先日、ふと、北海道のアイヌ民族はどうやって冬を越していたのだろうか?と不思議に思ったので調べてみた。
なぜならば今の北海道の家では灯油ストーブをガンガン焚くのがあたりまえだけれど、明治以前にそんな大量エネルギー消費型の暮らしができたわけがない。
いろいろ調べると驚くべきことがわかった。
アイヌ民族の家「チセ」は木材で家の形をつくったら分厚く笹で屋根と壁を覆う。
周囲を雪で囲い、その外は冷蔵庫として使うようだ。
肝心の暖房だが、家の真ん中で小さい焚き火をする。
火を大きくしてしまうと、屋根が熱で燃え、また強い空気の対流により外部の冷気を引き込んでしまう。
だから、一年中ずっと小さい焚き火を絶やさずにすると家の床土全体に熱が伝わるようになり冬も暖かくすごせるようになる。
夏でもずっと焚き火をする。
実験では冬の室内気温は5度程度だが、体感温度は20度ほどであるらしい。
周囲を笹やござで断熱し、土というとても比熱が高い(温まりにくいが冷めにくい)物質の特性をいかした方法である。
これがマイナス30℃の世界を生き抜いていける知恵なのだ。日本人が持っていなかった知恵である。
なお、漆塗りの漆器はマイナスの気温でも割れないので重宝したようである。
さて、私達は今の北海道の「寒ければどんどんストーブを焚く」という発想ばかりしていないだろうか。