令和時代の中小企業のIT環境(経営者向け)

起業

ITの技術について私自身が30年以上、IT産業でエンジニアをやっていてIT技術の進歩と共に時間をかけて学んでいるので、あまり不便を感じることはありません。

しかし巷で企業をやっている経営者の方はITの活用についてはいつも悩んでいると思います。
私の経験から、現在のベストエフォートを書いておきます。
はっきり言って中小企業にCIOなんぞいらない時代となりました。

私の経験からなので、すべてに通用するとはまったく思っていないことをあらかじめお断りしておきます。

総合ITベンダーに依頼しない

いわゆるSI、サービスや機材を販売している企業は「お客の経営課題」とか「お客によりそう」とか言いますが、嘘です。
どの会社も自社が扱う製品の年間目標があり、それについてあーだこーだと理屈をつけ、お客の不勉強を利用して売り込んでいるにすぎません。そもそも経営なんぞしたこともないサラリーマンがなぜのうのうと経営課題などとほざくのでしょうか。

そして現場の自称「SE(エスイー)」と称する人間は驚くほど無知です。
たいていがベンダーの下請け会社からの派遣です。問い詰めればわかります。
専門家の証明でもなんでもないNTTコムのITパスポート試験とかシスアドなんていう恥ずかしい試験のパスを売り物にしてしまう体たらくです。
最近のデバイス、iPhoneやAndroidについては何も知らないでしょう。これらはそういう業者をとおさないソフトウェア流通ですから。
そんなアマチュアにお金を払ってはいけません。

つまり、いわゆる総合ベンダーはあなたの会社に最適な提案をするほどものを知らないし、まともなスキルのもとにサービスを売っているわけでもなんでもないです。あなたの会社の無知を利用してお金を稼いでいるにすぎません。

少し話が脱線しますが、コンピューターのハードウェアの計算機構には十進演算と浮動小数点演算があります。十進演算は基本的に桁落ちしません。
しかし浮動小数点演算は2進数で計算するので桁落ちします。100億円単位の金額計算は十進演算で行わねばならないというのは、コンピューターの入門編なのですが、知らない自称エンジニアは大量にいて、桁落ちするとソフトウェアベンダーに文句を言うことしか知らないのがIT業界です。

ほとんど何も知らないのに、お客には「知ってます」と嘘をついて商売しているのが、この業界は普通だということなのです。
だからコンサルティング会社のほうがアテになるのです。彼らは地頭はとてもいいですし、オリジナルの英語のマニュアルやドキュメントを読んだり書いたりできますから。
もし、あなたの会社が500人前後以下くらいなのに、自社にサーバーを建てさせられていたら、あなたの会社は騙されている確率が非常に高いです。

密かにそのベンダーをクビにするプロジェクトを経営者が起こすべきです。
以下はどうすればいいかの話です。

他社にはない自社固有の業務を明らかにする

過去数十年、IT業界で働いてきてお客の意見を聞いてはいけないと思うことがあります。
「この作業の仕方についてウチは特殊で、こうしないと仕事がまわらない」
このセリフを散々聞かされました。
しかし、転職すらしたことがない社員がなぜ「ウチは特殊」と言い切れるのでしょうか?
端的にいえばお金の動きは税法に縛られており、会計士、税理士はその専門家です。
彼らが理解不能な決算は法的に認められません。
どこの会社もバリエーションはあれ、業界標準的な方法はすでに成立しています。
お客(サラリーマン)は特殊だと主張することで身の安全を確保してきたにすぎません。

とはいえ、特殊なビジネスがあるがゆえに儲かっている仕事はあることでしょう。
製品に組み込んでいることもあります。
そういう仕事は自社開発してシステム化するべきです。
なぜならば自社開発したほうがSIerにぶん投げるより絶対に安いし、よいものができるからです。

理由を説明します。
なにごとも他社に依頼する場合、契約書を伴います。
契約書にはやるべきことと対価が明記されます。
つまり要件があいまいなシステムは本来契約不能なのです。
あいまいなものは社員にやらせるしかないということはわかると思います。
にもかかわらず契約に応じる企業があるとすると、どれだけ請求される(ぼったくられる)でしょうか? ひょっとしたら1人月が3人月になるかもしれません。
もしくは契約して差し出すエンジニアに「最悪3人分働いて死んでこい」と言っていることと同じになりかねません。

規模を問わず、まともな企業だったら内製化したほうが安いし、そのシステムの成否は社員なら同じ船に乗っているのです。
可能な限り頑張るのが普通のサラリーマンです。
過去、お客さんの中で、エクセルのVBAで作りました、Accessで作りました、という個人の努力をさんざん見てきました。
プログラマーとは決して特別な人ではありません。
たとえばERP(企業の基幹システムパッケージ)の会社ではプログラマーを公認会計士にしようとはしません。
公認会計士にプログラムを教えるほうがはるかに短期間でよいコンサルタントになるのです。
ですから、業務を知っている人間をプログラマーに育てるカネを出したほうが安いし、目的を達成できるのです。
私自身、世の中にこんなにプログラマーが増えるとは思ってもいませんでした。それくらいコモディティ化しています。
システム面での難しいプログラム、たとえばデバイスドライバーの開発においてもコンサルタントを初期のフェーズでは雇い、後は自社開発が正しい道です。

実際、ソフトウェアベンダーのコンサルタントは新製品の最初のうちはSIerに雇われますが、だんだんお声がかからなくなるのです。SIerは仕入れはそうやって絞り、お客に向かってはずーっと「むつかしいからウチにまかせろ」と二枚舌を使っています。

また話が脱線しますが、若い頃の私はメインフレームのオペレーティングシステムのプログラマーでした。今もアプリケーション(業務)ソフトを書くことがあります。
オペレーティング・システムプログラムとアプリケーションプログラムは性格がまったく違います。
オペレーティング・システムプログラムは複雑ですがデータの項目は少ないのです。(データ数ではない、データ項目)
アプリケーションは単純な計算が多いですが、データの項目が莫大に多いのです。
プログラマーといえども、専門性があることを知ってください。ただし、言語にこだわるプログラマーはヘボプログラマーです。

そして今は自社システムをAmazonのAWSやMicrosoft Azureといったクラウドサービスに置くのが普通です。
自前でサーバーかかえて、運用要員なんて雇いません。
その費用でどれだけのサーバーを借りることができることか。しかもAmazonやMicrosoftには運用の本物のプロがいます。
彼らは何千社、何万社というシステムを預かっているのです。一社のシステムだけをふうふう言って素人運用しているところより安く、すぐれたサービスを提供しています。
現在スマホでゲームが流行っています。あのゲームのサーバーはほぼすべてAmazonのAWSで動いています。
そういう信頼性です。

そして一般的な業務については次の説で語ります。

すべてのサービスはクラウドを利用する、そのために

今はほとんどのサービスがクラウドで存在します。クラウドの利点はいくつかあります。

  • 今の世の中の標準的な機能で自動的にアップデートされる
  • 外部とカンタンに共有できる(典型例が会計ソフト)
  • 自社保有のハードウェア機器が必要ない
  • したがって固定資産をもたなくてよい
  • サブスクリプションという月々の安い支払いでよいから財務に負担がかからない

どれも自社保有では無理な話です。最大のメリットは他社と比べて遜色のない標準的な仕事の仕方になる点です。
井の中の蛙、夜郎自大的な仕事をしている時代ではありません。
自前で持つのとどれくらい、費用対効果が違うか計算するべきです。

プライベートクラウドとは自社でサーバーを並べる話で、ハイブリッドクラウドとは自社のサーバーを存続させるためのお客を錯覚させるための用語です。
イマドキはほとんどの企業でサーバーを必要としません。

どういう環境になるか?

そうすると会社にはネットワークとパソコンだけになるはずです。動いているOSはWindows10でしょう。
したがって、
ネットワークはNTTに管理してもらう。パソコンはDELLから買うというのが必勝パターンです。

NTTは電話時代からネットワークの専門家です。素人ほどNTTをバカにしますが、NTTに勤めていた経験のある私からするとメニュー化(これをやると決めた)されたことについては、NTTは全力で取り組みます。そしてユーザーを大量にかかえていますから、割安なのです。
NTTの回線に付随するサービスの利用は自社でサーバーを建てるよりも相当に安いです。
たとえばメールサービスなどについて計算するといいでしょう。

DELLはパソコンを売ることと専門家としてのサービスはきっちり提供する会社です。「なんでもやります」とかいい加減なことを言わない会社です。この会社も決めたことはきっちりやってくれます。

ITについて、その場限りのイエスマンで専門家不在の御用聞きがほしいのか、結果を出すプロがほしいのか、よく考えてみるべきでしょう。

残るはオペレーティングシステム(OS)の管理です。

専門家は一本釣りする

中小企業の場合、「俺はMacを使ってるんだけど」は用途に限って許すべきです。言い換えるとそういう人は標準PCのWindowsと特定用途向けMacの二台を与えます。
会社のオフィスで使うツールは統一しなければいけません。

Windows10は世の中でもっとも広く使われているOSだけに自称専門家がピンからキリまでいます。
そこであの手この手で現場で「できる専門家」を見つけます。
ピンキリでいるので、できる専門家でも料金は比較的安いのです。
クズを雇わないように。
ランサーズで仕事を出してみたり、DELLに紹介してもらうなど、あの手この手でひとり自社の環境をしっているWindowsの専門家を雇いましょう。
これは社員ではだめです。

しばしば中小企業の経営者が自社のパソコン管理に「マイクロソフトオフィスを使える程度」の若者をIT担当にしてしまいますが、その人はITについては素人でデスクワーカーです。Windowsネットワーク、Active Directory、Share Point、場合によっては複雑怪奇なエクスチェンジサーバーなどのWindowsのインフラとしての機能は別のジャンルです。
だからこそ、いろんな会社の面倒を見ている専門家が必要なのです。
専門家にいまどきメーラーはなにがオススメなのか、聞いてみるべきです。
複雑怪奇なOUTLOOKがいいのか、ダサダサのBecky!がいいのか? (どちらも今時ではないです)

そういう人とパーコールや月次の契約を結んでおいて、社内のユーザーがチョンボして環境を壊したり(そういう時にユーザーは100%「私はなにもしていない」と言います。人間は弱いものです。)した時の救援に来てもらうのです。
そして外部の人を使うことでパソコンの運用の費用がはっきりします。

後は総務部でやっていける

社員がちょっとした質問をNTTに投げる習慣、NTTがわからなければトラブルシューティングが「できる専門家」かDELLを呼ぶ、というワークフローが完成すれば,中小企業の総務部は知識を保つ必要がなくIT環境を運営できるのです。

この私の助言で少なくとも数社、うまくIT環境は驚くほどの低コストで回っています。
IoTなどの動向が気になるなら、さくらインターネットの動向だけでわかります。この会社は社長自身がエンジニアの会社です。
ベンチマーク企業を見つけましょう。

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