TPPが騒ぎになっているけれど、もっと深刻なものは「日米並行協議」です。
アベノミクスの第三の矢の本質はおそらく、アメリカに食われる、ということだと最近は考えています。
理由を以下に書きます。
日本ではアメリカ経済は好調なように報道されていますが、トンデモない。
ドルと米国の金融システムは米連銀の量的緩和策(QE3)などによって延命しているだけです。
QE3をバーナンキは自分が任期を終わったあとに、絞るなどといっています。
おそらくそうすると、アメリカ政府自身がデトロイト市になりかねません。
が、みすみす手をこまねくということは日本人は得意ですが、アメリカ人にはない発想です。
アメリカは今まで日本に散々、アメリカ国債を買わせて来ましたが、それを売ることは事実上、禁止しており、寄付のような状況です。(中国が最大のアメリカ国債の保有国ですが、いざとなったら売り浴びせるでしょうね)
小泉政権が露骨でしたが、日本は戦後以来、一貫してアメリカ従属です。属州と言っても過言ではないでしょう。
ここに来て、自民党の安倍政権はアベノミクスの名の元にバクチに出ました。それが大幅な量的規制緩和です。
しかし、これは第三の矢の裏付けがなければ単なる無謀な浪費に過ぎません。
世界的に規制緩和と構造改革を実現して経済成長させていると認知されるには、TPPと日米並行協議に乗るしかないのです。
そうでなければ、日本の国債は暴落するでしょう。
ひらたく言えば、これらの条約を元に貿易を盛んにしよう、ということです。
これだけだととてもよいことに聞こえます。
しかし、TPPで多くの人が疑問を呈している、日本の企業は守られないのではないか?は当たりです。
グローバル化の名の下に日本の企業はどんどん潰されていくと考えられます。
理由は冒頭に書いたように「日米並行協議」の内容が、アメリカ企業を日本に上陸させるための方策集だからです。
この表は、日本経済新聞から引用したものです。
(日本語訳はここから見ることができます)
これらは計画ではなく、すでに実行に移されています。
7月25日、次のような報道がありました。
「日本郵政と米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)は、がん保険事業で提携を強化する方針を固めた。全国の郵便局でアフラックのがん保険を販売し、商品の共同開発も検討する。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加協議が進むなか、米政府は米系保険会社が強いがん保険に、日本郵政が参入することに反対。提携強化で米側に配慮することで、TPP交渉に影響する可能性がある」
これがなんの意味かは「日米並行協議」を背景に考えれば、理解できることです。
こういうアメリカ企業との提携が増え、日本企業は淘汰されていくことでしょう。
私はマクロに考えれば、日本のどうしようもない不合理なブラック企業が淘汰されるだろうと思います。(アメリカ企業はどこで事業をやろうとアメリカの法律の制約を受ける)が、ミクロでは日本企業の倒産が増え、さらに低賃金、もしくは、再就職できない人が増えるのではないかと危惧します。
ただ、救いがあるとしたら、アメリカ企業は合理的です。その論理に従って、チャンスを見つけられれば仕事は見つかると思います。