いきなり誤解されそうなタイトルをつけてしまったけれど、そう思っている。
で、大事なことは若者に責任はない。
今、仕事でソフトウェアの保守関係をみているけれど、2014-2015年から決定的に日本のIT業界に変化が起きている。
現場のトラブルをその上、そのまた上はまったく評価できない。
それは大手といわれる企業でも例外ではない。あの会社もこの会社もトラブルを社の力では処理できない。
どういうことが現場で起きているかというと、
作業を派遣の自称エンジニアが行う。
トラブルが起きる。
ちょっとでも力のあるエンジニアは自分である程度は調べる。
誰もがやりそうなことでトラブルが起きて、インターネットで誰にも書かれていない場合、自分のやり方、もしくは環境が悪い可能性はめちゃくちゃ高い。
しかし、自称エンジニアはそんなことはしない。
雇い主に「状況はどうだね」と聞かれると、自分には責任がないようなものの言い方でトラブルを伝える。
それは派遣の保身で責められない。
雇い主は内容がわからないから、それを報告書に書いて、さらに上に伝える。
上はもっと内容がわからないから、伝言ゲームで上に伝える。
このころには「誠意がない」とか「対応不備」といった抽象的ながら責任をベンダーではないかと暗に示す感情語がならぶ。
かくして、役員様からソフトウェアベンダーへ連絡がくる。
営業から青い顔で知らせが来る。
こちらでトラブルの内容を見て、はじめてトラブルの程度の低さが発覚する。
たとえば、ソフトウェアをインストールする時に間違った番号のCD-ROMをつっこんでた。
そのエラーメッセージが英語で読めなかったとかね。
なんでこんなことが起きるかというと、理由は簡単。
オープン系(Unix+Sunのサーバー+Oracle)で市場がいったん広がった。でも、簡単な知識で仕事ができるから大量に「SIをする会社」ができた。必然的に、作業する人間の単価がだだ下がり、OLの給料より安くなった。
そんなところで勉強する人なんているわけがない。
でも「SIをする会社」は知識を売っているはずだから、スキルがあるふりをする。
ホントウは市販本や社内資料で手順どおりやる。意味なんぞわからない。
今のIT業界の現場は会社がエンジニアをまったく育てていない。
その証拠に、大きな書店のITの分野を見てほしい。
マイクロソフトやオラクルやSAPの新しい製品に関する本は日本では売られていない。
(もちろん英語では多数出版されている)
売れないのだ。
研修も出ないでどうやって身につけるというのか?
そして派遣を高い研修に出す企業はない。
だから、スキルを勉強するチャンスがあるわけがないのだ。
たとえば数十億円の計算(10桁)を浮動小数演算でやって、1円単位が狂ったとソフトウェアベンダーに文句をいう。
だからCPUには浮動小数演算回路と十進数演算回路があり、変数定義をきちんとしないとコンパイラーに伝わらないということすら知らない。
桁落ちなんて私は社会人になる前の大学で習ったぞ。
これがIT業界だけの現象なのだろうか?
形は違えど、三井不動産レジデンシャルが販売した横浜のマンションが傾いたと新聞紙上を賑わせている。
原因は三次受けの旭化成建材が基礎の杭打ちに失敗したのに、データを隠蔽していたことにあるらしい。
が、杭打ち失敗を誰もおかしいと思わなかったのだろうか?
総監督(ゼネコン)の三井住友建設の技術者たちはなんにも気づかなかったのではないか?
理由はスキル不足ではないのだろうか。
技術をもっているふりをして、ない袖をふることが日本中横行しているのではないだろうか。
問題が会社対会社になるようなことを、自助努力で補うのは無理がある。
テレビでは古い技術や古い業績(ノーベル賞)で「日本はぁ」などと誇っても、若者が育っていなければ将来が真っ暗なことは変わらない。
企業が人件費を最低限しか出さない、ひいては社員の教育を放棄した時点で、雇用者と会社の関係はまったく変わったと思っている。
社員のスキルやモラルは会社が保持するべきものだが、今のほとんどの企業は給料を最低限払ったらそれで義務は果たしたとホンネでは思っている。
(そうでない会社にいる人々はラッキーだよ。おめでとう!)
老後の問題も同じだ。
「会社がなんとかしてくれる」という考え方は金輪際持つべきではない。
そうするとどういう態度が必要か、次の記事に書く。