誰も気づいていないと思うが、昔、「遊ぶエンジニア」がHTMLで作られていたころ、英語のパートを作っていた。が、もともと英語は苦手なのでブログに移す時に捨てたのである。
が、やっぱり英語を使うことは必要なので書き続けることにした。もうひとつは神田正典の本を読んで、深くうなずいたことがあるので書いておく。
まともなエンジニアならば、英語の本を全部とはいわないまでも、必要に応じたところは読めると思う。おそらく語彙数は1500-2000はもっている。あせらなくても「英語ができる」には十分な数なのである。英語力というものがあるとしたら、それはやはり読み書きの力である。
でも、会話ができないとかっこ悪い。そう、まるでサーバーの技術者なのにエクセルが扱えないとかっこ悪いのと同じように。
実はヒアリングというのは肉体的訓練だ、って知ってた?そう、英語力は必要だが、それに応じた慣れが必要なだけ。ひたすら聞いて英語耳を作るしかないんです。逆にいうと考えたり、覚えたりする必要はない。一定時間、聞くだけ。それも80%わかった内容を聞くこと。誰かがわからない内容も何度も聞けばわかるというから、本当に100回聞いてみたことがある。ウソやん。わからん。
じゃぁ、話すほうは?これは大半がヒアリングの結果もたらされる。ヒアリングをひたすら続けていると、だんだん英語でブツブツいっている自分に気づく。まるで小さい子が親の会話を聞いて繰り返しているようにね。それで十分なんです。
むしろ問題は、学生時代に日本人は全員経験している「英語トラウマ」。正確な英語を書き、話さなければなりません。でなければ×です。今の日本の英語教育がどれだけ、日本人の英語能力を低めているか。
現実は、そんな正確な英語なんて誰もしゃべってない。よく考えてほしい。日本人だって正確な日本語を話していない。あなたの会話、いつも主語と述語は正確に対応してますか?あり得ない。
そして、英語だけじゃなく、外国語でもっともむつかしいのは「日常会話」だってわかってますか?どこに話題がいくかわからない。子供のころからの文化を共有していない。例えばアメリカ人なら誰もが知っているJelly Beansについて、我々、日本人はどれだけ知っているというのか? 今さらガキの話を聞き返せるでしょうか?それこそKY。日常会話で盛り上がるってそういう話題を転がすってことですぜ。
そういう英語は「英語使い」といわれている、仕事じゃなく英語で食べている人にまかせればいいのです。
つまり、我々エンジニアは学生時代とマニュアルで覚えた単語と表現を元手に英語の世界に出て行くのは極めて正解。英語のマニュアル(正しい文法で短いセンテンス)を読みこなし、ひたすら英語を聞く。そしてブツブツいってみる。
神田正典がいっていることも同様で、彼のようにアメリカの大学院を出、MBAを取り、外務省にいて海外で暮らし、それでも日常会話や映画の英語はわからない、と正直におっしゃってくれている。彼の問題提起は「英語でなにをしたいのですか?ほんとうにあなたの英語のゴールを把握していますか?」なのである。
私事になるが、少し俺の英語生活を書いておく。まったく勉強してないに近い。
学生のころは英語はまったくダメだった。なにしろ文法は欠点取ったりしてたくらい。読解の授業で意味がわからず笑われたことは何度もある。要するに、英語はまったく苦手だと思い続けている。
英語を抵抗なく話し始められるようになったのは、最初にいた外資系で上司が韓国人だった時。すごーくいい人でなにもわかってない俺に、英語と海外の人との付き合い方を教えてくれた。彼自身、日本に住んでいる以上、日本語の勉強はしていたが「恥ずかしいから」と普段は全部、英語で話しをしていた。この「英語を母国語としない人」との国際英語としての英会話で非常に私は目覚めることが多かった。発音なんかクソくらえだと思った。インド、中東、中国、韓国、みんな強烈になまっているが通じるし、そんなことに引け目は感じてない。なぜって?そういう話し方はあきらかにバイリンガルであることを示していて、みんなそれなりの教養人の証明なんです。ネイティブのような英語を目指す考えはきれいに消えた。
そして、自分が話しはじめると、みんながきちんと聞いてくれる。英語が出てこないなら図に書いてでも説明して通じれば、みんな満足。誰も「おまえの今のtheはおかしい」とかいわないもん。エンジニアとしての能力のほうが大事。「お前の話は参考になった。すばらしい」といわせるだけの内容こそが重要。雑談もJavaがどうしたとかで十分、楽しい。
そして今でも韓国人上司がいってくれた言葉を覚えている。Don’t hesitate,? join them. ことあるごとに思い出す。日本人より韓国人のほうが世界に出ていけているのは、この精神だと思う。ここで、俺は英語を話すということに躊躇がなくなった。(ちなみに、巷の日本人と違って、俺は在日、在韓、問わず韓国人には教えてもらってばかりいる。)
ちなみに会社がTOEIC,TOEICってうるさかったのでTOEIC用の勉強もしてみたけど、同僚が730点取った、と大威張りしてるくせに外人とのミーティングを逃げ回っていたのを見て、激しく疑問だった。
その後、本当のアメリカの外資系に入社した時に痛感した。英語を母国語としている人の間では、同時通訳経験者、帰国子女、TOEIC900点以上くらいの人を「英語が話せる人」ということを。日本でみんながいってるTOEIC730点なんて目安にもなりはしない。俺の英語の評価はGood English。そう、まったくExcellentとはいわれないのであった。それでも仕事には困らなかったし、アメリカ人の友達はいっぱいできて、酒も飲みにいったし、英語も教えてくれた。ここで俺のヒアリング能力は伸びたと思う。
ちなみに、まともな外資系ってTOEICの点なんか聞かないって知ってます?理由は簡単。面接のひとつにネイティブの人間をいれておいて「一緒にやれそう?」と聞いておけばいいから。英語は道具なので、ちゃんと使える証明をしてもらわないと困るから。逆にTOEICの点を気にする会社ほど、英語を使う機会は少ないようですね。
日本の会社に勤めはじめて、俺はアメリカでちょっとしたこと、例えばホテルを予約する、国際電話をする、レンタカーを借りる、などについて、まったく理解が足りないため、日常会話じゃない、旅行英語の言い回しをかき集めていた。その中で気づいたことは、どれも定型文句であることだった。これは重要なことで、へんな凝った言い方をすると通じない。いわゆる「英会話」のダイアログは絶対にそうならない。タクシーで”I would like to go to Armaden Hotel, please take me.”などといおうものなら、ぜーったいに聞き返される。なぜって?タクシーの運転手だってアメリカ人じゃないもん。”Armaden Hotel, Please. “が正解。同様に国際電話のオペレータもボーイも、み?んなネイティブイングリッシュスピーカじゃない。
このころから、いろいろむつかしいシチュエーションにも対応できるようになってきた。当時は日本の会社にいたが、お客さんとしてや、販売店としてアメリカに行ったりする。税関で「お前、持ってるキャッシュが少ない」とかイジメられ、別室につれていかれても、へこたれずにしゃべり続ける根性はついていた。
さて、仕事の英語だが、別名これをビジネス英語という。ビジネス英語の言い回しの本はネイティブの人間が日本語でいっぱい本を書いているので、これを読んで覚えよう。なに、100とおりもないから。ダメなのは日本人の書いたもの。とくにNHKビジネス英会話。とある本でネイティブが書いていた。「ああいう表現は、すごい表現もあるな、という鑑賞をするためで、使うものではない。もし、使っていると、日本語でいう慇懃無礼に聞こえる」と。はい、むつかしい英語を聞かされてため息ついて「覚えよう」なんて止めましょう。
これは逃げでもなんでもないんです。マジメな話をすると第二言語の取得において「意識的な学習は無意味」という説があったくらいなんです。なぜならば、考えて出てくるようじゃ遅すぎるんですよ。おそらく外国語について反応しているのは意識している脳ではないはずです。数多くの言語経験だけが第二言語の取得に貢献するんです。単語帳とか覚えたかチェックなんて無意味。努力して意識内に覚えたとしても、使わなければ消えていく。これが通常の「勉強」と言葉の違いです。学校で机について勉強していたから、みんな勘違いしてるだけ。英語は自分の無意識部分が習得するものなのです。
我々のいる環境でできることは、これくらいでしょう。
旅行者英語+ヒアリング+ちょっとしたビジネスの言い回し+エンジニアスキル