まだ目に見えていないものをわからない人々は多い。
たしかに他人の先手を取らなくても生活はできる。だが、もらえる報酬はちょっぴりだ。
必然が見えている人が勝つ
正直に言おう。
私がサラリーマンとして高所得であった理由は、誰も振り向かない時代のコンピューター産業に身を投じたからだ。
私なんぞより、もっと仕事ができる成毛眞氏などはマイクロソフトの日本法人の社長を長年勤めておられた。彼自身も「時の運だ」とおっしゃっている。
周囲のすぐれた人は金融機関や商社へ就職していくが、できが悪いから競争相手のいないところへ落ちていっただけ。
コンピューターと英語という世界に身を投じただけなのだ。
誰もが「コンピューターは伸びるだろうね」とは言っていても、こんな世の中になるとは考えていなかった。誰もが銀行はずっと高給で産業界に君臨していると思っていた。自ら信用を捨て、存在意義すらわからない存在になるとは。
マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツはパソコンの普及をし、マネタイズのために「ライセンス」という手法を編み出した。
アマゾンの創業者のジェフ・ベゾスはインターネットというコミュニケーションの無料化の中で、マネタイズのために「ロングテール」を利用した。
どちらも世の中になかったものを作り出した。「金は奪い合い」という言葉が多くの人の間で信じられていることは知っている。が、それは資本主義の一面しか見ていない。金鉱は長い目で見ると、いつの世にも存在する。
日本の必然
「未来はわからない」という言葉を最優先で信じている人たちがいる。
それは違う。典型的なデータは河合氏が書かれている「未来の年表シリーズ」だろう。断っておくが河合氏自身の予想はダメダメである。(本人は予想できるコンサルと思っておられるようだが)
すでに「トヨタ自動車がEVへのシフトで困ったことになる」は完全に外れている。
だからといってこの一連の著作が全否定されるものではない(しばしば一部の間違いで他人を全否定している人がいるが、そういう人はなにものからも学べない)人口動態調査は戦争、天変地異で大量に人が死ぬような特例以外はそのとおりに変化する。
少子化は日本の歴史始まって以来の出来事であるがゆえに、前例がない。だからほとんどの人がぼーっとしているのだと思う。
今、あちこちで下水管が壊れ道路が陥没しているが、税収が少ないからこそおざなりにされているのだ。マスコミはこういう真の原因は、おそらく理解できないのだろう、報道しない。
地方の道路、橋、トンネルがメンテナンスされずに危険地帯となり放置される。北海道などではすでに起きている。Youtuberが取材している。
2024年15%の地方公共団体が新人採用を凍結、大幅削減した。
私が石巻の街を歩いても、とにかく若者、子どもが少ない。2024年に福島の駅前に行って若者の多さに驚いた。
東京の一極集中は加速する。当たり前だ。税金が高いのにサービスが悪い地方公共団体よりも税収が多くサービスのよい場所に人は移住する。
首都圏でも鎌倉市は税収が少ないため、公共サービスがプアで暮らしにくい。地方公共団体の税収はパッとみるだけではわからないものだ。
北方は冬に生活維持費がかさむので、南方に移動する人も増えるだろう。土地は空いているのだから。
能登地域の復興について、ついつい財務省は「維持管理コストを念頭に置き、集約的なまちづくりを」とぽろりと本音を出してしまった。
つまり地方でカネがかかるところを元通りにしてもムダなので、コンパクトシティにしたらどうか?ということなのだ。理論的には正しいが、感情的には現地の人はイヤだと思う。しかし、1995年に起きた阪神大震災では仮説住宅から5年で退去できた、2011年に起きた東日本大震災では仮設住宅は、原発地域を除き、10年後の2021年にようやく退去。能登の仮設住宅から全員が退去するまでどれくらいの年がかかるだろうか?人も産業もない以上、元通りにはならないだろう。
ロングテール
ロングテールという言葉はよくよく考えてみるに値する。
へんに統計をかじった人は世の中はなんでも正規分布だと思っているが、もう少し勉強したほうがいい。正規分布に従わないべき乗分布のほうが自然界には多いと私は思っている。
べき乗分布は中心極限定理が有効ではない。
つまり平均にならない現象、人が必ずいるということだ。
マスマーケティング=誰もが必要とするコト、モノ、については正規分布は有効であり、資本主義の世の中では大量に需要があるところに大量に供給することを目的としてきた。この場合、正規分布に基づくデータ分析は有効であった。
しかしロングテールはまったくそうではない。
小量しか売れないが、売れる。
しかしロングテールが重要視されはじめたのはAmazonの成功からだ。売上上位の40,000位以降が売上の半分を占めていることから、インターネットビジネスはロングテールに向いているとされている。
東京一極集中ということは、多彩な需要をもった人が集まるということだ。Amazonはますます安泰だろう。
少子化と経済成長
資本主義は今までひたすら成長することを前提としてきた。
我々が株価などを評価するとき、売上高の成長などを当然のように見る。
しかし、その成長率は先進国では鈍化している。当然だ。いつまでも未来永劫売上が伸び続けるわけがない。
ましてや日本のように消費者をないがしろにし、生活がおびやかされるほどの低い賃金と高い税金の国において、家計の消費が増えるわけがないのだ。
これからの日本における資本主義の評価自体が変わらなければならない。
じゃぁ、私はどうすればいい?
少子化で労働の担い手もいなくなる。先の河合氏は「働いてくれてありがとう」という供給側優先の社会に変わると言っている。専業主婦が珍しいと言われ、70歳までの定年延長ということの意味は日本国民で働ける人はみんな働こうということだ。
言い換えると現在以上に労働者は増えない。これがわかっていない人が多すぎる。
外国人労働者?もっと金払いのいい国に行く。円安なので日本は消費するにはいい国(インバウンド)だが、稼ぐにはよくない国である。
今、雇用も2極化していて魅力的でない職場は誰も応募せず、倒産している。これをマスコミは「労働力や機会ロスで倒産」と言うからわからなくなる。婉曲表現は物事の本質を見失う。
だからなにを作っても商売にはなる。売るマーケットはロングテールを理解しているAmazon、モノタロウなどとなる。小規模でニッチターゲットが商売になる。
「売れ筋しか置かない」などといっている資本の少ない販売会社は相手にする必要はないのだ。
Amazonが流通革命といわれる理由はロングテールをサポートできているからだと思う。