サラリーマンのふり

才能を潰す国、日本

ひろゆき氏がこんな記事書いてる。

日刊SPAなのでそのうち消されるかもしれないので、要約すると、

先日17歳の少年がB-CASをハッキングし、自分のHP上にその成果を公表したため警察に不正競争防止法違反容疑で逮捕された。
これ自体は不正競争防止法違反以外にもさまざまな罪に問われることになるだろうが、結果、この少年を悪いヤツとレッテルを貼ることがどうか?ということです。

たしかにそのとおりで、技術のフロンティアをいじっている時には好奇心が強力なドライバーです。

私がよく知っているジャンルのプログラミングの世界でも、電子計算機損壊等業務妨害罪という罪状があります。

これがザル法で行為者が故意かどうかは問うていないんですね。潜在的なバグが発覚し、業務が止まったらプログラマーはこの罪で逮捕される可能性はあります。

かなり難しいプログラムを書くプログラマーでバグもさりながら、コンピューターウィルスに似たコードを書いたことがない人はいないはずです。

素人にもわかりやすく例をあげます。
あなたが服をウェブ上でカスタマイズできるサイトに行ったとします。そういうサイトはたいていサーバー側で一時的にあなたと対話するプログラムが立ち上がってサービスをします。
しかし、あなたが途中で気が変わってそのサイトを立ち去ったら、あなたの相手をしていたプログラムはどうなるでしょうか?
本来は「しばらく」したらきれいにサーバー内から消えないといけないのですが、なんらかのバグ(プログラマーに限りません、OSのバグ、ミドルウェアのバグなどもありえます)でメモリーに残ったとします。
これが繰り返されていくとサーバー内部で使用可能なメモリーはどんどん減っていきます。
最終的にはメモリー不足でサーバーがダウンします。

アプリケーション、ミドルウェア、OSを書いたプログラマーのミス、もしくは考えていなかった条件の時の動作などでサーバーダウンという結果を招きます。

これは外形的には誰かの「不正な命令」によることになります。誰も犯意はないのに。

もっと大きな例をあげます。
現在、株式市場で利益をあげている方法は「高頻度取引(ハイ・フリークエンシー・トランザクション:High Frequency Transaction)といいます。これは証券市場の隣、ミリ秒でアクセスできるところにサーバーを置き、高等数学を駆使して、市場取引に応じた株の売買をプログラムで行う方法です。
しばしばデイトレーダーという人がいますが、高頻度取引プログラムはデイトレーダーに情報が届く前に、そして人間が判断するはるか前に売買をしています。
結果、確実に儲かります。
これは市場の公開性という意味でフェアといえるでしょうか?
驚くべきことにアメリカでも日本でもこの方法は違法ではないとされています。
ならば、高頻度取引のプログラムを書いている人々は合法なのでしょうか?
私は市場の公開性という意味では違法だと思っています。
日本で誰かが訴えたらどういう判決になるかわかりません。グレーエリアです。

こういう例を考えると、コンピューターの世界では違法と合法の堺があいまいなのです。
当たり前です、法律策定時に想定されていなかったことが新しい技術の前には現れるからです。
誤解を恐れずにいえば「たまたま発覚したものを叩いている」のです。

17歳の少年はHPに自分の成果を細かく公開したから犯罪となりましたが、彼の調査能力とプログラミング能力は工学部の情報処理をやっている博士とどっこいだと思います。(逆にいえば、大学の修士程度でも論文と称するものを読むとアメリカならハイスクール程度のレベルのものが多い。)

そういう能力を悪者というレッテルをはって消し去ることは、残念だと思います。
なぜならば法律の上では、彼は処罰を受けたら、それで0スタートできるはずです。

しかし、現実はそうはいかないでしょう。彼が再びキーボードに触れば周囲は犯罪を犯すんじゃないかと「期待」します。そしてやめさせます。

そうやって日本では元々少ない貴重な才能を摘みとってきました。

モラルを保つことは大事ですが、一度、失敗した人にレッテルを貼って二度とチャンスを与えない日本がどんどん新しいテクノロジーの分野で取り残されていくことは当然だと思います。

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