朝日新聞の連載ですが、(限界にっぽん)第4部・続「追い出し部屋」:5 「全力で支援、なんてうそだ」という記事がありました。
要するに企業の「転職支援」はそういう会社を紹介するだけで、そういう会社はたいしたことをしないということです。
そして、元三洋電気の人事部長でリストラに腕を振るった人が後悔のコメントを残しています。
結局、正社員を派遣に置き換えただけで、企業の体力は確実に落ちていく。リストラは恒常化し、麻薬のようなものだ、と。
パナソニックが三洋電機を買った例は後世のビジネススクールでこういう風に語られるのではないでしょうか。
「当時の日本では次世代のめぼしいビジネスがなかったため、大手企業は売上規模が大きいが企業価値の低い会社を買収する手段に走った。目的は売上規模の維持であるから、買収した会社のビジネスには興味はなく、従業員はリストラした。しかし、買収可能な企業がそうあるわけでもないため、「選択と集中」という名目のもとに社内で極めて近視眼的なリストラを繰り返し、企業規模は縮小していった。これらが企業の競争力を奪い、アベノミクスという政府の補助金を目当てとするようになっていった。」
一方で、リストラされた人についても思う。この記事でも「50歳代でIT関連の再就職先はほとんどありません」と言われたと書かれています。それはそうでしょうね。ないものはない。
だから、自分で自分を別業種に転職させることが必要で、2年も3年も雇われることを考えていることもあまりいいことではないと思います。(私は同年代ですから)
もちろん、この年代は「滅私奉公、会社は永遠です」の世代なので、ひとりで生きていくことを身につけていない。とても難しいこともわかります。
しかし、この状況では転職しても、起業してもリスクは同じなんです。先日もパイオニアやソニーをリストラされた人たちが新たに起業している話しを書きました。持っているスキルが「雇われない」ということと「マーケットに需要がない」ことは違うんです。
しばしば、巷の転職の本には「マーケットに需要があるようなスキル」と書いていますが、それはビジネスマンの目からすると違います。「人材マーケット」と「ビジネスマーケット」は違うんです。
もし、「ビジネス上需要があるスキルをもっている」と考えるならば、売ろうと努力してみませんか?