起業を考える人、いや商売をする人がみな陥りやすい罠について考えてみたいと思います。
マーケティング用語に「AIDOMA(Attention(注意),Interest(関心),Desire(欲求),Memory(記憶),Action(行動)につなげる方法論は?」
この根底にある考え方ってわかりますか?
「お客に商品を売りつける」
ことにだけ。
長年、普通の企業に勤めていると、これ意外の考え方を理解できなくなっていないでしょうか?
そういう人が自分のやっていることの意味を考えなおすために素晴らしい本が、 たった1人に伝わると大勢が感動する GIFTの法則 です。
この本では「感動をお客が買う」と今どきのビジネスのキモを説明しています。
私はそのとおりだと思います。
先のAIDOMAで説明しずらく、しばしば話題になる例をあげてみます。
・旅館の加賀屋はおもてなし日本一でお客がおしよせる
・「アナと雪の女王」の売れた理由
・ハーレーダビッドソンが売れるマーケティング
いずれも単なる流通業者にはなかなか厳しい話だと思います。
いや、だからこそ起業の芽というものはあちこちにあるのです。
楽天などのECサイトを見てください。
欲しい商品を検索すると、値段順に表示できます。
上のほうの広告でリストされる部分など、すっ飛ばして安いところから買いますよね。
買ってしばらくしたら、店の名前なぞ忘れていることでしょう。
チェックを外し忘れたら来るうるさいスパムメールは読みもしないでしょう。
それが典型的な消費者の行動です。
どう考えても儲かる商売ではありません。
個人的には疲れるので、続かないからやるべきではないとすら思っています。
一方で、感動をさせてくれた店についてそういう行動を取らないでしょう。
どなたでも身近な経験ならば、映画館。
昔は大きなスクリーンがあり、決してきれいではない映画館が普通でした。
今のスタイルを日本に持ちこんだのは、バージンシネマでした。(後に東宝に売却)
小さいサイズのスクリーンで清潔で妥当なスナックがあることが快適だから、あっという間に今のスタイルが広まりました。
古いスタイルの映画館はマニア向けコンテンツでほそぼそと生き延びていますね。
このように、同じ「映画をみせる」というサービスでも、感動するほうにお客さんは流れていくし、日本のどこでも同じ映画館に入ると思います。
一時、クレジットカードMasterCardの宣伝で”Priceless”な瞬間を宣伝していましたが、あの”Pricelessな体験”をさせてくれるものに、今の人々はお金を払います。
そして、感動のさせ方がビジネスのユニークな点になります。
この考え方を具体化に行動にした、こういう本もあります。
感動のない商売は、ビジネスでもっともハードな価格競争に飛び込むことになります。
価格競争はいかに仕入れを下げ、いかに大量に販売することで固定費を薄めるか、というパワーゲームです。
一般的に起業家が取るべき道ではありません。
もちろん例外はつきもので、先日の九州大学が発明した石英粉末を固めて溶かすだけで石英ガラス製品を作り、従来の1/100のコストだ、というならば起業でも、価格競争に飛び込む価値はあります。