20日の初日に見て来ました。
なぜならば、70歳を超えた偉大なマンガ映画監督が遺言とまで言っている内容を知りたかったから。
主人公の声がエヴァンゲリオンで有名な監督 庵野秀明を使ったり、エンジン音などが人の声だったり。。。
いわゆる「売れる映画の王道」を外したかったのだそうです。
が、難しい映画だと思いました。この映画の副題がなぜ「いざ生きめやも」(一言で現代語にすると「生き抜こうじゃないか」)なのか。
子供が見たらほんとうにつまらない映画だったんじゃないかな。映像的にわかりやすいものもあまりなかったように思うし。
堀越二郎が零戦の設計者だということで見る人は零戦がほとんど出てこないから不満だったろうし。
小説「風立ちぬ」の原作の堀辰雄についていうならば、ヒロインが結核で、、、、というところが似ているだけだし。
でも、この映画の背後にあるものは圧倒的な昭和初期の日本の常識と匂いだと思います。
- 人の役割が決まっており、それを基盤として働いていた時代。
- 貧乏な人は徹底的に貧乏でそれを知っているから、持たざるものの強さがあった時代。
- 日本という国自体が貧乏で、みんなでなんとかしたい、と強く願っていた時代。
- 生きるということが別にドラマチックではないけれど、一生の夢を持てた時代。
- とても厳しい常識というものがあったからこそ、ときめくことができた時代。
この映画を見て私は、日本はなんと多くのものを失ったことかと思いました。
- 人は自由だけを得たく、義務を放り出す時代。
- 総中流という誤った公平感が行き渡り、自らを省みない時代。
- 「愛国心」というと笑われる時代。
- 「恥」という言葉が死語になりつつある時代。
別にいまさら戦前に戻れというつもりではありません。
なにを失い、だからどう生きていくか、ということを自分に問いかけることができる映画かも知れない、ということです。
「いざ生きめやも」
なお、「風立ちぬ」への手紙
で映画を見た人からの手紙が読めます。
映画と同じくらい人それぞれの環境と感動を読むことができます。
映画とセットでどうぞ。