サラリーマンのふり

「静かに退職する若者たち」

毎月、石巻まで来るまで出かけます。
運転中は暇なので、音楽聞いたり、Audible聞いたりしています。
細菌、Audibleで聞いた本が「静かに退職する若者たち」というオーディオブック。
オーディオブックの欠点は「図表1の2」とか言われても見るわけにいかないことです。。。

もちろん私は60歳過ぎのジジイですが、若者の考え方にものすごく共感できるところがありました。

そして後述しますが、企業(株式会社)という経済の単位がもう終わりに近づきつつあるのではないか、との考えを改めて深くしました。

その話の前に人間がいかに洗脳されやすいのかということを書いておきたいと思います。
日本が敗戦(無条件降伏)したのはほんの80年前です。その後、日本国憲法により国の主権は国民にあるとされました。
それ以前、歴史でわかる限り日本は統治者がいました。
私達日本人の民主主義はヨーロッパのように王侯貴族から平民が血を流しながら勝ち取ったものではなく、いきなり与えられたものです。
そんな民主主義が日本で定着しているなんて嘘だと、私は思います。現実には、肩書は権力であり、警察は権力であり、税務署は権力であり、私達は自分が知らない法律でいろいろ規制を受け、逆らうことは許されません。私達のメンタルでは役所の言うこと、納税はすべてお上です。納税してもそれが何に使われるかなんて一切、口を挟むことはできません。
投票?有権者が何百万人もいるうちのたった1票でなにができるでしょうか。選挙はいつもその場限りのマスメディアの煽り方でどうとでもなり、国民はそれほど賢くないことを証明してしまっています。JR, 郵政どちらも民営化は失敗と言わざるを得ません。公共事業を安易に民営化して取り返しがつかなくなっています。現在の日本は若者より老人が圧倒的多数です。勢い老人に有利な政策が優先し、若者のフォローはおざなりです。それが数の原理の民主主義です。どこが正しいのでしょうか?
「法律違反」とされたら、せいぜい弁護士を雇って自分の主張の論陣をはってみる程度のことしかできません。
権力者が決めた冤罪に庶民が逆らうことがいかに困難であるかは新聞記事を見れば明らかです。(科学鑑定すら無視する最近の例
それでも自民党安倍派が粛清されたように、かつての権力者が惨めに追い払われることもあるわけで、権力を巡る戦いは凄まじいものがあります。
東京都知事という大権力者 小池百合子の学歴の大ウソも本やネットでのみ知られていることです。(どれもマスコミは解説するほど知識がないのか、しないのか?)ショーンKことホラッチョ村上はマスコミのネガキャンに吹き飛ばされましたが。
「上級国民」という言葉がネットを駆け巡るように特権階級は事実上、出現しています。
これだけめちゃくちゃな世の中にいて、私達は「主権在民」という建前を信じなければならないことになっています。
本当に権力が国民にあるのなら、選挙などはすぐにインターネットを利用すればいいことですが、おそらく絶対にならないでしょう。
権力者の政治家が困ったことになります。

もうひとつ洗脳の例としてあげたいことに「定年制度」があります。あまり知られていないようですが、アメリカには定年制度がありません。
アメリカはフェアであることに神経を尖らせています。そうでなくても差別、貧富の差が拡大しがちだからです。
ですから、人種、性別、年齢といったことで扱いを変えることはすべて差別とみなされます。巨大な国で差別を撤廃するべく、試行錯誤された結果です。
日本では法律自体が定年を認めていますから、年齢差別は組み込まれているという見方もできるのです。つい先日、憲法違反となった優生保護法のようなものです。

このように権力にしろ、差別にしろ、みんなそれが当たり前で疑問すら持たないという現象が「洗脳」です。

さて、今どきの若者がなにを考えているのか?
それはプライドと無力感のせめぎあいだと私は考えます。

  • 平均以上でありたい。いや、それくらいはできるはずだ。
  • なにをやったってそんなに年収は変わらない。
  • むしろミスをして評価が下がったりしたら、それを巻き返すことは難しい。
  • 余計なリスクは取れない。
  • 目立つこともしたくないし、バカにされるのもイヤだ
  • 年配の人間のせこい考えなんか簡単に見抜けるし、心を許したらいいように使われ負けだと思う

これらって、ほとんどが私が若いころ考えていたことと同じです。

なぜこのように考えるかというと、学生時代の延長で、「みんながやるように」就職し会社も家や学校だと考えているからではないでしょうか。
一度、転職すると会社と自分の関係について実感します。

新卒で転職することが無謀であることは知っているからこそ、なにか問題が起きればいつでも辞められるようにしておきたい。
無難に大勢の中に紛れ込むサイレント・マジョリティであろうとするのではないでしょうか。

驚きですが、私より若い今の管理職や先輩は若者の考えが奇異に映るようです。
だとすると、私は若いころ、あまりにナイーブで呑気だったということです。

そもそも会社に長年いる人は会社がもつリスクに鈍感になっています
今年まで続いているのだから、来年もやれるのだろう。
でも、そんな楽観的に将来を見ることができる景気のいい会社って限られていますよね。
たまたま自分がいる会社を盲信しサラリーマンと言う制度が一生大丈夫と洗脳されているだけではないでしょうか。
いつも書いているように会社の規模がでかければ潰れないなんて嘘です。山一證券、ダイエー、東芝、協栄生命、千代田生命、JAL、タカタ、ライフ、などなど。

将来はあやふやなものなのに、会社の従業員が権限を移譲されたつもりで「人財育成」とか「能力開発」とか「リスキリング」とか調子に乗って計画していますが、それはその会社の未来に疑いすら持っていないし、従業員といえども赤の他人なのにその人の人生にずかずか入り込むことに疑問をもっていないわけです。
私には企業がやる人材開発なんて、体のいい自社への最適化にしか見えません。
転勤なども最たるものでしょう。従業員の人生を左右する出来事が「会社の裁量」で許されるはずがありません。転職のチャンスなど皆無の地方に飛ばされそうになったら、さっさと予定を繰り上げて転職したほうがいいに決まってます。
こう書くと「それでは会社が困る」という人がいます。自分と会社の区別がつかなくなり、会社に個人的に多大な犠牲を払ってしまった人間が肩書やらなんやらを得て得意になればいいのです。
そんな残った者達が必ずしもビジネス上の正解を出さないことは歴史が証明しています。

スキルをどの方向に伸ばしてどうしたいかは完全に個々人の責任であり、権利だからです。
「会社のため」と言いながらくだらん制度ばかり作っているから、あってもなくてもいいエンタメみたいな「人材研修」会社が大量に跋扈するのです。
そのくせ定年になった後、自分という個人のスキルアップすらままならず、ぶざまな生き方をするのではないでしょうか?

若者は本能的に世の中に敏感です。なぜ今、そう感じているかを自分でも説明はできないと思います。
しかし私もその不安感には同意見です。
なぜ社員という形でひとつの会社に半生を縛られないといけないのでしょうか?
上司、先輩、同僚、後輩、他部署との人間関係。自分がいるところの事業内容、利益、働く時間、報酬などなど不確定要素は山ほどあり、新人の若者には何一つ決定権はありません。
唯一行使できる権利は「退職」です。
安定志向の若者がどのような思いで退職するのかを、この本の著者は共感できていないと思いました。

ちょっと話は違うかもしれませんが、私のいるIT業界においてアメリカではフリーエージェントは普通にいます。
たとえば、学生から社会人になるにあたってはソフトウェアメーカーに勤めたり、派遣のような形で仕事を覚えます。
基礎的な仕事を覚えるとエージェントに登録します。エージェントはその人のキャリアに応じて案件を紹介します。
そこでフリーのエンジニアは職歴を積みながら、経験値を上げていくわけです。
同業の知り合いは多数いても、会社のような硬直化した人間関係に悩むことはありません。

私は今後、ひとつの会社に勤め続ける人と、フリーエージェントに分かれたらいいな、と思っています。

先日、クラウドワークスでLP(ランディングページ)の製作をお願いしました。
すると、お願いした相手はひとりではなくグループで作業をしているとのことでした。
おそらく個々人は別々に仕事を持ち、クラウドワークスの案件ではさくっと集まって仕事をする感じなのだと思います。

こういう感じがこれからの日本は増えていき、いわゆるカイシャ形式はなくなっていくのではないでしょうか?
会社は経済原理が優先します。高い生産性が出せる方向に長期的には向かいます。
今のような、なにをやっているのかわからない仕事の仕方をし、それを新人に形だけ教えて責任は回避し、
誰も新しいことをしないから事業がジリ貧になっていくような組織形態が続くとは思えないのです。

「静かに退職する若者たち」には数多くのアンケートの結果が書かれていますが、今現在、もっとも嫌われる上司、先輩は「成果にこだわる人」だそうです。
著者は大学の先生なので、この意味の深刻さを理解していないようです。
従業員のホンネが成果なんかどうでもいいということであれば、サラリーマンの給料の説明すらつきません。
もう日本のカイシャ制度自体が終わりつつあるのではないでしょうか。

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