雑感(日記)

給料が高すぎても、いろいろ問題が

高給取りはいいな、と思う人は多いと思います。

しかし、それゆえ仕事以外で苦労することをいくつか記しておきます。

もし給料が高いと仕事が激務になるだろうと思っているならば、それは違います。

いつも書いていますが、作業と仕事は違います。
すでにその会社で確立したビジネスモデルの中で作業を回すことでは、高い給料は出ません。限界があります。
会社の数年後に役立つこと、会社を伸ばすために役立つこと、会社のコストが下がること、など正解のない高い付加価値の答えを作る人は高い給料となります。

言い換えると高い給料で働いている人々は、いつも激務ではないということを知ってください。

あ、例外に金融機関のディーラーがあった。

とはいえ、あまり高い給料は考えものなのです。

累進課税

言うまでもないことですが、所得が増えると所得税が増えます。
可処分所得は減ります。
確定申告をし、予定納税というものをさせられます。
税理士を雇ったほうがよくなります。ますますお金がかかります。
自分で税務申告は可能ですが、税務署からどこをつっこまれるかわからないので対策が必要です。

蛇足ですが、相続をして相続税を取られるくらいの規模だったら絶対に税理士に相談してお金払ってサービスを受けてください。巷の週刊誌やいい加減な本を信じて、節税だと思い込んでいたことが税務署の指摘で脱税だということになると目も当てられません。
なぜならば、脱税は重罪で裁判になると刑事として裁かれ犯罪者となります。この危険性について誰も言わないことが不思議でなりません。
私は相続した金額はどうでもよかったので、できるだけ税金を支払う方向で税理士と調整しました。やはり、税務署からの「相続についてのお問い合わせ」は来ませんでした。

転職が難しくなる

易経の最初に乾為天という卦があります。これは全部が陽の状態で、龍に例えられます。
爻が一番上を指していると「登りすぎた龍は降りられない。で、凶」と判断します。

給料がなまじっか高い状態はまさに乾為天の上爻の状態です。
易経の示すとおり、高く登りすぎた龍が動くことは凶なのです。
中国の古代の知恵には恐ろしいものがあります。

さて、年収で1500万円くらいになると転職のポジションは極端に少なくなります。
転職しなくて済むならばいいのですが、一般的にはこのクラスは社内の政変、景気変動のあおりを食います。

安いポジションだと数人の枠で募集していることが多いですが、高い給料だとたいていは一人枠です。

とくに今はなおさらです。わずかなポジションに多くの応募者が殺到します。
仕事のコネなどで経営者と話がついていたとしても、会社の制度としての給料で折り合いがつかないなんてことも、しばしばあります。

むしろ外資系企業の人事部の人と仲よくなったほうが転職はラクなようです。
私の知人に人事部の人が転職した先にうまく引っ張ってもらった人がいます。

人材紹介会社の人が「経営者と相談してポジションをつくる」という話はうまくいくことは少ないです。
そもそも採用とは投資の一環で人件費が予算化されてからやることは、会社の仕組みをしっている人ならご存知でしょう。
いきなりポジションを作るというのは、難しいことです。

もしくは会社の経営者、キーマンによっては「給料が高いのだから」と人間ではないスーパーマンを求める人々もいます。仕事の知識はもちろんあって、組織を率いていくことができ、お客さんにコネももっていることを期待したりします。

そんな人がいるならば、とっくに独立して競合会社を作っているに決まっているのですが、そんなことは思いつかないようです。
逆に言えば、こんな愚かな期待をしてしまう人々がやっている会社に転職してはいけません。

給料が高くても、採用側の人が同じレベルだとは限りません。人事部だったり、少ないことのほうが確率としては大きいのです。
そうするとサラリーマン特有の嫉妬とやっかみも入り、実力があっても高級での再就職はうまくいかないこともあります。

大企業で現場の仕事ができない人は、とくに転職は難しいです。
もし、ベンチャーが上場したいと考えていて、よい管理職を探していたら潜り込めるかもしれません。

稼ぐ本人としては、給料が仮に下がるとしてもあまり恐れることはないのです。
入社してから業績をあげ、昇給するということは十分可能だからです。
むしろ入社時の給料にこだわりすぎると、入社後に失敗します。

それよりもじっくりと入社してから給料を上げていくことのほうが妥当です。
例えば毎年3%のベースアップの会社で15年働くと倍になることに気づいてください。

英語圏

漠然としか知られていませんが、外資系でも日本の子会社ではなく、本社や日本以外の勤務であれば給料は高いです。
理由は単純で円は安いし、日本の平均株価はさっぱりあがっていませんよね。
他国は成長を続けているので人件費も日本より高くなっています。

日本で食うや食わず、生活保護寸前だった人がタイで仕事を見つけ、きちんと暮らせているなんていう話はいくらでもあります。

総じて日本企業より労働条件は明確なので、働きやすいです。

今後、英語を覚え海外で働く日本人が急増すると思います。
それはそれで周囲の人はタイヘンになります。

生活レベルを変えられない人々

本人は仮りに給料が下がっても、捲土重来を目指して覚悟することは可能です。
人生、山あり谷ありです。

しかし覚悟しないのが奥さんやお子さんたちです。

とくに年収がある程度になってしまい、奥さんが専業主婦になっている場合こそが問題となります。
そこで奥さんの実家が商売をやられているならば幸いです。不安定な収入でも安定した生活をする術を心得ています。
具体的にいえば、収入がよくても調子に乗らず貯金しているはずです。
商売というものが山あり 谷ありだからです。
給与所得があっても全額使えるなんてことは考えずに、コスト意識をもちます。

ところがサラリーマンの実家だと高い収入をいったん得ると、その収入がずっと続くと誤解し、贅沢をし始めます。
コスト意識など皆無です。旦那の給料を「家計をあづかる」という名目で全額、自分の小遣いにしますが、貯金していればいいほうで、お金を増やそう、運用なんて考えもしません。
しばしば低所得の女性が高所得のいわゆるハイスペ男性との結婚を妄想していますが、それが無理な理由のひとつはお金についてのリテラシーが低く使うことしか考えていないことがわかりきっているからです。

例をいくつかあげます。
家庭の資産運用は普通は、ドルコスト平均法(いい時も悪い時も同額で買い続ける)で積み立てる配当を再投資し、福利で増やしますから[誤解されているバフェット]に書いたように何十年も続けているとたいした金額になります。

貯金しかしていないと資産は微々たるものになります。
高い給料を稼いでいる家が金融資産について正しい認識をもっているほうが珍しいかもしれないのです。だから、所得にかかわらず後述するようなバカな買い物をします。

もっともやっかいなのが「贅沢への言い訳」です。
ふたつ例をあげます。
ひとつは教育です。「こどものため」という錦の御旗の元に、私立の6年制の学校に入れたり、お受験をします。
この時の母親の屁理屈は「優秀な学校で学んでいれば、塾にいく必要はない」です。嘘です。たいていの子供は受験期になると受験テクニックを学ぶために塾に行きます。

もうひとつが住居です。ロクに稼ぐことをしらないけれども、住宅会社のいう「資産」という言葉を言い訳に巨額の借金をへーきで夫に要求します。3000万円、4000万円、5000万円、一億円の住居を支払額しか考えずにローンを組みます。
稼ぎ手が病気になった、リストラされた、倒産した、給料が激減した、ということについてなすすべがありません。
たいていのマンションは価格に20%くらいの広告宣伝費が乗っていますから、購入してすぐに販売しても赤字です。
ローンを組んでいるでしょうから、オーバーローン(資産価値よりローンのほうが高い)になります。
こうなると払えない時に該当の住居を売却しても借金が残るということです。
さらにローンの支払総額は金利がありますから、マンションの購入価格の倍近いこともあります。
マンションは鉄筋コンクリートですから減価償却期間は22年です。一般の企業の資産の観点からすると22年で価値ゼロなのです。
一応、35年ローンを払い終えた後でも、利便性のいいところなら値段がつくでしょう。
しかし郊外の「ニュータウン」で価値ゼロになってしまっているところがたくさんある事実に気づいてください。
利便性がよくても狭小住宅だと生活レベルのバランスが悪く、買い手がつきません。いいと思っているのは自分たちだけということです。

お金についての知識がないのに、高額ローンを背負える理由は「みんながやっているから」なのでしょう。
「みんながやっている」ことをやっていたら、一生うだつのあがらないサラリーマンであることに気づいてください。

そんな中、もしリストラや転職であなたの収入が下がると奥さんは逆上し大パニックをおこします。

これが実家が商売をやられている家の奥さんなら「じゃ、私も働くわ」と淡々と仕事を探し始めますが、サラリーマンの実家の娘だと旦那をなじることしかしません。自分も働くという考えがないのです。
金銭の多寡ではなく、人生をともに背負おうという態度を取れません。

私の場合は一ヶ月にかかる費用をつきつけられて「なんとかしろ」と言われました。
本人を悪いとは思っていません。稼ぐ知識、能力がない人と家庭をもったツケです。

サラリーマンの家の子息は、お金を使うことしか知らず、お金を扱うということについて無知が多いのは事実です。
農家の子は自然といつどういう野菜を仕込みにかかって、いつ収穫するか体が動くし、漁民の子はいつどういう漁をする準備をするか、体が知っています。
同様に商いをする家の子はお金の扱いを知っているということです。
あまりに当たり前過ぎて誰も言わないことです。

最近の若い人はたとえ片方の給与が高くても人生ではなにが起きるかわからないから、どちらも働くという考え方ですが、本当にそれは正しい考え方です。
世間の荒波に常に揉まれていないと、とんでもない大人ができあがります。

どれだけ稼いでも不満を持たれる

また働かない女性は家庭内で「お金がない、お金がない」といいます。
子供は友達の家庭の事情などから自分の家がどれくらいの経済レベルかはなんとなく把握しています。
にもかかわらず「お金がない、お金がない」と母親がいっていると「なんに使っているのか?」と不信感をもちます。
子供はカネを稼ぐタイヘンさを世間に出て知ると、安易に「カネがない」という母親に反感をもち、軽蔑し、父親への無礼だと考えるので注意しておいてください。

定年になっても「カネがない、カネがない」と騒ぎます。稼ぐことを知らない使うことしか知らないサラリーマン家庭出身の人は給料以外は所得だと理解できないのです。旦那が一生サラリーマンをやると誤解しています。

本人が調子に乗っていたら終わる

私は給料が高かった時代のIBMも知っています。
そこで働いていた人々がどうなったかというと、さまざまな理由でIBMをやめた後もいくつかの会社を転職し、それで終了です。
「役員やってた」という人々のほとんどの実態は、一時、日本IBMがやたらと作ったジョイント会社に天下ることができたからです。だから自分の力で起業したわけじゃありません。
会社の力と自分の力の区別がついている人々はほんのわずかでした。
ヘッドハントされる人もいましたが、営業部長クラスのみだったと思います。

そこでお金をもっている人々がやっていたことなのですが。。

クレジットカードでゴールドカードなんて作っちゃってステータスを感じているようじゃ、ダサすぎます。
イマドキ、PaypayやSuicaなどスマホ決済の時代です。クレジットカードにステータス感じてること自体が時代遅れでしょう。

バブルまっさかりのころに株を大量に買い、ちょっと儲けましたが弾けて大負債をかかえ、退職金ももっていかれることになった人は少なくありませんでした。
本当にバブルの後遺症は長かったのです。
さらにITバブルの終焉で財産なくした人もいました。高給取りはうぬぼれからよく知らない分野にカネをつぎこみ、資産をなくします。

先日、車の選択について書きましたが、「カネ持ってるからレクサス、ベンツ買う」ってすごくダサいと思います。自分がなんのために車を必要とするのか?考えてもいなかったようです。まぁ、バブルのころは大学生でも車を乗り回していた時代ですから。モテるため、でもよかったのです。
今はそんな時代じゃないでしょう。先般書いたように、ベンツってすぐ壊れます。車のメーカー大国の日本では一般的には(好きならなんでもいい)どうかと思います。むしろ10万キロ以上走り続けるカローラとかランドクルーザー、豊田章男氏が壊しまくって作らせたヤリス(この記事参照)などにお金かける価値があると感じませんか?

高層マンションだって馬鹿げていると思います。
マンションって壁紙一枚向こうは共有部分ですよ。しかも高層マンションは軽く作らねばならないため、上に行くほど安普請となります。生活はちっとも高級になりません。
ちょっとマンションの構造を調べたら上に住みたがるってダサくないですか?しかも下の階の人にマウント取るって、嫉妬とやっかみの国日本っぽい現象ですね。
広尾ガーデンのような低層で土地の広いマンションは購入してからも値上がりし続けたので価値あります。
どうせお金使うならば、海の見える場所に広いテラスの邸宅を建てたほうが、私はいいですね。やらんけど。

なんとなくわかって欲しいのですが、誰かに見せるために「高級と評価されているものを買う」って考え方自体があまり高級じゃないんです。
大事なことは「自分が主体的に経験する高級な体験」です。クルーザーに乗るとか高級旅館に泊まるとかは高級なようで、カネさえ出せばいいのだから真の高級ではないのです。
なぜ大金持ちが宇宙旅行したがるかわかりませんか?

流される人生は少子化の渦に吸い込まれる

高給を取っていたことがあだになるのが老後です。
その前に今、これからの日本の状況を考えます。

年金は年々支給が減ります。そして月に47万円以上稼いでいると支給されません。
年間所得でいえば、ざっくり600万円ですね。

一時、年金で一生暮らすには2000万円足りないと騒ぎになりましたが、楽観的すぎます。
生きているだけじゃなく、なにかやりたいことがあれば、それなりに必要です。
特にかつて高所得者だった人がいきなり、清貧な生活ができるはずもありません。
浪費もして、貯金もできている高給取りはあまりいません。

長年、日本はデフレだったのでインフレの怖さを知らない人が多すぎます。漠然と「大正時代は1円で家が立った」とか「敗戦後1945年から1949年までで220倍のハイパーインフレが起きた」などを聞いたことがあるかもしれません。

たとえば日本は大量に国債を発行し続けました。累積1200兆円とも言われていますね。
日本が金利をあげられないのは、あげると国債の利払いが大変なことになることもひとつの理由だと思います。
また、少子化で税収は増えるとは思えません。
このような条件で、国がラクに借金を返す方法はインフレを起こすことです。
お札を大量に剃れば、お札の価値は減るのでインフレを起こせます。
1200兆円の価値が1/100くらいになったら、返済可能かもしれませんね。

また、今の日本は重税です。税金と名前がついていればまだいいのですが、日本人特有の言葉の誤魔化しで「保険」と名前がついたお金を大量に天引きされます。失業保険、健康保険、厚生年金保険、国民年金保険、介護保険などすべて国に払わなければならないので税金と同じです。
実感として(稼いだ額ー必要経費)の半分くらいを国にもっていかれていると思います。
これはさらに増えます。
しばしば「税金がなんのために使われているか」などと国民に主権があるような質問をする馬鹿な人がいますが、本当に社会人なのでしょうか?
日本は官僚国家です。税金の使い道は財務省というお上が決めることで、我々国民が逆らうことはできません。
今後も消費税がどれだけあがろうが、日本国民である以上、みかじめ料として払い続けるしかないのです。
これからも税、保険という税は増えていくでしょう。

インフレの世界で、年金だけで暮らせるなんて考えるほうがどうかしています。
国は「年金制度は破綻しない」と言いますが、それは支給開始年齢が80歳以上になって月額1000円でも支給されていれば「破綻しない」というのでしょう。それが役人の論理です。
年金の支給額が減り続け、生活保護を受ける人が多数派になる時はそう遠くないでしょう。
団塊の世代も逃げ切れるのかどうか微妙かもしれません。

年配になると給料が高かろうが安かろうが「雇われる」機会が極端に減ります。
あってもご存知のとおりのギグワーク(空き時間にちょっと働ける仕事)だけです。
わずかに自分で起業して自分で自分を雇っている人、そういう人と一緒に働いている人くらいが働き続けています。

もしくは組織をバックにした天下りですね。

年配になるとサラリーマンだけでは、どんなスキルをもっていても相手にされないことを知ります。それはそうです。どんなに優秀な人だって、この世を去る時が来ることを、社会は織り込んでいますから。
つまり「仕事を見つける」=「どこかに雇われる」ことしかできない、かつての高給取りは困難な状況に追いやられます。

年をとってから稼ぐ方法は、自分でビジネスをして若い人が受け継いだ企業の鼻面をひきずりまわすことか、資産運用を知り尽くすことだけです。
つまり年をとったぶん、世の中の仕組みを知り、お金を流し続けることを知っているかどうかなのです。

はい、万人への薬はありません。残酷な世界です。

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