時々話題にする、TOCで重要な概念に「ドラム、バッファー、ロープ」というのがある。これは、ボトルネックの活用方法のことをいう。
ビジネスもシステムであり、早急な改善はボトルネックを発見し、そのペースにあわせてシステム全体を動かすことだ。ボトルネックを意識しないと、その前にキューができる。そうすると、スループットは幾何級数的に悪化していく。それゆえ、ボトルネックにあわせ、キューができないようにすることで全体のスループットをあげる。
ちょっとしたエンジニアならば誰でも知っていることだが、活用、理論化されたものがTOCである。ここまで読んで理解できた人は後を読まなくてもいい。以下、素人の方への解説。
ビジネスといえども、必ずプロセスがある。ボトルネックとは、プロセスの中でみんなの足をひっぱっているところである。そして、ボトルネックのプロセスの前には仕掛かり中の仕事が溜っていることが多いことでわかる。多くの人がボトルネックの解消に動こうとするが、それは間違い。やり方を変えるということは新たな変更を加えることになり、いつまで立っても改善の成果を享受できない。ものごとを改善する時は、まず結果を少しでも見せないと人は納得しない。変化についての批判はつきものだからである。従って、ボトルネックの前のキューを減らすことを試みる。つまり、ボトルネックにあわせてシステム全体を動かす。
なぜそうするかは、キューイングセオリー(待ち行列理論)を知らないといけない。待ち行列とは、ものすごく乱暴に説明すると、郵便局の窓口がひとつのところを倍にすると、倍以上のパフォーマンスで処理が可能となることをいう。
ボトルネックを認識し、全体でボトルネックをフルに活用にするようにする。システム内から仕掛かり中のキューを減らす改善をするべきである。なぜならば、そうすることで仕事のスループットが向上するからだ。
次に、ボトルネックを増強していく。しかし、解消したら必ず別のところにボトルネックは現れる。したがって、システム全体でどれだけのスループットを目的とするかは考えていたほうがいい。こういう作業を「チューニング」というが、「早ければ早いほどいい」といったゴールなきチューニングは存在しないのである。