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木村 岳史さんのおっしゃる「改訂「SIerは5年で死滅する」」

全文を読めるのはあいかわらず期間限定なのですが木村 岳史さんが以前、SIerは5年で死滅する説を反省と共に記事にされています。

以前、記事を書かれた時と企業のIT環境は変わってきていることは事実です。

木村さんの記事では明言されていませんが、クラウドサービスの活用が大きく影響していると思います。以前、私は「クラウドサービスが世の中を席巻する理由」という記事を書きました。
この記事で気づいてほしいのですが、クラウドサービスはシステム更新サイクルが早いのです。

従来のERPのように数年に一度、更新なんてことはありません。
SAPの場合ですがクラウドサービスは四半期に一度、更新されます。
開発ー保守のサイクルが短いため、開発チームが暇になるということはないし、それほど大規模でない少しずつの変更なのでチームのサイズもさほど大きくはなりません。

また、DXなどで要件がはっきりしない、ユーザーと顔見知りになって長い間取り組んでいかねばならないことなどを考えると必然的に内製化ということになります。
(要件がはっきりしないことを外注すると、リスクの高いプロジェクトとなるため、とても高い料金を払うことになることを知ってください。地方自治体や官公庁の人はこれがわかっていないようです。)

ようやく内製化したほうが、コストも安い、新しい技術を活用できる時代になったわけです。

そこでプログラムを実際に書ける人間となると、大手のSIerではなく下請けで実際に作業していた人たちが必要になることは言うまでもないことです。

これまでお客とのペネトレーション(関係)や要件の御用聞き、設計だけで高い給料をもらっていた大手SIerは軒並み干されることでしょう。

彼らの視点からしたら、もうすぐ従来のプロジェクト形式はなくなるから下請けを切る気満々ですが、ユーザーはそう考えていません。
インターネット時代の今、SIをやっている人たちだけが持っているナレッジがあるのでしょうか?
もともと会社を経営したこともない連中が「御社の経営課題」なんて大風呂敷を広げているのはちゃんちゃらおかしい話でした。

下請け企業に努めていて転職したいプログラマーにとっても、これは福音です。
理不尽なスケジュール、おかしな仕様書、まったくスキルアップを期待できない職場、多重下請けで搾取されまくった賃金などの弊害がなくなり、雇用してくれている企業が長期に渡って生活を保証してくれるのであれば、やっつけ仕事ではない丁寧な仕事をするし、必要なことは勉強しようという意欲が沸くことでしょう。

ユーザー企業も採用時に「手を動かしてきたか?」が最大の関心事のようです。

アメリカにはSIerはほとんど存在しません。最新のIT技術を使うために、内製が原則です。
技術者は技術者の仕事斡旋エージェントがいるので、技術者の流動性は高く、名前で仕事をしている技術者も珍しくありません。(これがオープンソースプロジェクトなどに参画するモチベーションのひとつです。)
日本も数十年の遅れをもって、内製化への流れができつつあるのかもしれません。
これならば、日本のIT技術も復活するかもしれません。素晴らしい世界です。

若いプログラマーの諸君。千載一遇の転職のチャンス到来です。
ユーザー企業に転職しましょう。

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