この業界に30年以上関わっているので、今、私が感じていることを読んでくださる(とくに若い方)と共有することは意味があると思う。
2016年はITゼネコンの構図が崩れ始めた年として記憶されるだろう。
アイキャッチの図の右側のものがすべてネットワーク越しにある世界の到来である。
何度も何度もこのブログに書いているけれども、IT業界の技術はすべて英語圏からやってくる。
(Rubyは有名だが、あってもなくてもいいコンピュータ言語だ。私はPhytonで足りると思っている。)
日本語をとおしてしか世界を見ることができない人は誤解しているが、世界のIT業界で日本は本当に「極東」である。
GDP3位の国はITに関しては後進国であることは理解しておいてほしい。
楽天のようなチープな技術でも、日本語の壁に守られて生きていける国なのだ。
(異論があるなら、Amazonとくらべてみればわかると思うけど?)
現在、IT業界で日本にもいるメジャープレーヤーを見てみると、
- セールスフォース
- Microsoft
- SAP
- レノボ
- DELL (EMC,VMWare)
- HP
- IBM
- CISCO
- Amazon
- Apple
くらいではないだろうか。
外資系慣れした営業がうろうろするのはこの会社のいずれかだ。
体感的にはIBM,HPからの流出が目立つ。
どこかがどこかを買うとまた、営業の転職先が減ることになる。
日本ではまだサーバーやソフトウェアを細々(海外には売っていない)ながら作って技術を保っているのは、
- 富士通
- 日立製作所
- NEC
くらいではないだろうか。
取扱い金額だけは大きいNTT系は上記のいずれかの会社の技術を流しているだけで、技術上ほとんど理解していないので省く。なにも作っていないあんな商売はいつまでもは続かない。
クラウドが進歩すれば、日本のIT会社の存在意義もはなはだ疑問となっていく。
クラウドとはサービス提供元がインターネットのどこにあっても構わない。
Googleのサービス提供サーバーがどこにあるかなんて考えたこともないだろう。
Googleの多くのサービスはGoogleにより日本語化されていて、日本企業の入る場所はない。
海外のビジネスモデルや似た製品の日本語版を出せばいいというビジネスは規模がどんどん縮む。
昔は国産のワープロやデータベースソフトなんてものがあったけど、海外に出ていけないため市場の小ささから採算が取れず消えていった。
外資系企業に身をおいている人間として言わせてもらうが、外資系企業が日本でソフトウェア製品を開発することはない。日本にエンジニアがいない会社はいくつもある。
なぜならば、まともなプログラマー(=英語とコンピューターサイエンスを理解しているエンジニア)が一定数いないから。
日本でエンジニアとして生きていく道は、半分は技術営業(お客の要望を実装できる)ような人であって、プログラミングの専門家は給料が安いままが続くだろう。Lancers.jpなどを見てもわかるが、安い技術はフリーランスになりやすいのが現実だ。
今、日本でやたらと子供にプログラミングを教える塾や団体が増えているが、そんなことをして子供のためにはならない。プログラミングは実装上の話しであって、もっと大事なものはコンピューターサイエンスだから。
子供に教えるならば英語であって、英語の本、海外の人とコミュニケーションを取れるようにすることだろう。
一方で、確実に大きくなっている企業もある。
IOTがらみだ。
これらはまだ黎明期でそれほど高い技術もいらないし、ゼネコン体質とは無縁だからだ。
今後、「さくらインターネット」みたいないろいろトライしている会社が金鉱を掘り当てる可能性はある。
だからといってIOTでどうやって商売につなげるのかは、いまのところ車業界以外はこれというものがない。
その商売も海外からやってくるだろう。だから英語が大事。
英語「だけ」でも困るけどね。
追記:先日、転職したい人が人材紹介会社の「コンサルティング」を受けてきたそうだ。
だいぶ前にも書いた気がするが、ああいう会社の「コンサルティング」は意味がない。
人材派遣とか、人材紹介会社の営業ってなにも知らない。
知っているのは企業の求人だけ。
だから、年齢より少し上の今現在の求人にひっかかるためには、これこれのスキルがあったらいい、と言っているだけで本人達は仕事の内容なんぞまるで理解していないし、そういう人がどういう経験を積んでいくかなんてまるで理解していない。
もっともものすごい数の多彩な業種を全部理解しろというのは無茶な話ではある。
安い給料でこき使われている彼らに知性を求めるのはお門違いだ。
だから、自分がなにで食べていきたいかの意思。
自分のスキルが他社で通じるように普遍化ができるか自分で考えなきゃダメです。