他者を思いやること

先日、駅前のスーパーで若者にいきなり「おっさん!」呼ばわりをされ、言いがかりをつけられました。
ここ何十年もそういうケンカから遠ざかっていた私はあっけにとられているばかりでした。
理由はわかっていて、彼が駅のエレベーターのボタンを壊れんばかりに叩いているのを見て顔をしかめたからなんです。
で、言いがかり。

しかし起きる現象の意味を考える私は、彼がとても気の毒になりました。

いかにも派遣帰りで3000円くらいのリュックを背負い、1000円カットであろうグサグサなヘアで不健康に太った彼と私は、仕事や人脈で交差することはありえません。

彼のストレスの発散は他人への言いがかりでしか晴らせないのでしょう。

こういうことの起きる理由はわかります。
日本は「知らない人には冷たく、なにをしてもいい」と考えている国です。

例えば

イギリスのチャリティー団体Charities Aid Foundation(CAF)が、人助け、寄付、ボランティアの3項目についての評価を各国別にまとめて発表する世界寄付指数(World Giving Index)。その2018年の調査では日本は144カ国中、128位だった。項目別でみると、

●Helping a stranger(他人を助けたか)が142位!!(つまり下から3番目)
●Donating money(寄付をしたか)が99位
●Volunteering time(ボランティアをしたか)が56位

恐ろしいぐらいに他人に無関心で、冷淡な国民ということになる。

他人の失敗に対するすさまじいネット上のバッシングや渦巻く自己責任論。母親が子供を乗せたベビーカーを一人で持ち、階段を上がっているのに、手を差しのべない人々。お年寄りが目の前に立っていても、スマホに気を取られ、お構いなしに座っている人。もしくは、手を差しのべる人に対して、「余計なお世話」とキレる人……。ことほどさように、日々、ギスギスとした世知辛い話題に満ちあふれ、潤滑油が必要な古い機械のように世の中全体が悲鳴を上げている。

(東大祝辞の核心「日本は世界一冷たい国」より引用)

これを読んでいる人はどうですか?知らない人に冷たくしていませんか?

この問題は難しいのです。ビジネスとは相容れない要素がたくさんあります。
今はボランティア財団で有名なビル・ゲイツだってマイクロソフトの経営者時代はかなり悪辣なことをやっています。

人に優しくあることはバランスなのです。
ビジネスはビジネス。周囲の人とは知っていても知らなくてもあなたを映す鏡。
優しくある人を「偽善だ」とバッシングする人は自分が偽善者なんでしょう。
その気持があるから他人の中に偽善を見るのです。
どういう動機があっても人助けは人助けです。
なにもしないで批判するだけの人間よりは、はるかにマシです。

私も、せめてと時々は寄付をしているがやはり満足いくほどできていませんね。

なぜ他人に優しくなければならないのかというと、先日、日本を訪問してくれたローマ教皇がクリアに説明してくれています。

自分たちに聞いてみよう。「私にとって、最悪な貧困とは何か?」「最もいい貧困とは何か?」もし、私たちが正直であるならば、わかるはずだ。最悪な貧困とは孤独であり、愛されていないという感覚であると。この精神的貧困に立ち向かうのは、私たちに求められる責務である。そして、そこに、若い人が果たすべき役割がある。私たちの選択肢、優先順位についての考え方を変えていく必要があるからだ。

それはつまり、私たちにとって最も大切なことは、何を持っているか、何を得られるか、ではなく、誰と(人生を)共有できるかということなのだということに気づくことだ。「何のために生きるのか」ではなく、「誰のために生きるのか」にフォーカスすべきなのだ。自分に問いなさい。「私は何のために生きるのか」ではなく、「誰のために生きるのか」「私は誰と人生を共有するのか」を。

(ローマ教皇が「ゾンビの国・日本」に送った言葉より引用)

俺のほうが頭がいいとばかりに表面的に即座に反論せず、賢者の意見は聞いてよくよく考えたほうがいいです。

世界で最も貧しい大統領で知られたウルグアイのホセ・ムヒカは2012年6月の国連での演説の最後にこう言いました。

発展は幸せの邪魔をしてはならない。
発展は「人類の幸せ」「愛」「子育て」「友達を持つこと」
そして「必要最低限のもので満足する」ためにあるべきものなんです。

なぜなら、それらこそが一番大事な宝物なのだから。
環境のために闘うのなら一番大切なのは、人類の幸せであることを忘れてはなりません。

ホセ・ムヒカはかつては革命運動の戦士でした。彼が人生をかけて考え抜いた結論が、「人の幸せとはなにか」です。

彼は金銭を得る労働のための時間が長くなることをとても嫌っています。

私達は日々、反応する人生を送っており、自分の人生の価値に気づいていません。
もちろん、自分を幸せにすることは大事です。

が、その幸せとはなんでしょうか?

年末、年始に時間があれば考えてみませんか。

その考えが私やあなたの人生を導くのですから。

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