雑感(日記)

木嶋佳苗と、結婚という制度

結婚詐欺を働いた相手をたてつづけに3人殺した女性って?と思って本を二冊読んだ。

毒婦
これは北原みのりっていう、「アンアンのセックスできれいになれた?」とか女性を女性視点で語るのが得意なライターさん。

別海から来た女
これは佐野眞一という東電OL殺人事件のルポなどで有名なライター。男目線も知りたかった。

予想どおり、非常に奇妙な事件である。木嶋(敬称略)は殺人をなんの葛藤もなくやってしまうのである。普通は人一人を殺すだけでも、その関係、犯行に至るまでの心の動き、犯行の時の心情などが話題になるが、彼女の場合は一切ない。

まるで家庭のゴミを片付けるように、睡眠薬をコーヒーなどで盛って寝かせ、練炭コンロを購入し、練炭を仕掛けて去っていくのだ。
被害者のご遺族が「ウチはずーっと千代田区に住んでいて練炭なんてものを使ったこともない。これは北のほうの人の考えではないのか」というのは、そのとおりに思えた。

しかし、俺はこの二冊を読んで、殺された男たちにあまり同情はできなかった。

というのも、最近、別件もふくめ中年の婚活サイトの実態というものを知ったからだ。

例えば、こういう記事である

まるで「結婚」が商品のように取引される。「別海から来た女」にもあったが、婚活する人たちは条件、条件、条件、条件である。例えば、とにかく女は若い方がいい。(本当にそうか?)
恋愛ではないから、あばたはえくぼにならない。あばたのままだ。

だから、その条件についてウソをつく人間は男女問わず、いくらでも出てくる。
婚活サイトで結婚をエサに次々に女を食い物にしている男はいくらでもいるようだ。表書きはエリートサラリーマンだったり、学校の校長だったりするのである。

それを知って、俺は唖然とした。以下に書くようにいくら打算とはいえ、お見合いの相手に次々にセックスを求められては捨てられる婚活女性は、相当に傷つくと思う。
(いわゆる仲人さんは、中年であっても再婚であっても簡単にOKすべきではないと言っている。女性のダメージは大きいのだ。)

なぜこうなるのか?いろんな理由はあるが、女性は出会いがないというが、周りの男性をまったく顧みないで理想を求める。この時点で実は、対人関係がニガテであることを証明していると思う。
だから婚活サイトで「条件のいい」相手を前にうまく操れないのか。

さて、木嶋に群がった男たちの対人関係に注目すると、普通の女性には相手にされない人ばかりであったようだ。極端なケチ、プラモデルオタク、池袋で初対面で会うのにボロボロのジャージ姿などなど、描写される男たちはデートする相手の女性の気持ちなどお構いなしである。

彼らが求めていた人間は、自分からは女性に歩み寄らないが、優しく美味しい料理を作り話しを聞いてそばに居てくれる、自分に歩み寄る女性なのである。普通に考えれば、そんな人間関係はない。
だから、多少は恋愛経験がある人は木嶋から逃げおおせている。

女性はそういう男とガマンして付き合う代わりに、お金を求める。木嶋佳苗は殺人を犯したから、このように捕まったが、きっと東京には同様の婚活詐欺めいたことを生業にしている女性は何千人もいると思う。

この「結婚」がひとり歩きする日本人の描く結婚制度については、俺は疑問だらけだ。世界人口の22%を占めるイスラム教ではご存知のとおり、一夫多妻制を認めている。アフリカの多くの部族もそうだ。
日本人からすれば、その夫は不倫をしていることになる。Yahoo!知恵袋などをチラチラ見ると不倫は絶対にいけない、そんなことをする人間の人生は価値がない、夫婦であることに真実がある、と多くの人が宇宙の真理くらいの勢いで、ヒステリックに断言している。

好きでもない人との条件を計算し、打算で結婚することが価値ある真実の人生なのだろうか?

ちょっと前に書いたけれど、25歳までにお嫁に行くのが鉄則だったハズのルールは今、どこに消えたのか。常識や制度への過度の依存はおかしな現象を生んでいる気がしてならない。

アメリカ人の英語の先生に、「日本人は結婚しているということのために結婚をする。相手がどんな人あっても、持っているものがよければ結婚する」というと「相手が誰でもよくて結婚するなんてありえないし、それは結婚というのか?」と根本的な疑問をぶつけてきた。

別に不倫を勧めているわけじゃない。上のような経緯を考慮せずに、どんな場合でも夫婦とは愛に満ち溢れた真実であるという決め付けはとてもアヤシイものに思える。相手を見ずに夫や妻という地位をお互いの打算で成立させることを結婚というのか?という疑問を木嶋の事件を読んでいて強く感じたのだ。木嶋のやったことのひとつは結婚詐欺ではあるが、男女の愛情というものを考慮して見た時に、ほぼありえない進展に唖然としたのだ。

それに比べたら最近の若者のように「はいはい、僕や私には恋愛力も結婚力もありません」と軽くいなして、淡々と好きなことをして生きている人たちのほうが、よほど軽やかで自由で幸福な気がする。

この人達の前では、木嶋佳苗は職業を変えるしかないだろう。

さて、木嶋佳苗は公判中もきっちり化粧をし、おしゃれをし、暇があれば足首や顔の体操に余念がなかったそうである。しかもそのおしゃれは都会人から見ると少しチグハグな昭和を連想させるものだったという。木嶋が大金を騙して住んだマンションが青山でなく、池袋というところもなにか同年代の友達のいない独特な世界に住んでいたからかな、と思う。

彼女の中ではきっと、殺人鬼と結婚詐欺師と虚栄の人がそれぞれ勝手に同居しているのだろうな、と思う。

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