世の中ではやれIoTだ、Raspberry PIだ、と騒いでいるが、電子機器製品開発の立場から実情を書いてみます。
IoTはウィルスに弱い?
まず、IoT機器がウィルスに汚染される、というのは大部分で間違い。
というのも、ウィルスを作るためには、実行されている機器と同じ環境がなければ作りようがないのですよ。
コンピュータ・ウィルスは自然界のウィルスと違って、誰かが書いたプログラムです。
そのプログラムは実行環境で開発されます。言い換えるとOSという層がないと開発のしようがないのです。
今の時代では事実上、組み込み用Linuxが稼働していないマイコンボードへのウィルスなんて作りようがありません。
圧倒的に多い、PICで作ったセンサー検知とか、リレーのオンオフなんていうプログラムにはウィルスを入れたくても入らないのですよ。
マスコミの人はOSの有無など考えずにぜーんぶがIoT機器だ、と雑に考えているから誤解させるような報道をするのは困ったことだと思います。
OSのないマイクロプロセッサーのほうが世の中には圧倒的に多いのです。
今、IoTといっている機器は数の上からは少数です。
もっともインテリジェンス(いろんなことができる)があるので、重要な仕事をしていることが多いという点はあります。
LAN用の機器なんてのがそうですね。
ボードの値段
今、数多くのマイクロプロセッサーを積んだボードが販売されています。
しかし、ほとんどのボードがひどいものです。
どういうことかというと、ものすごく高い。
例えば、(秋月電子調べ)
- STM32-1600円
- Beagle Bone 4980円
- mbed 4200円
- GR-peach-full 9690円
- Intel-Edison 9400円
- Tessel2 9720円(Switch Science)
これね、一台だけ買って趣味で遊ぶのであればいいですよ。
でも「開発したものをたくさん作って販売する」って考えてみてください。
材料費だけで10000万円近くするもので、製品なんて作れません。
言い換えると世の中でもてはやしている”マイクロプロセッサーボードでIoT機器を作ろう”なんて嘘です。
なにか作ってイメージしているようにばらまいてご覧よ。絶対に盗まれるから。笑
作れるものは一品物に限ります。
製品化できる可能性がある安価なボードを考えると、1000円以下、場合によっても5000円以下のボードということになるのです。
- Raspberry PI Zero 600円前後
- Arduino Pro Mini (輸入すれば2ドルしない)
- PIC12F629単体 90円
5000円以下ならRaspberry PI 2一択
Linuxが必要ならRaspberry PI 。そうでないならArduinoで開発、さらに単純な動きでいいならばPICシリーズで開発することになるのが実情です。
残念なことにRaspberry PI Zeroはたいへん品薄です。
Switch Scienceなどは「Raspberry Pi Zeroは組み込み向けの製品ではないため、大量購入のご相談は対応できません。」などという嘘を並べています。
なにを組み込んで使うかなんてユーザーの勝手じゃ。品薄なのと他のかねあいで売りたくない、と素直にいえよ。嘘つきめ。
もし、マイコンで製品を作ろうとかアイデアをもっていて実現性を考えておられるのでしたら参考にしてください。
ボードが必要か?
たとえば、機械にしゃべらせよう、と考えると大きくわけてふたとおりの方法があります。
ひとつは音声合成ボードというハードウェアをマイクロプロセッサーでコントロールする方法、もうひとつはソフトウェアで話させる方法。
どちらが目的に即しているかは、よーく検討したほうがいいです。
ボードを制作して流通させるのは難しいですが、ソフトウェアだけなら簡単かつ知識も少なくていいというメリットがあります。
WEB APIの利用を検討することは忘れちゃいけません。