Bluetoothの製品のレビューとかで、「この製品は繋がらない」とかほざいている人を見るたびに残念になる。
おそらく日本人の5%くらいしか知らないだろうけど、基本的な知識を書きます。
Bluetoothが使っている電波の帯域は2.4GHzです。
この帯域は無免許で使っていい帯域なため大変に混雑しています。
とくにWI-FIの802.11g, 802.11bがビッグユーザーです。
この帯域はWI-FIで次のように使わています。(IOデータから借りてきた絵)
びっしりチャンネルが「定義されている」ことに気づいてください。しかもひとつのチャンネルは22MHzもの範囲を使う大盤振る舞い。
次にBluetoothが同じ2.4GHz帯をどう使おうとしているかというと
左の図にあるとおり、細かく2MHzごとに分割し37チャネルに分けて使おうとしています。
真ん中の絵や右の絵の紫色でのさばっているのがWI-FIが割り込んできた時の絵です。
Bluetoothは電波が弱く、WI-FIの1割程度です。ですから遠慮しながら使っているのです。
なんと健気なBluetooth
だんだんわかってきたと思いますが、WI-FIがかなり使用されているエリアではBluetoothは帯域をみつけることがむつかしくなります。しかもしょっちゅうチャンネルを切替えるのがBluetoothの特徴です。
駅前とかだと、フリーWIFIや各WI-FIサービスがガンガン飛んでいる中で、Bluetoothは少ない空きチャネルを近くにいる他人と分け合いながら使うことになります。
ですから使用できるチャネルがなくなり、通信が切れることがあります。
言い換えると「この機器は繋がらない」は迷信で、そういう環境、タイミングではどの機器も繋がらないんです。
繋がらないはずのBluetooth機器がWI-FIがあまり飛んでいない場所ではピシッとつながるなんてことはありえますし、WI-FI通信のトラフィックによることもおわかりだと思います。
さらにいえば、WI-FIやBluetoothの通信を行うモジュールって作っているメーカーは少ないです。機器を作っている会社のほうがはるかに多いのです。
BluetoothやWI-FIの物理層の制御、ネゴシエーションは難しく機器メーカーもデバイスメーカー提供のハードとソフトに頼っているのが普通で、機器メーカーが関与する余地は少ないのです。
優秀だと思いこんでいる機器と、繋がらねぇと思い込んでいる機器が、実は同じ通信モジュールを使っていることは十分ありえます。
また、2.4GHzの1/2波長は、わずか6.5cm。
ちょっと動かすだけでアンテナの電波干渉の度合いが変わることも忘れてはいけません。
これだけの高周波をラジオなどと同様に考えないで欲しいものです。
BluetoothとWI-FIの基礎も知らずにいっぱしの顔をして「繋がらないから使えない」と断言するのは、その機器がかわいそうだな、と思います。