雑感(日記)

おっさんエンジニアの恥ずかしい行い

一言でいえば「人の作品、製品にダメ出しすること」

シニアなおっさんエンジニアに多いように感じるのだけれども、他社、他人が作ったものに、いとも安易にダメ出ししてしまう。

具体例を出すと差し障りがあるので、隔靴掻痒(かっかそうよう)なんだけれども。この製品はここがダメ、あの製品は性能が悪い、などと安易に書いたり、言ったりする。

なぜ批判するおっさんエンジニアがダメであるか理由を記しておきます。

多くの製品は特定のユーザーを対象にして企画します。マーケティング用語で「ペルソナを想定する」といいますが、使う状況を考えながら作ります。当然、全方位について最強のようなことはないのです。

企画が終わると製品のデザインはコストとの戦いです。iPhoneが世の中に出た時、ビジネスがわかっていない日本のメーカーのおっさんエンジニア達はボロカスに言っていました。曰く「部品が最新ではない」曰く「もっと薄く作れる」
今の日本を見てください。まだスマートフォン作ってる会社は何社あるでしょうか?そしてGoogleさんが作ったAndroidを搭載していて、単なるハードウェアメーカに過ぎません。最新のハードウェア性能のはずだった日本製スマホは在庫の山となり(おそらく)夢の島で瓦礫になっているはずです。ソフトとハードの両方を一社で作れるAppleの圧勝です。

もうひとつ例をあげます。Raspberry Piというワンボードコンピュータがあります。最初に出たころは一台4000円しなかったと記憶しています。学生でも気軽に買えて、壊してしまっても「残念!」で済む金額だったのです。
中身はまったく子供だましではありません。今やプロダクションで使われています。
同様のコストで日本のエンジニアには作れないと思います。いや、日本の産業用CPUを作っているルネサスなどが真似をしてみましたが、コストでまったく太刀打ちできていません。
このようなものを作り出す絶妙なバランス感覚が日本のエンジニアには欠けているように感じます。

いかに日本のおっさんエンジニア達が単なる技術オタクでマーケットを理解していなかったかがわかります。
スマホのみならず、パソコン、白物家電など何度失敗を繰り返せば気が済むのでしょうか?

なぜ、おっさんエンジニアはすぐにダメ出しするのでしょうか?
おそらく暗黙のうちに言いたいことは「俺のほうが技術をよく知っている」とプライドを保ちたいだけなのだと思います。有名人のスキャンダルを叩き、自分のほうが優れた人間であると錯覚したい心理と同じですね。
だからこそ欠点を見つけると全体を見ることを忘れ、鬼の首を取った気分になり、ダメ出しするのでしょう。
もちろん正当なダメ出しもありますよ。車のバッテリーが発火しないようにすべきなのに、安全回路が甘いとか。でも、そんな基本的なダメ出しはめったになく、ほとんどが重箱の隅の奥。

このように考えるとわかることは、ダメ出しするおっさんエンジニアはやっぱり、その程度の能力だということです。

そういうおっさんに限って自分を省みることをしませんから、用語が古いということもあります。
私も思い出すままに書き出すと

  • 「エイヤっと」- 掛け声をかけて細かいことは無視して文書なりデータをまとめること
  • 「テレコになる」- (たぶんテープレコーダのテープがリールから外れて吹き出してくる現象より)グチャグチャになる。一説によると互い違いになる
  • 「ガラガラポン」- いろんなものを作ったけど、テキトーにひとつをまとめ直す
  • 「ほぼほぼ」- 「ほぼ」の強調。
  • 「イケイケドンドン」- 突進。なぜか企業運動会を連想する
  • 「ネゴる」- 英語のnegotiationから。でもビジネス英語じゃあんまり使わないんだよね。convinceのほうが普通じゃないか?
  • 「サチる」- 英語のsaturationから。「飽和状態になっていく」という意味なんだけれど、業界によっていろんな使われ方をする。
  • 「鉛筆なめなめ」- 適当なアイデアで作り出すことなのだけれども、この言葉以前は「筆をなめなめ」だったことは知られていない。時代にあわせてあるのだ。
  • 「ボールを投げる」- 野球から来た言葉。同様の言葉で「キャッチボールができていない」などがある
  • 「一気通貫」- 麻雀のあがり役の名前から来た。同じ種類のパイを1から9まで集める役。そこからもれなく並べる・行うという意味。麻雀を知らない人による誤用が多く、「一気にやること」や「すべての工程を行うこと」などにも使われていた
  • 「一丁目一番地」- 最初にやるべきことの意味なのだが、本当にいいのだろうか?東京都千代田区千代田一丁目一番地は皇居なのだが。

いろいろ思い出していて気付いたことなのだけれども、どれも意味が曖昧だし、教養のない言葉ばかりです。昭和のころは今よりビジネスが緩かった証拠でしょう。曖昧なまま進んで曖昧なものを作っていても売れたのです。
だからプライドだけ高いおっさんエンジニアが残ったのかもしれません。

もうひとつ恥ずかしい行いはエンジニアに限りませんが、昔の自分の目立つ業績を語ること。
これは相当に恥ずかしいことだと個人的に思っています。

なぜならば、過去の武勇伝が今の自分を語ることにはならないからです。
有名人と仕事を一緒にした、あれをやったのは俺だ、など。
今の仕事で自分を語れないのであれば、なにも言わないほうがいいと思うんですよね。

むしろ、昔の大失敗のほうが他人が聞いてもおもしろいし、ウケると思います。

若い皆さんはおっさんエンジニアの武勇伝やダメ出しに遭遇したら、乾いた笑いで十分で年寄りの曖昧な繰り言だと思って聞き流してください。
真剣に聞く価値はあまりないと思います。

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