心と体

集団的無責任

人間の心理には不思議な特徴があります。
「都会の無関心」です。この言葉の実例として、しばしばあげられるのが、ニューヨークのど真ん中で夕方、追い掛け回されながら全身10箇所以上を刺されて殺された女性があげられます。犯行現場の周囲のアパートに住んでいた多くの人が、被害者の悲鳴や助けを求める声を聞いていました。一般的には「それは、かかわりあいになりたくないから耳をふさいでじっとしていたのだろう」と考えがちです。実際、日本だとそうかも知れません。
ところが警察が後から調べて歩いたところ「自分がやらなくても誰かが助けるだろうと思った」という人が大半だったのです。
似たような事件が日本でもありました。2006年にJR北陸線特急「サンダーバード」で起きた強姦事件です。これも「かかわりあいになりたくない」というよりも「誰かが助けるだろう」と顔を見合わせていたのが、真相だったのではないでしょうか。

同様のことは、会社などでもしょっちゅう起きています。零細企業で数人だと、「誰かがやる」の誰かがいないから、自分でやります。大企業だとがっちり仕事を細分化するので、誰かはわかっているものです。
問題は数百人規模の中小企業だと思います。ガチガチに決めるほど大きくもないし、周囲を見渡してわかりきっているわけでもない。こういう会社が最もコミュニケーションが悪い、つまりコミュニケーションコストがかかります。
コミュニケーションコストは目に見えないが、事業をやっていく上で大敵なんです。10人くらいのプロジェクトですら、定期的にチェックポイントを設けるのは普通でしょう。これが100人になると10人の10倍以上にコミュニケーションパスは増えていきます。

それゆえ、中小企業のほうが実は会議がやたらとあったりするようです。お互いがなにをしているかわかればいいのですが、こういう課題を提起するとアホなコンサルは「ナレッジ・マネージメント」とか言い出します。でもね、ナレッジ・マネージメントって成功した会社はないと思いますね。自分にメリットがなく、いつ再利用されるかわからんのに、誰がきれいに資料をまとめてアップロードなんかするもんですか。従来の方法は、人間の気持ちがわかっていないやり方ですね。
最近は、新しいナレッジ・マネージメント方法が試みられていて、成功例もあるようです。
詳細はまだ、ナイショです。

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