて施策をうつだろう」というのであれば、それは民主主義の否定だということに気づいてほしい。
民主主義だからこそ、圧倒的多数の老人の意見が優先されるのだ。
従来の借金、日銀の大量の株式書い、コロナでの補助金などを返すために、日本の若者はとてつもない重税を課される可能性が高い。
それがますます、可処分所得の低減、結婚や子供を育てようという意欲を減退させるだろう。

それなのに、会社で働いている人々は若者をパワハラしようと待ち構えているだろう。
「自分がやられたことは、やりかえす」という人ばかりで、「自分がやられてイヤだったから、自分が止める」という人がなぜこんなに少ないのだろうか。
いったい職場をなんだと考えているのだろう?
これからはがさつな職場はどんどん若者は辞め、ネットで情報は共有され、そんな企業は淘汰されていくと思われる。
労働組合はなくても、インターネットによる情報共有が産業単位の組合のような役割を果たすだろう。

 

まとめ

 

このように実はいろんなものが今の日本には「ない」。

とくに企業と日本人の思考法が、20世紀で進歩が止まっています。
あったものがなくなると人は騒ぐけれど、ハナからないものについては気づかないですよね。

そして自分達が作ったものじゃない、生産の大変さを知らない人々は、そのモノを呆れるくらいに口汚く罵ります。
もう、貧乏貴族ですよね。今の日本人て。

そしてとてつもない重税が若者に課されるでしょう。

これらの話から今、いえることは、可能な限り日本以外の国に本社がある企業に雇われたほうが、給料は高く、労働条件も適正で、ストレスも少ない、ということです。
そして将来ヤバいとなれば、移住する。

個人主義になるべきです。

英語と中国語の勉強をしましょう。

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