答えはわかっているが、まず事実をあげてみたい。
内閣府が行なった『国民生活に関する世論調査』で、現在の生活に満足していると答えた人は、74.7%で2年連続で過去最高を更新したという。これを18歳から29歳までに限定すると83.2%という。
みなさん生活に満足しているのですね、というと違うだろう。
決してヘッドアップしない生き方をしているからじゃないだろうか。
留学、スキルアップ、そんな暇もお金もない。
スマホへの異様なしがみつき方も他に格安で遊べるものがないから。
仲間とLINEをし、Netflixで楽しむ。
それ以外は余裕がない。
マクロで見れば、日本のGDPはアメリカの4分の1、中国の半分以下。
いつも言っている一人当たりGDPは世界27位。
もう先進国じゃない。
団塊の世代の成れの果ての妙な人種が跋扈していても、そういう国なんだからと思えば納得できる。
一言で言って、派遣制度が労働環境をすべてぶち壊し、国民の家計をぶち壊したんだと思う。
あのころ小泉総理が「自民党をぶっ壊す」とか叫んでいたが、ぶっ壊されたのは家計じゃなかろうか。
労働環境が二重になり、どれだけ安くても「私やります」と言い出す裏切り者の人間がいる限り賃金は下がり続ける。
ちなみに自分は経済学を大学で学んだが、ここ20年の世界経済を見て、アダム・スミスの「神の見えざる手」は完璧に嘘だと確信している。
需要と供給は均衡点がある、という話。ここから「一物一価」という考え方ができ、そこから「労働市場」という妄想が広がった。
しかし現実を見れば、ひとつのものがひとつの価格なんてあるわけがない。
同じパンをコンビニで買うのと、ドンキで買うのでは値段が違う。
コカ・コーラはボトラーは自販機がもっとも儲かり、スーパーではほとんど利益がないという。
供給側が二重、三重の価格をもっている。
しばしば定価というものがあるが、値崩れを防ぐためのメーカーの虚しい努力であって今やほとんどのものが「オープン価格」と価格は決まっていない。
いくら「神の手」が抽象概念だといっても、現実を説明できない抽象化は寝言だ。
神の手による均衡点はない、というのが事実。
ましてや労働市場なんて存在しない。賃金の均衡点なんぞない。
それがわかっているから法律で最低賃金を法律で規制するんじゃないか。
同じファイリングをしていてもブラック企業と儲かっている外資系企業で時給は違う。
社員だ、派遣だ、パートだ、アルバイトだと複数の労働条件が存在する限り、それぞれにおいてより低いの賃金でも「やります」という裏切り者は必ず存在する。
大昔の組合のような一致団結が不可能な時代だ。
したがって賃金は一方的に下がり続け、最低賃金で留まる。
これが昨今の正しい労働論だよ。
戦後、労働基準法などいわゆる労働三法ができたころは労働組合は裏切り者を出すことなく、一致団結したから集団としての主張ができたのだ。
今の時代は労働組合も出世のキャリアパスに組み込まれ、会社vs労働者なんてまったく機能しない。
正社員vs.派遣という壁ができた。
労働組合は組合費はふんだくるが困っている派遣労働者を助ける気なんかさらさらないのが事実。
しかも企業がリストラをして(企業の財産の人間を切り落として)も、株式市場は愚かにも「コストが下がった」と株価があがるしまつ。
だから間抜けな経営者は売上を伸ばす努力は怠ってリストラしまくってしまった。
長期的に考えれば、そんなSONYのようなタコが自分の足を食ってるような企業が復活するわけがない。
社内ベンチャーとか言っておもちゃや腕時計を作ったところでSONYのような大世帯の屁の支えにもなりはしない。
SONYの役員って頭が悪いとはっきり言っておく。
往年の大企業は老人がのさばり、老人は自分の退職まで会社がもってくれればよく、その後のことなど考えていない。
リストラ、派遣採用はもっとも簡単なコストダウン方法であり、何年も馬鹿の一つ覚えのように繰り返してきた。
売上を将来のために伸ばすために必要な、新しいことをリスクを取ってやるなんてやるわけがない。
まとめると、
- 労働条件の違う労働者の反目
- 儲からないビジネスを続けることによる企業のブラック化
- 老人経営者によるリスク拒否と場当たり的経営
この3点が日本の道を誤らせたのではないかと思う。
わからない人のために説明すると、
-
- 給料はあがらないで、企業の利益は企業内に貯蓄される。(内部留保という)
- 給料が安いから一般国民の消費は上向かない、どころかわずかな金でも明日が不安だから貯蓄しようとする。
- 消費がないから生産も必要ない。
- お金はあるのにリスク回避で設備投資しない。
- 技術は陳腐化していくから海外の先進技術を見ないようにする。
- 国際競争力を失い儲からないからコストをさげることしか考えない。
- 企業は成長しない。現状維持に腐心する。
財界とか一部上場企業の役員とかえらそうにしている老人を偉いと思ってはいけない。
かつて倒産したサンヨー、ダイエー、左前の東芝などにのさばっている連中と一見、健全な会社の連中はたいして変わりはない。
有名大学を出て、その会社に生涯を捧げたような人間にリスクテイクや広い見識など期待するほうがおかしい。
ただ日本も中国ほどではないにしろ、多様性は残っている。
若い人や技術者が起業することで市場を食っていけるだろう。
アジアでユニークなビジネスをやる日本人の中からは成功者も出るだろう。
今、知らない人々が表舞台にしばらくすれば出るかもしれない。
ファーウェイが新入社員に40万円払ったと騒いでいるが、それはアジアの先進国では驚くことではない。
日本人が貧乏に慣らされてしまっているのだ。
ということは巷で言っているほど、大企業が機敏に行動することは予想する必要はなく、小さい企業が機敏に動くチャンスはいくらでもあるということじゃなかろうか。