ニュースによると「2024年11月7日にKDDI株式会社(KDDI)による株式公開買い付け(TOB)により、KDDIの完全子会社となりました」そうです。
おそらく、ついこの間のSAPシステム導入の失敗による18億円の特損がトリガーとなったのでしょう。
私は一時、ラックに籍をおいていたことがあります。
当時はまだセキュリティ業界でブイブイ言わせていたころで、自社でセキュリティ監視センターを置いていて、24時間インターネットを監視していました。だからセンターで話をすると、昨晩、インターネット上でなにが起きていたかすぐに知ることができました。
お客さんのシステムのセキュリティ監視をする場合、監視対象の機器からSNMP(Simple Network Management Protocol)を使った異常情報をさばくことになります。お客さんがもっているほとんどの機器から来るメッセージの量はものすごいことになります。そのものすごい量のメッセージをどうさばくかが監視システムの肝といってもよかったです。
若いころ都銀の勘定系システムを扱っていた私は大トランザクションの分野は非常に興味をひかれました。
事業の屋台骨なので、監視システムはゼロから書けばよかったのですが、当時、ラックにおられた方はほとんどが業務アプリのプログラマーでシステムプログラマーはいませんでした。しかもそういう監視製品があったので、高くてもそれを買い、依存する方法を取っていました。
しかし、この方法はすでに時代遅れではありました。アメリカのセキュリティ会社は当時、お客の環境下に監視サーバーを入れて「異常」を検知する方法を取りはじめていました。属人性をなくすのはソフトウェア会社としては当然です。そして、これは未知のウィルスにも対応できる方法です。今はこの方法が主流でいろんな会社がいろんなサービスを提供しています。
ラックはこの潮流を逃したように思います。現在もホームページを見る限りですが、ハイテクの会社ではなかったのです。
でも奇異な感じはします。もうお亡くなりになりましたが創業者の三柴さんは「セキュリティ事業はM君がやってみたいっていうから、始めてみてあたったんだよ」とおっしゃってましたっけ。セキュリティ事業が成長するまでのラックはさまざまなことをやるSIのエンジニア貸しの会社だったのです。三柴さんはいろいろ試行錯誤を惜しまない方でした。
三柴さんにはいろいろ教えられました。結構、後悔しています。
役員の人々は三柴さんの古くからの部下で、それは結果的にゆるぎませんでした。
数年前にSAPのパートナーとなろうとは考えてくれていたようので、パートナー営業と注視はしていたのですが、残念ながら自社導入に失敗してしまいました。あれが命運をわけたような気がします。SAPシステムのセキュリティ監視ということであれば、SAP在職中だった時はいくらでもご協力できたんですが。。。
KDDIがもっているセキュリティサービスに取り込まれていくんでしょうね。今まで口八丁手八丁でやりたい放題していた古い人々は、これから通信会社のコンプライアンスに従わないといけないので大変だと思います。