ひとわたり、AI、とくにLLMの研究を終えて、私が確信したこと。
LLMは未来永劫続く技術ではない。
4年くらい前にchatGPTが出現してから、世の中はAIブームとなった。ほとんどの中身はLLM(Large Language Model)である。
ものすごく省略していえば、「言葉の組み合わせの出現確率を大規模に展開したもの」といえる。イメージとしては、外国語を覚える時に、定型文を覚えれば覚えるほど日常会話に困らない状況とでもいえばいいのか。
この中身をほとんどの人は理解せず、会話がスムースであることだけに知性を見てしまっている。人工無能イライザ以来、人は言葉の受け答えをするシステムの向こうに知性を見出してしまうクセがある。
LLMを作っている人たちは知っているだろう。らしく見せるためにベイジアン確率などを組み合わさなければならないことを。
今の世の中の状況は、誤解に踊らされているように感じる。
LLMが行っている、すでに人間が散々行った会話、著作などの結果を集計したシステムを誤解しているようにも思う。
私は人間の脳のメカニズムを思い起こさずにはいられない。脳はニューロンと呼ばれる神経細胞のつながりと伝達の興奮度合いで、脳たる活動を行う。
学習するとニューロン同士は既存の組み合わせの上に新たに接続を作っていく。だから、なにかの分野について知り始めると、ドンドン知識を覚えていく。このニューロンの組み合わせは人により違うが、似たような結果を出す。生物にはこのような雑なように見えて、同じように働く不思議なところがある。
現在のAIは、この動きとはまったく異なり、ベクトル計算を行う。そのためNVIDIAのGPUが全盛だ。
もうひとつ。
このベクトル計算を行うために、大量のリソースを消費する。結果、電力をものすごく使っている。
要するに
- GPUの需要がずっと続く
- 電力需要はこれから増す
という予測を前提として、金融業界も株価などの予想をしている。
一歩引いて、考えてみたい。
来るべきホンモノのAIはきっと、オペアンプのようなアナログコンピューターでニューロンの興奮を再現し、デジタルスイッチング回路でニューロンのつながりを再現するようなものになるのではないかな、と夢想している。(Mixed-Signal Neuromorphic SoC として研究されている)
ニューラルネットワークの研究から目を離してはいけないと思う。もちろん、産業界の変化は10年近く後だと思うけれども。2034年にシンギュラリティが起きるとするならば、現在の方式ではない。
追記:
Intel Loihi 3(2026年Q1リリース予定)
TDK & 東北大学: 磁性の反転を利用した「スピン・メムリスタ」
IBM(NorthPole)
Intel Loihi 3の紹介ページの要約(太線は俺がつけた)
インテルのニューロモーフィックコンピューティング研究は、人間の脳の構造や機能を模倣することで、従来のコンピュータロジックや現在のAI(深層学習)とは異なる、新世代の知能的コンピューティングを実現しようとする取り組みです。従来のAIはルールベースやディープラーニングに依存しており、特定のタスクに強い反面、環境の変化への柔軟性や常識的理解が乏しいという「もろさ」があります。次世代AIでは、人間のような抽象的理解や自律的適応能力が必要とされ、その実現にニューロモーフィックアーキテクチャが重要な役割を果たします。
ニューロモーフィックシステムは、生物学的な神経ネットワークを模した「スパイキングニューラルネットワーク(SNN)」を基本とし、各ニューラルユニット(ニューロン)が独立して活動し、信号とタイミングを使って情報を伝達・学習します。これにより、従来のAIとは異なる方法で環境からの刺激に反応し、動的にシナプス(神経接続)を再構成しながら学習する仕組みを備えています。こうした脳に近い計算モデルは、低消費電力で効率的な学習が可能となる点が特徴です。
インテルでは、この研究を具体化するための主要プラットフォームとして「Loihi(ロイヒ)」と呼ばれる研究用ニューロモーフィックチップを開発しました。Loihiは128コアで構成され、約13万個の人工ニューロンを搭載し、スパイキングニューラルネットワークの実行と学習を高速・低消費電力で行えるよう設計されています。従来の深層学習とは異なり、従来のトレーニング手法に頼らず、環境の変化に応じてネットワークが進化し「賢く」なる特徴があります。また、各コアには学習エンジンが埋め込まれており、研究者がプログラム的にシステムを制御できます。インテルはLoihiベースのシステムをクラウド経由で研究者が利用できるようにし、より広くコミュニティの研究を支援しています。
この研究分野では、エネルギー効率の向上や柔軟な学習能力が重要な課題です。ニューロモーフィックコンピューティングの目的は、未構造データや未知の状況に対しても適応できる強靭なAIを、極めて低消費電力で実現することにあります。インテルの取り組みはまだ研究段階にありますが、ロボティクス、センサ処理、エッジAIなど幅広い応用が期待されています。
またインテルは「Intel Neuromorphic Research Community(INRC)」という研究者コミュニティを構築しており、学術機関、政府機関、企業の研究者が参加し、Loihiチップへのアクセス、学術助成、ワークショップなどの支援を通じて協働で研究を進めています。参加は条件を満たすグループに対して無料で開放されています。
このようにインテルのニューロモーフィック研究は、人間の脳にヒントを得たコンピューティングアーキテクチャの開発を通じて、次世代のAIが持つべき「柔軟性」「自己学習能力」「低消費電力動作」といった特性を実現しようとする長期的な基礎研究プロジェクトです。







