起業

企業の合併

企業が合併したらうまくいくか?

M&Aなどはうまくいくことが前提なんだけれども本当だろうか?

ちょっと経済理論めいた書き方をします。

今、業界Aにa社、b社があったとします。
a社は業界2位の業績のよい会社、b社は業界10位くらいの業績のよくない会社。
業界Bにはa社もかかわっていますが、c社のほうが業績がいい。
d社は業界でも10位くらいの会社です。

業界Aと業界Bは同じでも違っていても構いません。

こういう場合、a社、c社の合併はたちどころに業績があがります。
強者と強者の合併です。

a社とb社の合併はしばらくもたつきます。
強者と弱者の場合です。

b社とd社の合併は多くの場合、よけいに悪くなります。
弱者と弱者の場合です。

「企業の合併論」という研究はすでになされていて財務諸表の分析で結果の傾向はわかっています。
もし知らないのであれば、経済学の一分野なので知られていないかもしれません。

じゃ、なぜそうなるのか?

これはほとんどの企業で取っている、事業部、カンパニー制度を考えればわかります。

a社とc社という会社で観たところで内情は細かい事業部に分かれています。
しかし、どの事業部も業績がよい場合はそのまま保持され、かつ、新しい機会はないかとたいへん前向きな会議がなされます。働いている人々も自分の居場所は確定していますから安心して働きます。

a社とb社のような場合は、事実上起きることは吸収です。
弱小企業だった事業部は解体されa社の事業部に吸収されます。その時、b社のマネージャは飛ばされます。
これは酷いように見えますが、b社のやり方を主張する人はa社にとってみれば不要なのです。
いちいち変えるように説得するコストを払う必要はありません。それが吸収合併というものです。
なおかつa社の従業員にとってみれば、久々の空いているポストがたくさん発生する千載一遇のチャンスです。
なにがなんてもb社の管理職は遠ざけられます。
その争いが一段落し、のれん(商流)もしくは技術がうまく吸収されると業績があがります。
ですから時間がかかるのです。

b社、d社のような弱小同士が合併するとうまくいきません。
この場合、吸収も起きないのです。どちらも自信がありませんから、なあなあで既存のままでいようとします。しかし合併したということはシニアマネージメントは効果を出すように旗を振るのです。
危機感があるから乏しい財布から合併の費用を出したのです。
しかし、もともと弱小であるには「知恵がない」という現実があるのです。
木に竹を接ぐような案がもちだされ、反対意見もない(みんな我関せず)ので少しだけやってみます。
だいたいビジネスで、大した能力もない人間が少しだけやってうまくいくものなんてあるわけありません。
そこで「あ、やっぱりうまくいかないわ」となります。
何度かそれを繰り返して数年無駄にすごし、すっかりイヤになったころに業界の変動が起きて取り残されます。
結局、あの合併はなんだったんだ?になります。

実例を考えてみましょう。

強者同士で割合とうまくいっているのは、バンダイナムコなどはそうではないでしょうか。
それそれの経営者が顔を出していますし、売上、株価もあがっています。

吸収合併の例はいくらでもあります。
パナソニックのサンヨーの吸収もそうでした。エネループや太陽電池の技術だけを残し社員はみんな叩き出す。これが吸収合併です。
サラリーマンは「吸収されてもがんばればなんとかなる」と思っていますが、何年かけてでも追いだされます。

弱者同士は話題にもなりませんが、かつて働いていたセキュリティ会社で内情を見て目を覆うばかりでした。将来の展望なんてないです。

今、東芝とシャープが手を組む?ようなことが模索されいるようですが、絶対に(珍しく使う)うまくいきません。

 

 

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