インド系のスパイスカレーを作ることは好きです。
たまに晩ごはんで出します。こそこそ集めていたスパイスが集まったので、今回、作ってみました。
備忘録。
インドカレー習得への道
ひょっとして「インドカレーって、作るの大変なんじゃないの?」と思う人がいるかもしれませんが、そんなことないです。そもそもインド人は近寄るとスパイスの臭いがするくらい毎日、カレーを食べていて、それは家庭料理なわけです。インド人のご家庭は裕福でない世帯も少なくありません。そんな人達が毎日食べられるということは、材料費はそんなにかからず、さっさと作れるということです。
エラソーに書いてますが、私にそれを教えてくれた本がこれ。(クリックするとAmazonへ)
この本にはカレーの基本的なスパイスの配合が書かれています。初めて読んだ時に意外だったのは「カレーが黄色い理由はご存じのとおりターメリックなのですが、カレーの香りのベースはコリアンダー(パクチー)のパウダーです。
いくつか作ってみましたが、どれも香りがたっていて市販のカレールーとはまったく違う本物のカレーが簡単にできます。この本は三万部突破して当然だと思います。
材料は近所の大型スーパーでもAmazonでもいいですが、大津屋が通販していて安く入手できます。スパイス初心者ならまずこの店から始めるのではないでしょうか。
次に鎌倉のスパイス事情に話しは移ります。
家内が鎌倉でティーサロンをやっています。(めちゃめちゃ居心地がよく、高級食材で作ったジェラートを売っているのでぜひおいでください)そこの手伝いで鎌倉にはよく行きます。
鎌倉が好きな方はご存じでしょうけれども、鎌倉って異様にカレー屋が多いのです。それも昔からスパイス系カレーが多い。理由があって地元の人も知らない人が多いのですが、極楽寺にアナン亭というスパイスショップがあります。
もちろん教室も長年やっています。当然、弟子も多くカレー教室も弟子のスパイス・プリーズのおふたりが担当されていました。女性ふたりですが、スパイスへの造詣の深さはかなりです。スパイスの専門家という感じでした。他も推して知るべしで、鎌倉周辺のカレー屋さんはアナンの影響がかなりあります。
このお店がやっているインターネットオブスパイスは先の本の次に学ぶべきサイトです。本を買わなくてもこのレシピを見れば、スパイスカレーが最低限なにで作られているかをきっちり理解できます。カレーとは、これです。
スパイスは通販してくれています。ちなみに日本ではスパイスの輸入ルートは以外に小さいのです。だいぶん前にカレーのCoCo壱番屋がハウス食品に身売りしましたが、ハウスはスパイス輸入の大手の一社です。他はS&Bやギャバン。ギャバンはもう中小企業サイズですから、他社はもっと小さいのです。アナンはインド人ですから、独自のルートをもっているのでしょう。他社で手に入らないけど重要なスパイス(後述)が入手できます。
アナンがやっているカレー教室に行ってみました。Youtubeだけじゃ細かいところはわからないという理由でしたが、思わぬ副産物もありました。
ただね、忘れてたー。料理教室って男性は来ないんですよね。今回も生徒13人のうち一人で出席した男性は私だけ。ご夫婦がひと組。
前のパン教室でも女性だらけでひとり気まずかったんだよなぁ。
当日は豆のカレーを作ったのですが、使うスパイスについていろいろ教えていただきました。
豆のカレーが発達したインドの西の地方(パキスタン近く)ではムガール帝国の影響とジャイナ教の影響が強かったため、地下茎を使わないそうです。地面の下にあるものは陰の気だということでにんにくも生姜も使わないそうです。ジャイナ教はベジタリアンです。
その代わりヒングが多用されます。このヒングが日本ではなかなか入手が難しいスパイスです。
ヒングはジャイアントフェンネルという植物の樹液を固め、粉末にしたものです。加熱するとにんにくとしょうがのような香りとうまみが出ます。確かに違うんですよ、これいれると!
「悪魔の糞」とかいわれて臭いという伝説が先走りしていますが、そんなに強い臭いはしません。ウスターソースにも使われているらしいです。
ナブラタンカレー
私がなぜこのカレーに執着しているかというと、六本木のモティで食べて「なに、このおいしいカレー」と感動したからでした。ナブラタンカレーは英語ではNavratan Kormaと書きます。Navは9,ratanは宝石という意味だそうです。ムガール帝国の宮廷料理のひとつだったそうです。
材料を見てもらうとわかりますが、動物性のものはまったく使いません。せいぜい油をギー(バターを精製した油)を使うくらいです。オリーブオイルでも代用可能です。そういった意味でも珍しいカレーだと思います。
ところがナブラタンカレーは日本では知られておらず、レシピや作り方は日本語ではないんですよ。ドールが自社のパイナップルを使ったナブラタンカレーのレシピがありましたが、パイナップルは必須ではないです。
でも今はインターネットという素晴らしいものがあり、Youtubeには多くのインド人が作り方を掲載しています。
まぁ、それを聞きながら編み出したものが以下のレシピと作り方です。2025年6月現在、インターネット上で日本語では初めての「普通の」ナブラタンカレーのレシピです。
なお、スパイスカレーを一度は作ったことがないと、具体的材料の分量はわからないと思います。
料理はお菓子と違って、いちいち測りませんから。
材料
およそ二人前
ベース
- しょうが みじんぎり
- にんにく みじんぎり
- たまねぎ みじん切り
- (トマト) 赤くなるので議論の余地あり
- 素焼きのカシューナッツ 10-20 個分
- アーモンド 10-15 パウダーを推奨
- 無糖 ヨーグルト
- オリーブオイル
- ココナッツミルク
- ホール カルダモン
- ホール シナモン
- ホール クミンシード
- ホール クローブ (あり)
- ホール メース
- ガラムマサラ (これだけはアナンのスペシャルがオススメ)
- パウダー ヒング ふたつまみ
- パウダー パプリカ 小1
- パウダー コリアンダー 大1
- パウダー アムチュール 小1
- パウダー ターメリック 小1
- パウダー チリ 1/2小
季節の野菜
- ズッキーニ
- パプリカ
- じゃがいも
- にんじん
- カリフラワー
- いんげん
- ひよこ豆などの豆類
- (パイナップル)議論がわかれる
作り方
季節の野菜の準備
豆、じゃがいも、にんじん、カリフラワーなどの硬い野菜は、一口大に切って塩少々を入れたお湯で軽く茹でておく。茹で汁はあとからルーを伸ばすために使うので、捨てずにとっておく。
ベースの制作
- カシューナッツ、アーモンドは熱湯に30分ほど浸して柔らかくし、少量の水と一緒にミキサーにかけてペースト状にする。アーモンドの皮を剥く。アーモンドパウダーを使っている場合、水に浸す必要はないし、皮むきの必要もないです。
- 鍋にオリーブオイル(またはギー)を熱し、ホールスパイスを入れ、香りが立つまで弱火でじっくり炒める。香りがたったら、日本の場合、目立つスパイスは撤去しましょう。手抜きと思われてしまいます。
- 香りが立ったら、みじん切りにしたショウガ、ニンニクを加えてさらに炒める。
- 玉ねぎのみじん切りを加え、じっくりと炒める。焦げ付かないように
- 玉ねぎが炒まったら、火を弱めてパウダースパイス(ヒング、パプリカ、アムチュール、ターメリック、チリ少し)を加え、香りが立つまで30秒〜1分ほど炒める。
- (トマトのざく切り(またはペースト)を加える トマトはなくても十分おいしい。
- 水分がなくなり、油が分離してくるまで炒め煮る。
- カシューナッツペーストとヨーグルトを加え、よく混ぜ合わせる。
- 茹で汁または水を加え適度な粘りけにする
- 茹でておいた野菜やパイナップル、レーズンなどの残りの具材をご飯の上に乗せるか、ここでルーと混ぜ合わせる
- 必要であれば弱火で5−10分ほど、野菜が柔らかくなり、味がなじむまで煮込む。途中で焦げ付かないように時々混ぜる。
味の仕上げ
- 塩と砂糖で味を調える。(砂糖は中華料理でも使いますが、味にコクが出ます)
- スイートチリで辛味の調整
- 最後にガラムマサラを加えて軽く混ぜる。
初めての作品ですが、激ウマです。野菜が集まるとこんなにもコクがある食べ飽きしないカレーになるのかと驚きます。しかも食べた後、もたれない。
スパイスはいっぱいあるので、また作ります。