最近、買収されたシャープが酷い扱いを受けている、という記事を目にします。
たとえばこれ。
本当にアホやなぁ、と思います。
会社はボランティアじゃないです。
社員のモチベーション?経営陣から社員までいずれ買収されたほうは叩きだされます。
この間はどうなるか書いたので、今日はその合理的理由を書きます。
それでも、すぐに叩きだされず、執行猶予期間ができたことだけでも喜ぶべきではないのでしょうか?
鴻海に対して批判的な観点をマスコミは並べていますが、
なぜそれをサンヨーを買収したパナソニックには向けなかったのですか?
明らかにダブルスタンダードであり、子供みたいな観点です。
そして企業のM&Aは相手が日本企業だろうが外資系だろうが同じことしか起きません。
私は何社も買収の現場を見てきましたから。
三菱自動車を日産が買いましたが、間違いなく三菱自動車はなくなります。
ゴーンが欲しかったのは海外でのブランドだと思います。
それも賞味期限が切れればなくすでしょう。(そこは慎重な判断が要りますが)
買収された会社の人間を放り出す理由は、すべてのプロセス、もしくはどこか悪い習慣がついているからなんです。
考えてもみてください。
問題を起こしてきた,業績があがらない方法でやってきてそれが身に染み付いている、ということはマイナスです。
まったくの素人はゼロです。だから多くの企業は新入社員を好むのです。
どちらから始めたほうが成果が早くでるでしょうか?
M&Aをして業績が悪かった会社の社員をクビにする合理的な理由は実はここにあるんです。
悪いやり方が身についているからダメなのに、新しいことをしようとすると「以前はこうだった」と抵抗する人はよくいますよね。
私の経済学士論文は企業合併でした。
当時、世の中を知らない私が企業の財務諸表を追いかけて出した結論は以下のとおりでした。
- 強い企業同士の合併は即座に翌年から効果が出る。
- 強い企業と弱い企業の合併は2,3年経ってから強い企業のやり方が浸透してから効果が出る。
- 弱い企業同士の合併は問題が先送りされるだけで、効果は出ない。むしろ業績が悪化する。
社会人になってから、いろんな企業合併を見てきましたが、おおむね当たっているんじゃないでしょうか?
だから業績の悪い企業の悪いやり方が身についている人はさっさとクビにして関係ない人をいれたほうが、マージ後の効果が早く出るのです。もっと早いのは買い取った会社の人間を入れること。
再教育なんてしても自分の立場がわかってないから、また抵抗するし年寄りでしょ。
どこの会社でも偉い人ほど、その会社のスペシャリストでメタ知識は乏しいですから。
それをふりかざして「ここではできない」とか言われても困るんですね。
自分じゃ気づいていないけど、ダメな習慣が身についている。
そんなダメ会社の奴のモチベーションなんてどうでもいいんです。
買収された会社の社員のモチベーションなんて企業が生き延びることとお客さんをつなぎとめることの前には二の次三の次です。
そして買収した会社のサラリーマンからすれば、ポスト倍増、出世のチャンス到来です。
買収された会社のマネージャを飛ばしてしまえばOK !
そのほうが業績も早くあがる!
これがM&Aして買い取った会社の人を片っ端から斬る企業の本音だと思います。
(読解力がない人がいて、上がすべて私が考えたことで「性格悪い」などとわざわざ言ってくる人がいます。これらは私の思いつきじゃないです。かつて私や知り合いが言われたことです。)
その証拠にM&Aして(子会社化ではない、本当にマージ)して買収された会社の従業員の大半が残りのびのび働いています、なんて聞いたことありますか?私はないです。
なまじっか大企業の社員だとリストラされた後、現場の仕事をできないため汎用のスキルをもっていません。当然、再就職口はなく、ブラック企業勤務か、プライドのためにアテのない借金生活して自己破産後、生活保護、家庭崩壊が普通。
シャープの場合、日本電産の永守さんが「課長以上な採用する」とかアイリスオーヤマが声かけてくれてるんだから、さっさと転職すればいいんですよ。
(もっとも、シャープ最大の裏切り者が居座っているけどね。あんまり偉くないと関係ないから。)
このはなし、最近聞いた話じゃなかったのです。
何十年も前の学生時代、水商売のお店をバイト先の社長が買収したら、従業員全員クビにしていた理由がこのはなしだったのです。
追記:アイリスオーヤマの今の家電製品を見ていると、この記事はあたっていたと思っています。パナソニックにクビにされた人の中にも多数、優れた人がいてリベンジを仕掛けているのですから。