サラリーマンのふり

仕事と性格

会社勤めしていて、周囲の人をたくさん見ていても職業にあった性格があると思っている人は多いようです。
もしあなたが本気でこんなことを信じていたら、人というものをわかっていないと言わざるを得ません。

ここではその思い込みを解消し、どう考えるべきかのネタをいくつか提供してみたいと思います。

性格

そもそも性格というものはありません!

あなたが普段、他人をみて「性格ってあるじゃないの」とおっしゃると思うでしょうけれども、少し説明します。

心理学や私の経験からいえることは「性格とは、存在する環境とその人の反応する傾向」が表面化したものです。
もって生まれた「反応する傾向」は、生まれもった活発さ、敏感さなどのことで、これは一生変わりません。これを専門用語で「気質」と呼びます。
たとえ兄弟であっても気質が違うから同じ環境で育っても「性格が違う」ように見えます。

「存在する環境」とはもちろん学校だったり、会社だったり、会社でのポジションだったり、家庭だったり、家庭での立場だったりを言います。

つまり、

「敏感な気質」x「会社で課長」= 細かい課長

という性格が現れるといわれます。

私はさらに「容姿」を付け加えたいと思います。環境の一部かもしれませんが、人の容姿は性格に影響をあたえます。

環境 x 気質 x 容姿 = 性格

ではないでしょうか。

これが机上の空論でない証拠があります。
私はプライベートカンパニーにいたころ、心理テストシステムを作る機会がありました。テストがてら、とある会社の方々にやってもらったのですが、どうも結果がおかしいのです。よくよく聞くと会社でささっとやった人と自宅に持ち帰ってやった人がいたのです。
再度、会社でやってくださいとお願いすると、その組織の特徴が推定どおりの結果となったのです。

また、会社でよくパワハラを受けると嘆いている人にオススメしているのが筋トレです。これは筋トレの先生に言われたことですが、人間といえども動物で男性同士というのはオス同士ということです。
相手の強さを確認するためにほんの短い時間ながら肩を見るのだそうです。
つまり肩幅が大きい、分厚い肩をしている男性には、迫力負けするのです。
結果としてパワハラの対象にはなりにくいのです。

このことからわかるとおり、容姿というものは想像以上に性格に影響をもたらしますから、それなりに気をつける必要があります。太っていてもしょうがないではなく筋トレをする。禿げてしまったらしょうがないではなく、剃るのかかつらをかぶるのかすっぱり割り切って見た目を保つ、化粧がうまくなる、年をとっても悪影響とならないプチ整形する、ということが自分の性格を作り出します。

みなさんも簡単に「性格」と言わず、環境、気質、容姿をよく考えて見ましょう。

営業に向いた性格?

仕事によって適した「性格」があると思いこんでいる人は多いようです。

たとえば営業職は明るくハキハキしていて、コミュ障からはほどとおいコミュニケーションスキルの発達した人がいい、と思い込んでいる人は多いようです。

たしかにそういう営業はいます。が、そういう営業が売上をあげられるかというと別問題です。

なぜならば営業という仕事は次のふたつの要素から成り立っています。

社(個人)の問題を解決してくれる提案力 x その人から買いたいと思うか

まず、売っている提案がお金を出してでもほしいと思うものであることです。
次に、それを売っている人がイヤな人ではないかです。

もちろんこれには絶対的な比率はなく、人によって違いますが、どちらがゼロであっても売れません。

いくつか極端な例を観察してみましょう。
いきなり飛び込み営業されても売れるわけないのは、問題提起もないところで解決策の話しをされてもわからないし、相手が誰かもわからないからです。

ホスト稼業が成り立つのは、「さみしさを埋める、プライドをもちあげてくれる」という解決策と女性が思い描く理想を演じてくれているからです。

Youtuberが成り立つのは、暇つぶしを提供してくれて、やっている人に好感がもてた時です。
性別が女性だからと、顔隠して、誰もがやってる飯作って食べるシーンをアップロードしても、暇つぶしにもならないし、好感のもちようもないので、いつまで経っても視聴者は増えるわけがありません。

最初にあげたように営業に適した人のステレオタイプ「人と関わることが好きな明るい性格」が本当に適しているか考えてみましょう。

人はちょっと自省する心をもつ人ならば、いつもいつもノーテンキに人と話したりできません。自分を見つめる時間や落ち込むこともあるものです。
むしろ知性が足りない、物事を深く考えることができない人こそが、いつもいつもノーテンキでトラブルが起きても自分の責任を顧みずに明るくしていられるのです。
どちらが営業以前に企業人としてまともかは言うまでもありません。

このことから「営業に向いた性格」なんていう表現がなにも言っていないことに気づいてください。

きちんとお客さんの状況などのアカウントプランをまとめ、なにを提案していくかをチームで考え、説得の手法に社内リソースを使い、かつ、営業パイプラインに保険をかける(多めに案件を発掘する)

たまにはゴルフも宴会もやるけれども、聞き役に徹するというエンジニアのような営業職も普通にいるのです。

さらに難しいのがマネージャー(管理職)の性格です。

管理職の性格

「よいマネージャ」という存在がどの環境でもありえるかというと、そんなことはありません。

今までの経験で、スタートアップから始まった会社は必ずどこかの時点で、かつて役に立った社員を切り捨てにかかります。

なぜならばスタートアップの時には「なんでも屋」じゃなきゃ会社がもたないからです。お客さんが求めること、社内で求められること、それを「私の仕事じゃありません」と断ると人の層が薄いところでは本当に仕事が動かなくなります。

だから四の五の言わずになんでもやる人でなければ困るのです。

ところが無事に会社が成長し、上場するかなどという議論が始まると「コンプライアンス」という言葉が浮上してきます。
これは会計の仕方、仕事の仕方、組織がすべて法に則り、明文化され、明らかでなければいけません。組織やそこで働く人まできちんと役割が定められていなければなりません。
今までのように「必要だからなんでもやる」なんていうやり方は許されないのです。
しかし、創業時からいる社員は会社を支えるために必死にがんばってきたし、今もその気持ちを忘れず会社のためを思って仕事をします。

それがコンプライアンスを前にすると、邪魔なのです。
よってカネがほしい経営者やIPOをたくらむ金融機関の人間は創業時からの社員のクビを切ることになります。

環境が変化してしまったにもかかわらず、社員の性格が変われない気の毒な例です。
私はこのように使い捨てられた人々を何十人と見てきました。

マネージャーは人格よりも技術なのです。

にもかかわらず、日本企業ではマネージャ教育をしないところがほとんどです。
主任、係長、課長などの肩書をよく働いた褒美のように錯覚している経営者、人事部は少なくありません。

そのように肩書をつけられただけの人が課の運営をできるはずもありません。
なにが起きるかといえば、任命された人はその人が見たことがある課長のマネをするけれども本質・目的はわかっていません。結局は自分に負けて保身と好き嫌いで好き放題をやらかすというのが日本企業のほとんどの管理職です。

外資系ではどのように会社を動かしているかは「外資系の目標設定」に書いたので読んでください。
なぜ外資系が目標設定にうるさいかというと、ひとつは生産性のため、ひとつは労働条件の明確化のため、ひとつは株主に明確に説明可能にするためです。
つまり、一般的な日本企業は、生産性も気にしないし、社員から仕事がおかしいと訴えられることも気にしないし、株主にそこまで説明する気はないから、なにもしないのです。

ひどい場合は肩書は課長だけど、課員と同様に働けという「プレイング・マネージャー」が好ましいとする会社すら多数あります。
本当に愚かなことです。そもそも企業が人を集めている理由は、生産性をあげ、個人がなせることよりも大きな結果を出すために、組織を作るのです。

プレイング・マネージャーでは組織全体の効率も、ゴールもなにも作りようがありません。課長になれるほどの実量があれば、たいていのことは自分でできるに決まってます。それを超えて、全体でどうするか?なんて自分が現場仕事しながら一歩下がって考えるなんて、常人にはできません。
日本の多くの企業は、そんな基本的なことすら理解できておらず、目先の人件費を浮かせるために「プレイング・マネージャ」と言っているようです。
よく、そんな浅ーい恥ずかしい考えで人事部なんてやってるよな、と感心します。

よく「ポジションが人を育てる」といいますが、そのとおりでポジションという環境で、置かれた人の「性格」がかわるのは先に議論したとおりなのです。

以上の議論から組織の特性と仕事から管理職のタイプを4つにわけてみました。
これは私独自の考えであることをお断りしておきます。

今までの議論でわかるかと思います。
Aはプレイング・マネージャータイプです。管理能力は低いです。
Bはスタートアップが求める人です。仕事さえすすめば管理なんてどうでもいい段階です。
Cは上場企業で目標設定できる「管理職」です。
Dは上でこきおろした、日本企業に多い「なんちゃって管理職」です。

いわゆる管理職はCのクオドランドにしかおらず、執務執行者です。マネージャーは別にリーダーである必要はないのです。リーダーは実務をする時にみんなを率いていく大事な役割ですが、マネージャではありません。
マネージャーは組織の最適化を考える技術者なのです。

まとめ

簡単ではない議論なので、かなりの行数を費やしました。
このように性格というもので行いが決まるわけではなく、環境、気質、容姿で結果として性格が表現されるのです。

まとめると

  • 性格とはかわりやすいもの
  • 容姿は性格を変えるので、あきらめずに自分をプロデュースする必要がある
  • 管理職は教育を受けなければ「なんちゃって管理職」。マネージメントは技術
  • ◯◯に向いた性格という考え方はおかしい

です。

 

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