雑感(日記)

地方の暮らし、さまよう若者、マネー

今年、初めて漁師の知人ができた。
彼は石巻の過疎な漁村で漁師をしている。
そして、観光業もやっていて、そこそこうまくいっているようだ。
(興味のある方はnoteはまぐり堂をご覧ください。)

若者がいろいろ考え、ネオ・ネイティブ・ジャパニーズという秀逸な言葉で自分たちの活動を表そうとしていることは、がんばっているなぁ、と関心する。

しかし、noteに書かれた一連の記事を読んでも、底に出てくる若者たちの本音は、都市で稼ぎ、漁村でリフレッシュしているようにみえる。

石巻は友人の説明によると、日本製紙石巻工場(従業員約600人)と漁業で成り立っている街だという。

日本にはいたるところに、農業、漁業、林業をやっている人達がいる。
その人達はその土地で先祖代々暮らしてきた。
しかし、日本の歴史を振り返ったところで、歴然とした事実がある。
それは「経済力は地方のあり方を根底から変える」

歴史の本や授業はもっぱら、権力争いについてばかり書いていて、この大事な事実はほとんど現れない。

地方の豪族がなぜ豪族たりえたか?金山、銀山、米、魚、鉄器などが権力にどのように作用したかはあまり書かれていない。

父の故郷などで子供のころ暮らしていると、経済力が力関係を決めることがよくわかった。
父の家系は庄屋だったらしい。子供のころは牛がいて味噌、醤油も作っている関係でかなり大きな家だった。
法事をやると、いろんな人がずらっと大広間に並んでいたものだ。
一方で、日本鋼管、NEC、などの工場ができると、力関係が変わっていく。
誰も言わないが、働く場所を提供してくれる人がエライのである。

地方の力関係は経済力で決まる。先日も地方の豪族のことを書いたが、いいポジションで産業を牛耳っているからこそ、豪族をやっていられるわけで、逆ではない。
その証拠に第2次世界大戦前には華族という人種がいて、武家系と公家系がいた。武家系は地方の藩の人々であったから明治時代になっても産業を起こし生き延びたが、公家系の人々は文化面しかわからなかったため今は消えた。
権力だけもっていても経済力がないと消えるのである。

地方の人々は漠然と、理解している。
だから外貨(地方の外からのカネ)を稼ごうとあの手、この手をやろうとするが、なぜかやることがどこでも同じというところが悲しい。
理由があって地方公共団体を食い物にしているコンサルティング会社が多数存在する。
彼らは自分たちが稼げればよく、地方のことなど本音ではどうでもいい(その証拠に逃げる)。

その提案内容が観光か地方の特産食物だから、どこでも同じなのだと思う。
安易に少資本で始められ、地方の人にやった感をもたらすお祭り騒ぎだ。

何十年も前だが、長崎県庁の人が話していたが、2人、3人の就職だけでもありがたいということだった。

観光で失敗した後、一気に雇用を作り出すために民間企業を頼るわけだが、そうそう地方で生き延びていける企業はない。
誘致しようにも、なんか特典や理由がないと誘致は難しい。

ここまで書いている私に明確な回答があるわけではない。

でも成功している福岡などを見ると、ベンチャー企業が暮らしやすい環境を整えているのではないだろうか?
ちなみにこんな記事があった(意外に知られてない!福岡の地銀VCであるFFGが投資したスタートアップ17社をまとめてみた」

「つくば学園都市」などもそういうメカニズムがあるのかも知れない。知らんけど。

おそらく地銀などをまじえて資金手当をし、地元の大学、高専をまじえて人材供給もしないと地方で、ベンチャーを育成し、産業は育たない気がする。

逆にいえば、地元の人材の採用をしたがらないベンチャーは地方のためになるのだろうか?
補助金だけ欲しがるなんちゃってベンチャーはドローン業界にも多いからなぁ。。。

そうはいっても地方が衰退していく一方だとも思えない。
理由は首都圏の会社の制度疲労だ。経済評論家の森永さんは「資本主義の終焉」とおっしゃっている。
今、日本の会社で生き延びようとあれこれやっている会社は本当に限られる。
長年、サラリーマンをやっているとよくわかる。その会社がなぜ設立され、どういうビジネスモデルなのか?など改めて考える人はいない。そこそこアリもので売上をあげ、社内抗争に勝ち抜き、役員になり、残された数年をつつがなく過ごす。思い切った手などリスクがあるようなことはしない。
なんと、これがほとんどの会社のサラリーマンの王道なのである。

だから突然技術変革が訪れても対応ができない。インターネットで密かにほとんどの卸、問屋が潰れた。
パソコンの普及で、コピー取りの女性とか、印刷とかの需要が大幅に減った。印刷業者の多くはブラック企業となった。
儲からないビジネスモデルからカネを絞り出そうとすると、勢い社員を酷使するしかないのだ。

日本で若者の給料が安いと言っている理由は、日本の多くの企業がすでに儲からないビジネスモデルを続けていてブラック化しつつあるからだ。

森永さんがおっしゃるように今の資本主義がもう2年で終わるならば、全く違う資本主義は地方から始まるとしか考えられない。

 

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