日本のDIY市場の勘違い

テクノロジー遊び

Tech Shop Tokyoが閉店するらしいです。

以前から日本ってDIYが流行らない国だなぁ、と思います。

DIYが日本で流行らない理由

理由は周囲を見回すといくつか考えつきます。

  • 他人に責任をかぶせたい
  • 新しいことを勉強することが嫌い
  • 経験に過度にこだわる
  • 周囲に聞く人がいないほど、市場がしょぼい

「他人に責任をかぶせたい」
例えば電球ひとつ交換できない男がよくいます。電球を交換するためには、照明器具を取り外さねばなりません。それらは簡単ではないですね。機械的なものの基本を理解していない人はお手上げかもしれません。
知人の旦那さんで電球が切れたら電気屋さん呼んで、照明器具ごと取り替えるという人すらいますからねぇ。。。
IKEAの家具の組み立てに怒る人をみかけます。IKEAの家具は引っ越して来週から出勤する人のための、そこそこの品質なのに、自分の家具についての考えをIKEAに押し付けて怒る。ドライバーを握れない自分の不甲斐なさを店に転嫁しているに過ぎないと思います。だってIKEAは世界企業だから。「日本は違う」なんていうみっともない話はやめましょう。
自分で積極的に責任をとったほうが、世の中を楽しく生きていけるんですけどね。

「新しいことを勉強することが嫌い」
海外ドキュメンタリーサイトであるディスカバリーなどではしょっちゅう船の作り方、車の作り方、さまざまな巨大建築物の作り方の特集をやっています。
ディスカバリーの視聴者は知られていないことを知りたいという欲求があるのでしょう。一方、日本はNHK、民放を問わずめったにやりませんよね。
日本の視聴者はひな壇に座ったお笑い芸人のくだらないトークを求めていて、人間がなし得る業績なぞに興味はないのだろうなと思います。ちょっとでも技術的なことだと興味を失い。芸能人のスキャンダルだと目を輝かせる。いつからこんな日本人になったんだろうね?

「経験に過度にこだわる」
大学を出て何十年経っても「自分は文系だから」という人が普通にいますよね。なんの言い訳にもなっていないのに。
おもしろいことに理系の人間はそんなことをあまり言いません。理由は理系は「学問」だから。
文系で不機嫌になる方は、理系でそこそこの大学を出た人に「学問」てなに?と聞いてみてください。その人の大学での経験なりに文系では知られていない回答が帰ってくるはずです。なぜ文系が消えつつあるか考えてみてください。
それでもサラリーマンは自分のやっていることにこだわります。いわく「営業だから」「経理だから」「倉庫だから」と会社に割り当てられた仕事が自分だと誤解します。
それで仕事以外のことは「素人だから」といえば誰でも許してくれると思っています。
(仕事でも2,3年でローテーションしていたら「プロ」とはいえないですよね。)
私は仕事以外のことを「素人だから」という人は新しいことをやる気のない学習能力がない人だと思うことにしています。
だってなんだってインターネットの時代だから学ぶことは可能です。「初心者だから」と「素人だから」の間には超えられない壁があります。

「周囲に聞く人がいないほど、市場がしょぼい」
冒頭のDIY工房が潰れる話や、昨年末に出席したCAMとCNCマシンの基礎講座での講師の人の話を聞いていると、「なにかを作れる」という技術を過大評価しているように思います。
私の場合は作りたいものがはっきりしているから、必要な技術だけを最初に求めます。

しかし技術そのものを目的としている人々は難易度の高い技術こそ価値があるように錯覚していないでしょうか。
たとえば、カットシートをカットしたいだけならば、2DなのでX軸、Y軸とシートの厚さだけを考慮すればいい。
私のようにプラスチックケースの加工をしたいだけならば、3Dの設計とCNCマシンの基本的な動きだけ理解すればいい。
CNCマシンのZ軸の倍の大きさのりんごの模型を作るというような技法は不要だし、ましてや5軸の工作機が必要な場合があるならば外注すればいいと考えます。

ところが「なにかを作れる」ことを目的としている人々は、需要がないにもかかわらずそういう高度な技術に重点をおいてしまいます。そのほうが仲間内ではマウントとれますからね。

同じような違和感はメイカーズフェアなどでも感じます。
あそこで展開されている「プロトタイプ」は未来永劫、製品にはならないプロトタイプのためのプロトタイプです。観客は物珍しいものであればいいので、それで満足でしょう。インスタ映えすればいいので。
私は行かないことにしています。Youtubeやfacebookの動画なら毎日、メイカーズフェアです。

しばしば巷で行われるハッカソンという突貫工事デッチ上げプログラミング競争も、問題提起が甘いから出来上がったものも、ハッカソンのためのシステムであって実用になったなんて聞いたことがないです。

 

DIYが目指してもよい方向

そしてDIY製品を売ろうとなると、ほとんどがハンドメイド販売サイトのEtsyになりがち。

なぜそうなるかというと、正しいビジネスプロセスをほとんどのDIYをやっている人々が知らないからです。
DIYは自分の家の問題を楽しく自分流で解決することであったけれども、今は違う。

これだけ道具が高精度になり、世の中の様々なサービスが整ってくると個人や零細企業が自分たちで製品を作る(内製化する)チャンスでもある。

せっかくお客さんの問題を解決する製品のメーカーになるチャンスがあるのに、DIY関係の人々は得意なひとつの技術だけで商売をしようとします。
そうするとセミナーやって知識を売って、本書いて、商談を拾う以外ありません。
これで何千人もの人が来るわけがない。遅かれ早かれ倒産しますわな。

だからプロダクトアウトな発想しかDIY市場はしないようです。残念ながら月並みなぬいぐるみ、キーホルダーなど目的がコモディティ化しているものを作るしかないでしょう。そんなもの大量に供給されている競争の中に埋もれてしまいます。

 

具体的には

DIYの技術を利用することを考えましょう。
今までは必要な技術をサービスとして受けるととてもつもない金額を要求されていたのです。
価格破壊が起きたのはプリント基板でした。20年以上前はプリント基板を自分で設計するツールがすごい値段でした。
それを業者に出したら、これまた百万円単位でお金が飛んだものです。
今は自分でEagleなんかで書いて、データを中国に送れば一枚数十円で来ます。
もう日本でプリント基板作るってよっぽど精密なものじゃないとありえません。

3Dプリンター、CNCマシンもそうです。Fusion360なんてソフトがAutoDeskから出ていますが、この会社は数百万円するCADソフトも販売しています。そしてCNCマシンは、このサイトでもやっているように数万円で購入できる時代となりました。

必要なことは自分で汗を流して学ぶことです。それができれば、とんでもない社内低コストで製品を作り出すことが可能な時代なのです

DIY市場をリードしているつもりの人々は、お客をもっている人々と「協業」とかいってますが、そんなに世間は甘くありません。誰が大事な商売の分前を与えるでしょうか。

いつも説明しているスマイルカーブを提示します。
一番左は日本の場合、通常、海外から流れてくる技術やコンセプトです。日本人がとても弱い分野です。
一番右はお客に面している企業、いいかえるとお客をもっている企業です。
ビジネスの付加価値は両端にしかないのです。
知られている技術を広めるとか、中間の加工をするといったことは儲からないんです。

たいへん残念ですがDIY市場の人々は真ん中ばかりに注目しています。

日本におけるビジネスは右端を狙うべきなのです。

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