サラリーマンのふり

ビジネスの常識を知らない人が多い

私はホリエモンのように会社をたくさん経営したこともないし、人付き合いが下手なので社員を雇おうと思ったこともない。

が、巷の人のビジネスのやり方を見て、疑問に思うことが多い。
今日はそういう愚痴を垂れ流してみる。

最初にお断りしておくけれど、
まともに長年サラリーマンをやった人なら知っていることです

別段変わったことを書くつもりもない。

投資

「投資する」というと無限にカネが湧き出てくると思い違いをする人がとても多い。
投資とはする前から辞めるタイミングも考えるのはあたりまえ。
例えば、年間1000万円を売り上げるビジネスを考えたとする。
ビジネスモデルにもよるけれど、最初は年収300万円プラス設備、在庫投資に300万円くらい600万円で一年目に様子を見て、うまくいきそうなら3年目で考えようか、つまり高々1800万円くらい準備しておけばいいよね、と考える。
ところが「一年目にさっぱり売れないのに300万円使っちゃいました。人件費も全額いただきました。年末にゼロ円です。さて来年いくら用意してもらえますかね?」
なんてありえない。

その投資を回収できる方法が見つからないなら、即、損切りである。

投資だからいつまでもおカネが湧いてくると勘違いして、一年目をのんきに過ごす人がとても多いように思う。

スタートアップ・ベンチャーの一年目は、計画したビジネスが利益を出せることを証明するために、寝食忘れて残業時間とか考えずに働かねばならない。
それがイヤなら他人のおカネで起業なんかしちゃいけない

ビジネスモデル

飲食店とかパン屋とかをやりたがる人はとても多い。
もうね、意味がわからない。
パン一個200円としよう。そのパンを作るために50円かかったとする。すると粗利は150円だ。
お店の人件費が20万円、不動産賃貸料が15万円だとする。設備投資はおいておいても、35万円を150円で割ると2334個のパンを売らなきゃいけない。月に25日、店を開けたとして一日平均94個。
毎日94個は売らねばならない。しかもこれは最低ラインだ。
結局、飲食店はマクドナルドも例外ではなく、飲み物で稼ぐことになる。400円のコーヒーやラ・テの原価は20円くらいだ。固形物はとんとんであればいいという計算も成り立つ。

だが、いずれにしても飲食店は単価が安く労働集約産業、かつ誰もが参入できる競争相手が多すぎる業界なので儲からないのだ。

私なら絶対にやらない。

成功している店をみて「私にもできる」は甘い。
業界で十分な経験をしてからならばわかるが、なにも知らない人が「できる」と誤解してしまう業種だ。
シロウトが多数参加している事業は危険なのだ。

サラリーマンは誰もが同じことをする。
事業は誰かと同じことをしてはイケナイ

中小企業向け

IT業界ではそういって始めるスタートアップ企業が多い。
それは中小企業というものをまるでわかっていない。
中小企業は大企業よりも手間がかかる。
なにしろ、IT担当者がいない、いてもサーバーなど産業としてのIT業界の常識を知らないのは当たり前、おカネもそんなに出せない、投資するくらいなら非効率でも現状維持が好き、社長の人間関係でどうとでも変わる、など労多くして益少し、なのだ。
自社のサービスに自信がないから、ユーザー数の少ないところということで「中小企業」というのだろうけれど、中小企業を相手にした途端、労力を吸い取られて潰れる。

買い叩かれても、中小企業専門ディーラーとか、見識の高い大企業の力を借りたほうがいいのだ。

道具は売れるけど地味

趣味性の高いものを作っているメーカーはだいたいが地味である。
手芸なら毛糸を作っている会社、自転車なら自転車パーツを作っている会社。
どれも優良企業だが目立つことはしない。
ところがユーザーの中には勘違いして「私の作った手芸品は売れる」とか「俺は競輪のプロになる」とか考えてしまう人が多い。
要するに「目立てば儲かる」と勘違いしている。
大昔から、ユーザーが多い業界では道具を作ることが富を生むということは知られているが、普通の人は知らないのかもしれない。

みんなが履いているジーンズだって、アメリカでゴールドラッシュが起きた時に、リーヴァイ・シュトラウスが余っていたテント生地でズボンを作ったのが始まりだった。丈夫なズボンは金鉱を掘る人に売れたのだ。

華やかな職業は舞台裏のほうが儲かる

誤解のもととなっているのが、芸能人ではなかろうか。周囲にかっこよく見られている。
世間知らずの女の子は「AKBになりたい」などと本気で考えてしまう。

しかし、実態は芸能事務所が、みてくれのいい人を連れてきて、どういうキャラクターが今の芸能界で需要があるか調べ、そういうジャンルの教育(歌、料理、芝居、、、)を施し、テレビ局などに売り込んでいく。
本人がやりたいことをしているとは限らないのだ。
まさに「見えるところをやる担当の人」以上ではない。

そこを勘違いして態度がデカくなって、周囲の人をないがしろにした「芸能人」が消えていくのは当然なのだ。

それでもご存知のように売れる芸能人はごくわずかだし、「人気」というつかみどころのないものを相手にしているからストレスは半端じゃない。
そのストレスに長年耐え抜いた人だけが、事務所がじゅうぶんに儲けた後に、それなりのおカネをもらえている。
他は週刊誌にあるように、ほとんど身を持ち崩していく。
芸能界は奇病の発生率がとても多いのではないか。
ちょっと考えれば芸能人というものは完全に作り出されたものだとわかるだろうに、事務所の存在を忘れ、自分の理想の幻想を見てしまう人のなんと多いことか。

スポーツ選手も同様だ。才能があり結果を出せれば、個人としてはそれなりの金額をもらえている。
しかしちょっと考えてほしい。もっと儲けているヤツがいる。それは運営会社だ。
運営会社は全体を考えて選手におカネを渡しているにすぎない。
そして運営会社は表にわざわざ出てこない。
(子供をスポーツ選手にしたがる親とは、愚か者だと思う。なってしまったこと、強制的にやらせることは違う)

「推し活」なんて愚の骨頂だと思う。事務所が狙っている消費者層に適合したタレントの色付け、マーケティングをかけて、それに見事にひっかかっているだけに過ぎない。
夢中になっている芸能人本人とはまったく関係がない。Twitterで一言「プライベート」と称していても事務所がスポンサーと契約した行為にすぎない。

これはわかりやすく芸能人を例としているだけで、世の中で売られているものは程度の差はあっても、マーケティングで色付けされている。
服の流行もお酒の流行も、テレビの情報番組?で「これが流行っている」もすべてどこかの会社で地味な、はげて、腹の出た、女性にバカにされるおじさんが検討して、予算をつける。
それをテレビ局に指示し、若者がのんきにきゃーきゃー騒ぎ、みんなが乗せられているに過ぎない。
絵を描くのは、みんなが馬鹿にしているおじさんだ。

それが「ビジネス」なのだ。

華やかな世界と無数にある企業は別物ではない。おカネが巡っていることに思い至ってほしい。

儲かっている企業は決して表に出てこない
あなたはキリン、アサヒ飲料、サントリーの社長を知っているだろうか?

いい話は報道されない、伝わらない

日本人はとくに、やっかみ、嫉妬が強い国民だ。
だから、他人が儲かっているとか、がんばって成果を得た、なんて話は報道されない。
しかし、コロナ渦の中でも大儲けした企業は多数ある。
「なにをやれば儲かりますか?」なんて聞いて教えてくれる人はいない。
いるとしたらフランチャイズかなにかをやらせて、有り金ごっそりかっさらいたい業者だ。

ここまでいろいろ書いてみて気づいたけれど、ビジネスを始める時にもっともいらないものが「目立ちたいプライド」な気がする。
プライドをもつならば、製品を作る技術とか、業界の知識といった他人がマネできないレベルの見識であって、そこから本当のお客の姿が見えてくる。

マスコミに見つかって騒がれないことこそが、大儲けできる秘訣かもしれない。

経営者と雇用者の違い

理解していない人がとても多い。

まず、残業は本人が勝手に決めてやるものではない。上司が承認し、残業命令書を出すというのが労働法で決められた作法だ。労基がここに最低限のことを書いたリーフレットを用意しているので、必ず読んでほしい。
正しい労働法を知るなんてサラリーマンの基本のキだろうに知らない人が、ものすごく多い。

さて、「ウチは新規ビジネスをどんどん社員にチャレンジさせてるんですよ。」とかうれしそうにいうバカ社長をよく見かける。

例外的な企業のようにその新規ビジネスが成功したら、別会社を作り、チャレンジした人間を社長や経営陣に据えるのであれば理解できる。

経営陣とは会社の利益を株主と分け合う立場なのだ。
従業員とは会社のルールに従って働くコストの立場なのだ。

立場によって働くことで得る付加価値は大きく違い、結果として所得も違う。

にもかかわらず、給料とボーナス程度で新しいカネの成る木を育てさせるというのは、経営陣達が自覚していようがいまいが、搾取であり、怠慢だ。

従業員の中には大きく勘違いをして「会社を支えていかねばならない」などと考えている人がいるが、そこまで抽象度の高い仕事は経営者が責任を負ってやるべきことであって、赤の他人の従業員が責任を負うことではない。

通常のビジネスだって、それなりのリスクがあるから利益率は投資よりも高いのだ。
リスクを侵さない低い利益率であるならば、大企業のような簡単には潰れないような規模が要求される。

日本企業の弱点はこのように大きな変容をもたらす人に報いる待遇をしないからだと思う。

儲かる種をみつけたら、会社を頼らず自分で育てるのがビジネスというものだ。ちょうどいいタイミングでウェルスナビの創業者がインタビューで語っているので紹介しておく。

このように、、、

ビジネスというものはいくつかのルールを覚えれば簡単だ。
けれども、世間知らずで世の中の表面をマスコミが騒ぐとおりにそのまま受け止めてしまうナイーブな人だとできないものなのかもしれない。

関連記事

  1. お金持ちの共通点

  2. 日本人の給与

  3. IT業界に第三の波が来るだろう

  4. 楽天はいつまで続くだろうか?

  5. 受託ソフトとか人貸しビジネスの終焉

  6. 理想のブックリーダーを求めて(2)

  7. アメリカは金融国

  8. 週末起業について(一箇所に集めるとお金になる)

記事をプリント