TOCといっても五反田にある「東京卸売りセンター」じゃなく、Theory Of constraint(制約理論)というものです。エリヤエフ・ゴールドラット博士が提唱しているプロセス改善、問題解決の手法です。本人も認めているとおり、大野耐一のトヨタ看板方式を進化させたものです。
ザ・ゴールという本を皮切りに、さまざまなシーンでのTOC理論の活用例が小説形式で提供されてきました。不肖、私もプロジェクトを考える際にものすごく参考にさせていただいています。日本ではいまだにトヨタ看板方式が最高だ、といった調子の記事や本を見かけますが、アメリカの製造業はすでにそれを抜き去っています。結局、トヨタ方式とはトヨタ固有のものであり、ほとんどの会社がそれでうまくいっているとは思えないのです。TOC理論は多くの企業に採用され、成果をあげています。
トヨタ看板方式が「一生かかっても理解できない」とトヨタ社員の方が誇らしげにいっているのと逆に、TOC理論はわかりやすいので、すぐ結果が出るのです。
これは別に私だけの意見ではなく、日経ビジネスオンラインにも書かれています。
今回、ゴールドラット博士の新刊がでました。
新たなる舞台は流通業で、在庫と販売機会という相反する要求をどう解決するかというもののようです。入手し、勉強しようと思っています。
一方で、こういう気になる本もあります。
著者はここでも語っておられますが、過剰な品質要求と技術をなんでもクローズドにするあまり、世界中から弾き出されてしまった現状を憂いておられます。
私はどちらも昔からの日本人の欠点である、精神論(根拠なき熱狂)がもたらした結果であるように思えてなりません。よくも悪くも世の中は科学的アプローチ(仮説をたて事実でもって検証していく)というサイクルを要求されます。思い入れは大事ですが、それは事実に裏づけられるべきではないでしょうか。