本を出すのは、”メインフレーム・ハンドブック”を出して以来、10年ぶりです。
しかも今回は仲間で集まって自費出版。(Amazonではここ)
類書がないから出版社に話をもっていっても断られることがわかっていますからね。
最近の出版社はタイヘンですよ。
本の内容は、ライフの周波数療法というものがあって、それを現代化し違法にならないようにした療法です。
もちろん私は治療家でもなんでもないので、肝心なことは他の先生が書いておられ、私はもっぱら使う機材の原理、なぜそういう風に作っているかの担当です。
facebookにも少し書いたのですが、この療法の成功のひとつの理由は装置が安いことがあると思っています。
代替療法は手技だけのものもありますが、機器を使用するものもあります。
そういう機器は100万円前後するものも珍しくありません。マーケッティングの見地もあるのですが、もともと製造コストがバカ高かったりします。
なぜ製造コストがバカ高いか?
なぜならば装置の企画をする会社(個人)は電子機器などさっぱりわからないので、設計、プロトタイプ、量産化、量産について丸投げをするしかないからです。すると量産化の前までで軽く数百万円、数千万円はかかってしまいます。
さらによせばいいのに、「カッコいいものを」と特注のケースなんか作らせると金型代だけで100万円追加されるのです。
モノを作るって、知らない会社は悲しいくらいにお金を払うしかないのです。
頼まれた機器の設計会社が暴利を貪ろうとしているからではありません。企画から要件を決め、設計をし、見せたら「こうじゃない」とダメ出しを食らっても諦めずに最後までやり遂げる、かなり高いビジネスリスクを請け負うので高いのは当然です。
実際にそうやってできた装置は代替医療の世界に多く「これならパソコンでプログラム書いてアプリケーショにしたほうがいいじゃないの」とか「なんでハードウェアでここまで作り込むかな」とか、とってもアンバランスでバカ高い装置をしばしば見かけます。しかも田舎の設計会社で結構設計が古かったりする。
そこから浮かび上がってくるのはお客さんと業者の関係です。お客さんの要望に反論しないかわりになんの提案もしないでできあがった代物なのです。
今でもそういう原則は変わりません。
業者さんでお客さんと会話や提案ができる人はあまりいないと思います。
そういう能力のある人は安い田舎の設計会社なんかで働いていません。
なお、ビジネスや契約について甘い人は発注時に相手がビジネスリスクについて逃げるかもしれないということをあまり深く考えずに知り合いだからなどということで責任分界点をしっかり設定しないで契約して、結果的になにも得られないということがなきにしもあらずなので気をつけてください。(かくいう私も失敗をやらかしたことがあります)
一方、最近しばしば耳にするでしょうが「メイカーズ」ムーブメントがあります。
古くはラジオの自作でしたが、デジタル化の昨今はデジタル機器の自作が簡単にできる時代となりました。
このブログでも時々書き残しているPICというマイクロプロセッサーやArduinoというボードはメイカーズムーブメントを支えています。
また、Raspberry PIやMicro:bitはもっと高度なことができるペリフェラル(周辺機器)を組み込んだボードです。
単純なことしかできないだろう、という一見科学的な「だろう」は間違っています。
Micro:bitは以前使ったことがありますが、とても開発環境が充実しており、Google ChromeブラウザーとBluetoothで接続し、リモートでスマホから振動を検知するなどということが可能です。
Raspberry PiはLinuxが動作するためなんでもといっていいくらいの可能性があります。スーパーコンピュータなどを作ることもできるのです。私はYoutube見る専用マシンを一台作ったくらいです。
どちらもイギリス製ですが、イギリス(UK)は安価なデバイスを設計することがとても上手です。
残念ながら今のメイカーズムーブメントは個々の技術を使っていることが楽しくて、なにか問題を解決しようという実用レベルの段階ではありません。メイカーズフェアなどにいっても技術ありきなものばかりです。二度と行きません。
あのままだとさびれるでしょうね。ごく一部の仲間内だけで盛り上がるイヤなパターンです。
しかし、グローバルレベルで使いやすいパーツがメイカーズを支えているから少しの勉強で大きな成果を出せるのです。
私の認識の仕方では、これらはハードウェアのモジュール化です。
スマホをインターフェースにして、システムを作るなんてことも可能です。
今回の本に出てくるデバイスでも次のモジュール(AD9833シグナルジェネレータ)を使っています。
これで3MHz以上の周波数を生成しますが、コマンドはデジタルで与えることができるのです。
(作る時はかなり苦労しましたけどね)
従来は電子機器の設計会社が素子やICの仕様を調べながら、個別に試行錯誤でやっていた設計作業がメイカーズ市場にある製品を使えば簡単にできるのです。
当然、コストは大幅に下がります。
つまり製品を企画したら、自社で設計、プロトタイプ、量産は可能です。
実際に今回、私はまさにそれを達成したからこそ本に掲載できるレベルになったのです。
もちろん知識は幅広く浅く知っておく必要はあります。
今回の本で必要だった技術は思い出すままですが、
- MicroSoft Visual Studio
- Arduino Pro/miniと開発方法
- シリアルポートサポートUARTデバイス
- I2Cプロトコル
- AD9833周波数発生モジュール
- 高周波の増幅回路
- 基盤設計の基本
- 簡単なケース加工
くらいだったでしょうか。
しかしこれだけ知っていれば、自分で製品が作れるわけです。
かかる開発コストが1/100くらいになるし、なにをハードウェアにやらせて、なにをソフトウェアにやらせるかも一人の設計であれば、妥当なものができます。
この本の中ではまったくデバイスの設計については触れていません。
しかし私はなにかアプリケーション(代替療法)があり、そのソリューションは電子機器制作の技術があれば、小規模(数百台レベル)でも製品を開発できる時代である、ということも重要なメッセージだと思っております。
さらに、やはりこういう製品を作る時も無神経にマネをしようという人間の出現を考えます。
しかしこの装置はマネをすることは困難です。あえて手間がかかるように作っています。
ビジネスではそういったことも大事です。
私はここまで誰一人メンターはいませんでした。
当然です。
新しいジャンルですから。
だからこそ、いつかハイブリッドビジネスでやるメーカーについて後進の人のためにおおいに語りたいものです。
なにしろ、あと1万日も生きない人生ですから。