起業

お客は本当はなににお金を払っているのだろうか?

今日も申し訳ないが、ある会社をスケープゴートにしてしまう。
インターネットビデオ会議サービスの会社というのがある。
私はPolycomしか知らなかったけど。

さて、日本ではトップシェアだと(どういう統計?)いうV-Cubeという会社があるようだ。
売上30億円で前途洋々なのだそうだ。

IT分野のプロなら「???そんなに誰が払うんだ?」にならないだろうか。
なにしろ価格がすごい。月額8万円でたったの10拠点。

  • Skypeで同様のことをしようとしたら、月額6.99EUR(約980円)
  • Googleハングアウトで同様のことをしようとしたら、無料
  • Apple FaceTimeも無料

もともと、IP電話交換器がアステリスクがオープン・ソースになってから、インターネット電話会議だけなら、あまりおもしろいジャンルじゃなくなったように感じる。

しかし、売上30億円になるほど、払う企業があるということだ。
なぜ、こういうビジネスに高額な料金を払う企業が存在するか考えてみた。

電話、会議システムは企業内では、総務部の範疇になっていると思われる。
NTTに勤めていた時、音声回線の話しとデータ回線はわかれ、音声回線は総務部の方であることが多かった。
総務部の人が、IT系を丹念に調べるということはあまりないと思われる。

そもそもGoogleなどで必要なことを検索して調べられる、というだけで情報リテラシーは高いほうだと考えて間違いないと思う。
「そんなバカな」という人がおられるだろうが、周囲のいろんな人に確認してみることを強く勧める。

そして、ここが最も重要だが、トラブル、不具合、わけが分からなくなった時、相談する相手がいるということが情報リテラシーの低い人には、なににも代えがたいメリットだろう。

つまり、V-Cubeの異様に高額な料金は機能ではなく、ヘルプデスクへの対価なのではないだろうか。

こう考えた時、不思議なことが起きる。

  1. いろんなものを比較して、自社にとってコストパフォーマンスがいいものを見つける、ということには誰もお金を払わない。
    それは情報リテラシーの問題だから、誰かがやれるだろうと思う。
  2. 無料のサービスのヘルプデスクだけやる、というものにもお金を払わない。
    それは料金と同様に知識も無料だと思っているから、誰かがやれるだろうと思う。

V-CUBEの社長は自社の資産が10億円くらいかかってるから、競合は出ないだろう、とか資産47兆円のGoogleと同様のサービスをしていて斜め上なことを言っているが、この会社の本当の強みはワンストップのヘルプデスクということなのだと思う。

誰かがGoogleやSkypeと「提携」をして、ヘルプデスクをくっつけたら、いいビジネスになるものは他にもたくさんあると思われる。

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