ChatGPTでわきあがる、ICT業界でございますが、普通の人から見たら、すべての分野でAIが活躍するのだろう、とお考えだと思います。
でも、それはちょっと時期尚早。
たしかにChatGPTがすらすら日本語で会話してくれることには驚かされます。
だから、背後の知性はなんでも知っているはずだ、でも答えは間違っている、こいつはバカだ、使えない、という結論は浅はかです。
昔からこの業界では中身が大事なのですが、素人さんは画面などの入出力インターフェースでシステム全体の評価をしてしまいます。
ここまで書いただけで、もう「大事なこと」を書いてしまったつもりです。
なにかというと「入出力インターフェース」の優劣でビジネスは決まるということです。
これは「使いやすさ」のことを言っているのではありません。
私は世界最大の基幹業務パッケージ(ERP)で知られる会社にいますが、ビジネスは入社以来絶好調です。
一方でこの会社のパッケージソフトの画面は使いづらいことで有名です。
つい最近、UIデザインの専門家を雇ったくらい、お客さんは不満をもっています。
それでも使われ続けている理由はなんでしょうか?
それは毎年のように、企業のICTの活用について提案をし、それを達成するためのソフトウェアの開発を続けているからだと思います。もう基幹業務だけじゃなく、エンタープライズカンパニーに必要なソフトの会社です。
社員の私が聞いても「なるほどねぇ」と思うようなアイデアが展開されます。
どこぞのコンサルが「御社のために」とかいって書くレポートよりも、はるかに大規模な構想のもとで実際に動くものが目の前にあるのです。
(時々、先に行き過ぎている、との批判ももらっています。)
おそらく世界で唯一、こんなことをやっている会社じゃないかと思います。
具体的(Specific)なソフトウェアがあるから「なんのために」ということが明確なのです。
最近ではそれを一般的にパーパス(purpose)なんて言ってますよね。
どんな技術も「なんのために」がなければ、価値を証明できないことはエンジニアでも知っておくべきことだと思います。
つまりAIにせよ、ドローンにせよ、「なんのために」使うのか?がなければ売りようもありません。
ところが巷では、
- 「AIエンジニアになろう」だけ
- AIが取ってかわる職業を言うだけ
- ドローンの操作の認定を取ろう
- ドローンの技術コンサルをします。
でも難しい案件だったら逃げ出します
などなど、技術をポンと出して、後は知らんというものばかりに感じます。
そのくせ、欲の皮だけはつっぱっていて、井の中の蛙らしい高額なことを言います。
どちらの分野もこんなこという会社、人は出せる技術のポケットが少なく、世間知らずが多いようです。
ここからわかることがあります。
企業内新規事業、スタートアップの会社などは必ず「自社の製品・サービスは、お客のなにを解決するためのものか?」という疑問にきちんと答えられたら、お客は見つかりビジネスはうまくいくということです。
亡くなりましたがマーク・クリステンセン先生の言葉をよくよく考えるべきです。
逆に技術ありきでコンサルタントなんていう一番安易な道を進むと貧困しかありません。
AIもドローンもびっくりするくらい安易な商売を知らない人だらけです。しかもやっかいなことにプライドだけ高い。
お客に「私を見つけてください」とマーケティングを丸投げしているに等しいことに気づかないようです。
お客はそんなに親切じゃあありません。
技術力うんぬん以前の話なのです。マーケティングしているところに行くに決まってます。
どんなにできの悪い企業でも「ソリューション」という言葉を意味もわからずに唱えていますが、その言葉の裏にはクリステンセン先生のような思考があるのです。知らない会社が多すぎますが。
日本全国、ポスドクは余っていて貧困であることを忘れちゃいけません。