フリーランスでアプリケーション開発を主にやっているエンジニアが「個人開発は数年で終わる。理由はAIの利用で、プログラムを書けない人もアプリを作れるようになったから」と書いていました。
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ちょっと考えて、部分的にはそうかも知れないと思いました。どこかに書いたのですが、アプリケーションと呼ばれる分野、販売管理、営業事務、在庫管理などはデータが多いのですが、ロジックは単純です。極端な言い方をすると、どれも入力画面があり、データベースに書き込んで、次に事前に決めた検索条件+オプションの検索条件で検索結果を画面に表示する。これの繰り返しです。
だから不便を我慢すればサラリーマンでもエクセルで仕事ができたわけです。Microsoft 365以降、エクセルシートの共有はいとも簡単です。
ビジネスアプリケーションはプログラムとしては単純です。ゲームのようにモンスター役のAIも、武器や防具でどのように戦いが進められていくかなんていう複雑さは必要ありません。
だから、典型的な業務アプリは企業のIT担当(たいていは経営者が誤解してパソコンに詳しい兄ちゃんをアサインしてしまう)でも作成できる可能性は高いです。ServiceNowなんか使えば、ますます簡単でしょう。(いつものように回線以外は借り物を売るNTTコムのServiceNowの紹介ページです)
しかし、システム的に難しいものはやはりAIにプログラムを書かせてもうまくいきません。最大の難点は「AIはテストまでしてくれない」のです。
ChatGPT 4oを使ってJavascriptのプログラムを作ってみたことがあります。Javascriptのグラフィックについてはかなりトラブルを起こしました。ChatGPT 4oが無能というよりもJavascript自身の開発が混迷していて、いろいろな資料があちこちにあるけれども、古いバージョンと新しいバージョンで書き方が違います。混ぜると動きません。
このような場合、プログラミングの素養のない人は「ダメでした」という杜撰なフィードバックしかAIに返せません。どこでどのような理由で止まったのか、どういう動きが期待外れだったのかデバッグは中身を理解して行うのです。プログラミング経験のない人がデバッグの方法を知っているか?できるのか?ははなはだ疑問です。
AIによりプログラム開発の生産性はメチャクチャに上がります。だからといってプログラムを書けない人がシステムを作れるかというと、それは無理です。
むしろ要件定義だけをしてきた自称エンジニアの事務屋さんが失職すると思います。つまり大企業で「プログラムなんて」て言っている現在のシステムインテグレーターのほうが立場は危ういと思います。
単純なものであるならば、ユーザー企業でもプログラム開発はできるし、複雑なものを作る能力はない。
だとすると個人で企画から始めることができて、AIに力を借りて規模の大きい個人開発アプリケーションを作ることができます。
従来、日本のIT産業では技術職の報酬が異様に安く、要件定義だとかお客への営業活動をしている連中が元締めとして高い報酬を得ていたことが異常だったのです。