ITで遊ぶ

いまでもIBMについて感心することのひとつ

今回は産業と都市について書きたい。
一番私が知っている例をあげる。

ちょっとPC関係にくわしい人前提に最初の話を進めていく。
くわしくない人は「IBM AS/400」までジャンプしてください。

CPUのタイプはそれほど気にすることじゃない

本当にPCをしらない人は街の電気屋に行き、店頭に並べられているNEC, hp, FUJITSU, Panasonicなどの製品を見比べ、あまり知識はない店員からいろいろ聞かされ高いノートPCを買う。
この時、OSなんてしったこっちゃないけど店員が「ウィンドウズイレブン」と連呼するので、そんなもんだろうな、と思う。
それで高いお布施を払いPCユーザーの仲間入りをする。まともに使っていれば、通販のLenovo, DELL, hpなどの存在と価格を知り、二度と街の電気屋さんに相談することはないだろう。
Wintelなどと呼ばれ、WindowsとIntelの蜜月時代がなぜ終わったかというと、インターネットのせいだ。

インターネット時代のコンピューターを支えているOSは、いつも書いているけれども、Windowsではなく、Linuxだ。あらゆる通信機器、家電、スマートフォン、ゲームマシンなどなどLinuxで動作している。
ディスプレイがないから気づかないだけ。そこで動くCPUはインテル製のほうが少ない。

そしてインターネット越しのサービスが「クラウド」と呼ばれる時代になった。もう、PCなのかサーバーなのか、共有しているのか専有しているのかすらわからない。インターネット越しにサービスを要求すれば、データが戻ってくる。
典型的なものが今流行のGenerativeAI(生成人工知能)だ。何台のコンピューターで動かしているのか、どういう仕組なのか、なにもわからない。でも使えている。

こうして時代と共にコンピューターは抽象化されていった。
その波にうまく乗ったコンピューターもある。

IBM AS/400

IBM AS/400は日本では「IBM製のオフコン」として知られる。いまは通称「i(アイ)シリーズ」とか「IBM i」とか呼ぶんだっけ。
しかしこのシリーズは発表当時から考え方が斬新すぎていまだに追随する機器がない。すでに40年くらい経っているはずだ。
コンピューターアーキテクチャ上かなり画期的だが、日本レベルの大学で学ぶのは博士課程ではなかろうか。

感心がある人はよい記事があるので紹介しておきたい。 どこがレガシーなのか–誤解される「IBM i(AS/400)」の正体 軽く私が言っていることがわかると思う。

ハードウェアと、その上のOSが寿命の長いものであれば、その上に乗っかるサービスは時代の要請と共に刻々とかわればいい。

このようにしてAS/400 は独自路線ながらコスパのいい扱いやすいサーバーとしていまだに製造、販売され続けている。

産業としてのAS/400

ようやく本論だ。

AS/400はどのように製造されているのかというと、アメリカのミネソタ州にあるロチェスターという街ですべて作られている。人口は12万人ほど。
探訪記のひとつがこちら

もっともロチェスターの主要産業はメイヨー・クリニックで知られる医療産業だ。
しかし二番目がIBM AS/400。病院やIBMに雇われていなくても周辺産業はたくさんあるから街は栄える。

もちろん、これからはわからない。
でも、この激動の40年を生き延びてきたことは事実だ。

地方が生きのびる道はひとつしかない

ロチェスターを潤す医療とコンピューター製造産業。
このふたつに共通する重要な点が「地域の外からのお金が入る」ことです。地方創生とよく言いますが、経済が外部とのやりとりで成り立っていなければ終了します。
日本は長年「コンパクトシティ」などとやってきたようですが、失敗するのは明らかです。住民の間でお金を回していても、外部からなにかを購入しないとやっていけないからです。

役人がいくら主導してくても、ビジネスは目に見えないし、常にリスクをはらんでいます。2023年世の中を騒がせているビッグモーターだって損保ジャパンだって蓋を開けてみれば、腐り切っていたりするのです。普通の人には外部からだけではわからないのが、ビジネスです。
箱物を作って安心して破産し、失敗するパターンを夕張市以来、何十回繰り返せば気が済むのでしょうか。
そもそも法の執行者である役人に、そこまで求めるのはどうか?と思います。

しばしば地方を「あの街は◯◯の城下町だから」と言います。その◯◯が外からお金をもってきてくれている間は街は栄えるし、人も流入します。

「そんなことはわかっている」という声が聞こえてきそうです。
いやいやわかっているならば、逃げずに取り組むしかないじゃないですか。

サラリーマンが余生を送りたくて移住してきたところで、周囲が潤うほどの支出をするどころか、周囲から収入を得ようとするのだから街が栄えるはずもありません。
優遇すべきはなにか仕事をもってきている人でしょう。

地方創生のコンサルタントとかに騙されて、いつ誰が来るともしれない道の駅に、あってもなくてもいい地方特産の食品を並べたところで、コンサルティング料金すら回収できないし、続くわけがありません。
飲食産業において消費者は本当に気まぐれであきっぽいのです。自分の好みの変化を見れば明らかじゃないですか。いまどきナタデココ食べたいですか?
ナタデココついでですが、ココナッツから直接できる製品。オイルやミルクは普遍的に売れます。飲食物って素材を売ったほうがいいと私は思いますけどね。

産業とは「サプライチェーン」です。一社で完結する企業はありません。
そしてそんなに産業はおいそれとできるものではありません。

地方公共団体が横並びでやったところで、うまくいくはずもないのです。
有望な産業は取り合うべきなのではないかと思います。

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